釣行3日目 ハミルトン・バーン その3

 

 今日もハミルトン・バーン。ガイドはピーター。実はピーターは違う川に連れて行くつもりでいたらしい。
前日の段階で「明日はあのタワーの向こう側に行くよ。」と帰り道に右側の遠くの山頂に見える電線の鉄塔を
指して言っていたのだが、いざその山並の向こう側に行ってみると、どの川も濁りがきつく、流速も速かった
ため断念をせざるを得なかった。彼が不本意ながら選んだ川はやはりハミルトン・バーンだったのだ。時刻は
11時30分、今日も長旅になったものだ。(一目散にここへ来れば1時間30分ほどだから、10時30分
には着いている計算になる。ここNZでは時間の過ぎるのにせかせかしないし、感じない。)

 

 前日より下流部の橋の向こう側には釣り人らしき車が停まっていた。どこかで見たことがあるなあ、。。。
あっ、ポールの車だ、と思ったらポールもクライアントもまだ車の中にいた。着いたばかりなのであろう。

 ポールはピーターと同じくデイビットの受けたクライアントに着くガイドの一人。彼は唯一、このマタウラの
育ちなのだ。デイビットと同じように鼻の外側に毛が吹き出ている。アイ・シンク、オゾンホールを通過した
ウルトラバイオレットのため。気をつけなければ・・・。

 ポールと話をして、私たちは橋の下流を釣ることになった。

 今日のタックルは、3本持って行った竿のうちまだ使っていないマリオ・ウジニッキ232V4。リールは何で
もいいのだろうが4番のXPSラインが巻かれているハーディーの緑のヤツ。ボーグルだかブグレーだかのライ
ンガードの付いているタイプである。いつもの定番、といえばそれまでだけれど、Troutman66-4とこの232
V4にはけっこうないい思い出ばかりなので期待をしてしまう。

 また川を下りながらかなり歩いている。途中、三日月湖のようにできた部分でクルージングするでか鱒を見
つけたが、どうも縁が無かったようで釣らずに終わってしまった。

 いい時間になったのでランチを摂ることにして場所を探していたら、予定していたらしい場所の前でライズ
をしていた。静かな、連続しているライズのため、メイフライが考えられる。昨日に引き続きランチタイム
フィッシング!と意気込み、河原をはいつくばって近づきラインを出すために川に並行に竿を振る。以前聞か
せてもらったNZフィッシングの話に、ラインが上空を通っただけでスプークする、ということがあった。さ
すがに今回は羊の糞の上を匍匐前進することはなかったが、似たような感じではあったかな。

 初めて使うフライを付けたので浮き具合を見るために自分の真横に落としてみた。よし、本番だ、と思って
ライズしていた鱒を探すと・・??

 居ない。

 どこを探してもいない。さっきまで流れの中に浮いていてライズを繰り返していた大きな体がどこにも見え
なかった。あれだけでスプークしてしまったのだろうか!?
がっくりとしながらランチを摂ったが、とうとうライズは始まらなかった。

 

 下流部の大きなプール。ライズを見つけた。ゆっくりとウェーディングをして勝負。光の加減で鱒の姿は見
えないが、少し動きながらライズをしている魚が何匹か居るようだ。フライをいくつか交換し、イマージャー
タイプに交換。吸い込み音がするライズリングのあったあたりに流すとフライに鱒が出た。本日一匹めの鱒だ。
プールを縦横に走り回り、こちらに向かってジャンプをしたときにラインのテンションがゆるんだ。・・・恐
れながらラインをストリップしたが、そのラインが張ることはなかった。

 

 とぼとぼと上流に向かって歩いていくと、なんと先ほどのランチタイムポイントで相方がライズを狙ってい
る。帰り道にやろうと思っていたのだが、先を越された形だった。ダークだ、とも思ったが、釣ってくれれば
まあいいかと見ていた。流下があるのか、夢中になってライズをしている。何度か流しているようだがスプー
クする気配がない。やる気満々の魚はじきに釣れるだろう。

「あ〜っ」と声が聞こえた。向きを変えて追いかけてきた鱒がフライをくわえて口を閉じるまで待てなかった
ようだ。

「デイビットに教えてもらったんだよ、思い出した。1,2,3、クッだったよ。」

興奮しながらピーターにエクスキュースしている。まあ、次はうまく決めてくださいな。

 

 移動しようと歩き始めたらピーターが鱒を見つけてくれた。水面に垂れ下がった枝の下流部で、時々流れに
入ってはライズをしている。半沈系のフライが良かろうということでHSDのレディッシュブラウンを結んだ。

 岸寄りにいる魚なので慎重に後ろ側に入って、先ほどのような失敗をしないように細心の注意をしてフォル
スキャストに入った。フォルスキャストを陸の上で竿も寝かせてプレゼンテーションの時だけ川に向けてロッ
ドを振った。

 何年か前、寒河江川のイベントの時、田代さんにチェンジ・ザ・ディレクションといってニュージーランド
のフォーチュンクリーク対策の方法を教えてもらったことを思い出した。それは90度もの方向転換だったが
今回は30度ほどなので、方向を変えた、なんて言えないのかもしれないなあ。

 鱒はフライを見つけると、何の疑いもなくそれを口に入れた。んっ、セットフック。

ティペットに引っ張られることに驚いた鱒は木の下に逃げようとするが、竿を曲げてそれを阻止した。

 なかなかの魚体は53センチ。いい小川である。ハミルトン・バーンばーんざい!

 どうやらまたピーターがライズを見つけたようで、相方が戦っている。バンクぎりぎり。そこを通り越して
上流でバンクはこう流すのだ、と一人練習をしていたら、近くにライズを見つけた。岸に生えている草の下側
でバブルラインの中。まあ小鱒だけど遊んでみようと思ってティッツを入れてバンク際へ。湯川ブルックのよ
うに際ぎりぎりのところがミソ。予定通り魚が出てきたが、予定ではなかったのがそのサイズ。竿を曲げてグ
イグイと引っ張り暴れる。元気いっぱいの鱒を浅瀬でランディングするとこれまた50センチオーバー。おい
おいハミルトン、やるねえ。

 午後2時半から3時半頃までが流下が多かったのかあちこちでライズが見られて、魚も食べることに夢中に
なっていた。

 プールへの流れ込みでライズする、一番大きそうなますを狙ってフライを流したときのこと。簡単にフライ
をくわえてフックセットに至ったが、その後がすごかった。リールからラインを全部引き出していって、自分
のホームなのか木の下に一直線だった。とても止められる強さではなく、為す術もなかったため、あっさりと
木に巻き付かれてジ・エンド。推定65センチ。(魚の姿を何も見なかったので、好きなサイズに推測できる
のだ。)想定範囲外の巨鱒だった(はず)。

 

 少し時間がある(イブニング遊びができないから夕食を遅らせて釣りの時間を確保するみたい。前日、定刻
に帰ったら、デイビットを2時間ほど遅れて帰ってきたのだった。)ということで昨日の場所へ。これが行け
なかった。ライズもなかった上、強烈なハイフィーバーに襲われてしまったのだ。背丈の高い牧草が犯人なの
かもしれない。

 ゴアの街のファーマシーによってもらったが、そこにはホースラディッシュのサプリメントは置いてなかっ
たのだ。残念。このレポートはノン・フェ〜ックション。(おやじすぎ)

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