CPUアクセラレーターは本当に付け焼刃なのか?

I.O-DATAやメルコの販売している”CPUアクセラレーター”、ちまたでは「CPUばっか上げても回りが追いつかない」など散々な言われ方をしているようである
確かに、現在のPCの性能は秒進分歩とも言われるほど上昇を続けている。
とはいうものの、さすがに愛着のあるPCをそうやすやすと手放すわけにはいかないのが人の心情であって、そういう人のためにCPUアクセラレーターが存在する…のか?。
果たして周辺機器製作会社の出すパンフに載っているデータは果たして本当の事なのか?。
そして、ノーマルPentiumより浮動小数点演算が低い、と言われているがそれがどの程度影響するのか?。
この疑問の解決も含めこの度、メルコのCPUアクセラレーター「HK6-MS400-N2」を購入。 どの程度パフォーマンスが向上するかを検証した。

私の場合、PC-9821V233によるWin95での使用のため導入前に添付されていた高速CPU最適化ソフトを入 れてそれから差し替えを行った。
まず、CPUクーラーを取り外し、次に固定レバーを上に上げてCPUをつまみ上げると…何の抵抗もなく外れた。
そして「HK6-MS400-N2」の差し込み、レバーを倒して固定完了。
本体カバーを閉じ配線を元に戻しいざ電源投入。
いつもどうり「ピポッ」という音とともにメモリ容量チェックが開始されいざWin95起動…の前にF・8キーでコマンド プロンプトにし「キャッシュコントロールユーティリティ」というソフト(高速CPU最適化ソフトと一緒のフロッピーに 添付)をDOSコマンド入力でインストール。
これで導入作業が全て終わりPCを再起動。最初のwin95ロゴが表示されなくなったものの、心配していた「メル コダウン(笑)」も起きずすんなり起動。

まず「HDBENCH」で各ハードの性能を数値測定。結果は
ALL 浮動小数点 整数演算 メモリ 矩形 テキスト スクロール DirectDraw Read Write
換装前 13728 13099 14325 13670 28494 6785 12290 5965 15 11277 11934
換装後 15494 24520 30705 15921 22402 8552 12303 1597 15 11715 12161

以上により、「浮動小数点」「整数演算」の数値が約2倍に上がったもののその他の数値にあまり目立った変化はなく、逆に「VIDEO-スクロール」の数値が1/5に下がった。
次に、フォトショップ5.02のフィルタ処理の時間を検証。時間はストップウォッチにて手動で測定。画像データはメインPCで使用している壁紙を使用した(公開は後程)。
処理時、仮想メモリへのデータ書き出しは無く、完全にメモリ内での処理であった事を示しておく。
結果は(±1秒)

▲アーティスティック-こする(ストローク-7.0、領域ハイライト-3、度合い-10)
MPen233装備時--10秒11
K-6V400装備時--3秒49

▲描画-逆光(50-300mmズーム・明るさ192%)
MPen233装備時--2秒64
K-6V400装備時--1秒98

▲ピクセレート-水晶(セルの大きさ-20)
MPen233装備時--17秒42
K-6V400装備時--7秒01

▲変形-海の波紋(波紋の大きさ、振幅-9)
MPen233装備時--17秒42
K-6V400装備時--7秒10

と、以上の数値より体感速度上ではあるものの、約3倍の速度向上という結果が得られた。
この他、Pia2・こみパの画面切り替えの速度が上昇(それでもPenV450装備機よりは遅い)、VSC-88HのCPU占有率が低下、等の結果が得られた。
しかし、である。「浮動小数点」「整数演算」の数値が約2倍に上がったのに実際はそれ以上の結果が得られたのである。
この原因はなぜなのか。

多分
フォトショップ5.02から3DNow!命令に対応したために上記の処理速度の向上が得られた。

とまぁこんなものでしょうか。
以上の結果によりメーカーのカタログに記載されている事はウソではない、という事が判明した。
が、今回の拡張にかかった費用が10万円を越えており(GA-SV432/PCI・NE-SD4100T{←I.O-DATA}・HK6-MS400-N2)、果たしてこの拡張が有効なのかは未知数である。

なお、2000年3月上旬現在、AMDはK-6Vの製造を打ち切っている模様で、これを使用しているCPUアクセラレーターはあともう少しで製造中止になると思われる。


7/22追加

最近気づいた事なのだが、メルコはK-6V・450MHzをクロックアップしてN4ゲタに載せた"HK6-MS500-N4"という製品を出していたようである。限定5000台との事であった。
そしてさらに最近、メルコからAMDのK-6U+・500MHzを使用したCPUアクセラレーター
"HK6-MD533-NV4"という製品の発売が開始された。
対応機種はHK6-MS400-N2やHK6-MD400-N2と比較すると多少少ないのだが、インプレスのページ等を見る限り、HK6-MS400-N2と同等の能力を有するようである。
K-6U+はK-6VのCPUキャッシュメモリを128kBとし、0.18ミクロンの銅配線技術で製造されているものである。
さらにK-6Vの欠点であった、消費電力の多さがほぼ解消されているようで、電源関連の弱い9821機でも十分運用が出来るようである。


9/28追加

AMDのホームページでK6シリーズの新型「K6-2E+」「K6-2E」「k6-3E+」が発表された。
通常電力版と低電力消費版が確認されている。 この件については後ほど・・・。