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桐たんす
削り直し

傷んだ桐たんすを直します
 こんな方法で・・
どうでしょうか?  

 


こんな感じになります
                  
更生前のたんす 更生後のたんす
        
更生前の引き戸 更生後の引き戸
        
更生前の開き戸 更生後の開き戸
        
更生前の引き出し 更生後の引き出し
        
更生前の大引出し 更生後の大引出し

 

おばあちゃんの桐ダンス・削り直しの利点
桐たんす削り直し工程を簡単に説明します。
桐ダンスは今どきのプリント化粧板や合板に薄
板を貼り付けたものではなく又、無垢板と称し
て端材を寄せ集めたものが横行していますが、
昔の桐ダンスは柾目の通ったものを使用してい
ますから鉋が入り易く、陽焼けした木肌の一皮
めくる削り直し方法は美しさを出す”理”に叶
っている方法なのです。

 

まずは鉋が入るように金具などを外します


削り直しはたんすの正面、側面の三方が対象で
すからその面に付いている前飾りの付いた取手
金具、引戸金具、はとめ        
(鍵穴に付けてある金具)
戸引き金具、棹通し金具、を外します。桐ダン
スはボルト,ナットではなく折り返し式金具
です丁寧に裏側より取ってください。戸心や台
輪等でっぱり部材を外し鉋(カンナ)が懸かると
ころまで分解します。


桐板部材の修理
板材の修理、虫穴や小さな割れなどは"こくそ
"で埋めていきます。大きなひび割れは桐材を
当てて接着剤し播金で修理します。
こくそは既製品がありますが、
細かな木粉に接着剤を練りこんだもので代用
されます。

 

一番大切な鉋削り


桐ダンスの更生(リフォーム)は鉋削りで決ま
ります、鉋削りが上手に仕上がれば半分以上は
終わったと同じで仕上がりに直結します。 
鉋身を丁寧に砥いで更に裏金の刃先の背もしっ
かり砥いで鉋に納めます。      
鉋身刃の出具合(下端面)を髪の毛一本位とし
裏金も毛一本位手前で合わせます。  
桐材は軽く柔らかい材質です誰でも簡単に削れ
ますが特に丁寧に削っていきます。  
桐たんすの陽焼け跡が薄くなれば年輪の"うづ
くり"(年輪の凸凹造り) 跡も消えています。
逆目を作らないように、鉋の入らないところは
目の細かい紙やすりを使います。


 

うづくり 桐材の年輪を浮き上がらせます


竹ささらの目の極細っぽいのがうづくり棒で
す、ヘラなどでも出来ますが凹が激しく成り
すぎ、うづくり棒は軽く押さえても桐は柔ら
かいので木目を浮き出させ深みが出ます。


 

砥の粉着色いろ色、やしゃ塗り


桐ダンスは白生地肌でそのままで製品化してい
るところもありますが、やはり砥の粉は無くて
はならないものです。       
色もいろいろ白色から黄色、緑系統、赤系統も
あります。天気の良くからっとした日に行いま
す、桐の木肌を出したいなら1回塗り。完全に
乾くまで待つ。 

続けて、やしゃ塗り。やしゃ作りはハンノキ
の乾燥した実を鍋などで煮詰めますこの煮汁が
砥の粉の定着剤となります。  
やしゃ塗りがないと砥の粉が剥げたり斑となり
表面の品質が保たれません。
塗り方は分解した部材毎一気に塗ります。
液垂れは跡が残りますので要注意です。
完全に乾くまで待つ事が肝心です。


 

塗面をウエスで軽く拭く 家具用ロウで


布で塗面を軽く拭きます、其の後家具用ロウで
塗面を丁寧に撫でるように施します。
これにより手垢を防ぎ防水処理にも繋がります

 

戸心や台輪を戻します、金具類を取り付けます


昔からある大きな金物屋なら金具類は置いてあ
りますが、ネット通販ならあるでしょう。おばあ
ちゃんの金具をそのまま使いたいなら側面の棹
通し金具は板金と黒ペンキを塗装をします。
引き手や取っ手蝶つがいは金属磨き粉で磨けば
充分使える状態に戻ります。
棹通しは真鍮釘で固定、取っ手類の足は折り返
し固定する。 金具類(※3)を再利用するなら取り外すときは丁寧に外す。

 

おばあちゃんの桐ダンス若き日の輝きが鮮やかに蘇ります

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桐たんすの製造工程を簡単にお知らせします。
 @桐板材の歪みを火であぶって直す。   
 A板を接ぎ合わせ大きな胴板材にする。  
 B桐たんす本体の胴を組み立てる。    
 Cカンナで胴を削り仕上げる。      
 D引出し、開き、引き戸を組み立てる。  
 Eカンナで削り仕上げる。        
F杢目出し  (表面の仕上げ)    
 G砥の粉塗り (着色様々な色あり)※1 
 Hヤシャ塗(ハンノキの実の煮汁を塗る) 
※2>砥の粉の定着剤
 Iろう仕上げをし耐水性を上げます。   
 J金具類の取り付け

 桐たんすには桐材を使う部位により『前桐』
『三方桐』と『総桐』があります。
・前桐=たんすの前面のみ桐使用。
   ・三方桐=前面と両側面に桐材使用。
・総桐=全ての面に桐材を使用。があります