Kanon In Summer
ある晴れた日の休日、水瀬家にて…
祐一「なあ、名雪…」
名雪「どうしたの?」
祐一「暑くねえか…?」
名雪「祐一…当たり前だよ、だって…」
名雪「夏だもん」
祐一「…だよな」
秋子「あらあら、Kanonと聞いて冬が思い浮かぶ様じゃまだまだですね」
名雪「お母さん?どうしたの?」
祐一「秋子さんが暑さで壊れた…」
秋子「そんなことありませんよ?ちょっと読者に説明をしただけですから」
祐一・名雪「………」
祐一「とにかく、なんでこの家には冷房がないんだ?」
名雪「だって、夏はそんなに暑くないもん」
祐一「…これでか?」
名雪「うん。祐一がおかしいんだよ」
祐一「俺から言わせてもらえばこの町自体がおかしいと言えるのだが…」
名雪「そんなに暑いの?」
祐一「ああとってもな………だああああ!!!暑いと思うと余計暑くなる!!!!」
名雪「じゃあどこか涼しいところにでも行く?」
祐一「例えば?」
名雪「百花屋」
祐一「却下だ。俺はあの店には当分行きたくない」
名雪「…どうして?涼しいのに…」
祐一「どこぞの誰かがイチゴサンデーを7個もいっぺんに頼んですっかり有名人になっ
たからだ」
名雪「…だって約束でしょ?」
祐一「とにかく、百花屋はダメだ。どこか他のところを」
祐一・名雪「うーーーーん……」
祐一「そうだ!海なんかどうだ?」
名雪「うんっ。いいかも」
祐一「一泊二日くらいでな」
名雪「でも、お母さん許してくれるかな?」
祐一「大丈夫、多分一秒で了承が出るから」
名雪「だよね、じゃあ一応聞いてくるねー」
秋子「了承」
名雪「だって」
祐一「な、言った通りだろ」
名雪「香里も呼ぼうよ」
祐一「そうだな、よし、そうと決まれば早速準備だ」
そして…海へ
祐一「夏だ!海だ!Kanonで水着だ!!!」
名雪「祐一、なんだかとっても嬉しそう」
祐一「まあな、夏と言えば海だしな」
名雪「祐一…言ってる意味がよくわからないよー」
香里「ホント子供ね」
祐一「……ちょっと待て、誰かを忘れている気がする…」
名雪「祐一も?実は私も…」
香里「私も」
一同「うーーーん…」
??「このメンバーに足りないもの、それは俺だろ?」
祐一「…誰だ、お前?」
名雪「私、知らない」
香里「私も」
北川「俺だ!北川だ!!」
祐一「おお!北川か」
名雪「あ、北川君」
香里「そう言えば北川君のこと忘れてたわね」
北川「忘れないでくれ…これでも声が入ってるんだから」
祐一「なんせ絵が一枚だからな」
北川「それを言うなあぁぁぁぁ!!!」
香里「どうでもいいけど早く着替えない?」
祐一「そうだな、時間がもったいないしな」
名雪「じゃあ、私たち着替えてくるねー」
祐一「俺らも着替えてこようぜ…って北川、どうした?」
北川「ふっふっふ…ついにこの時が来たな」
祐一「この時って?」
北川「それはいくら相沢でもいう訳にはいかない」
祐一「んじゃあ勝手にやっててくれ」
北川「待て、相沢!」
祐一「なんだよ…」
北川「いや、待てよ…チャンスは夜にもあるんだ…別に今じゃなくても…」
祐一「早くしろよ」
北川「よし!そうと決まれば早速海をエンジョイしよう」
そして…
名雪「祐一〜!」
祐一「お、名雪。やっと着替え終わったか。ったく遅いぞ」
名雪「私、女の子だもん…」
祐一「そうだったな、すっかり忘れてた」
香里「相変わらずね」
祐一「おお、香里。そっちも相変わらずだな」
名雪「あれ?北川君は?」
祐一「ん、あいつならここに…ってあれ?」
香里「北川君ならあそこにいるけど?」
北川「おーーーい!!!美坂〜!!早く来いよ〜!!」
祐一「…あいつが一番子供じゃねえか?」
名雪「きっと嬉しいんだよ、ずっと脇役だったし」
北川「水瀬!!それを言うなあぁぁ!!」
香里「耳だけはいいわね」
名雪「香里、行ってきたら?」
祐一「そうしてくれるとありがたい、放っておくと何するかわからないからな」
香里「わかったわ、じゃあ行ってくる」
名雪「香里もなんだかんだ言って楽しそうだね」
祐一「あれでか?」
名雪「香里は照れ屋さんなんだよ」
祐一「ふーん…」
名雪「ね、祐一」
祐一「なんだ?」
名雪「この水着…どうかな?」
祐一「いいんじゃないか?動きやすそうだし」
名雪「そうじゃなくて…」
祐一「それに…似合ってるしな」
名雪「祐一…」
??「うぐぅ〜…どいてどいて〜!!」
どかっ!!
祐一「ぐわっ!なんだ!?」
名雪「あゆちゃん…?」
あゆ「うぐぅ〜…痛いよ〜…あれ?名雪さん?それに祐一君!?」
祐一「ったく…せっかくの良い場面を台無しにしやがって…で、なんでこんなところに
いるんだ?」
あゆ「あ、説明は後!!またね!!」
祐一「なん…だったんだ?」
名雪「さぁ?」
おやじ「おう、兄ちゃん。さっきの子の知り合いかい?」
祐一「はぁ、一応そうですけど」
おやじ「だったら750円払ってくれや」
祐一「え!?なんでまた…」
おやじ「あの子、食い逃げしやがったんだ」
名雪「また…お財布なくしたんだね」
祐一「あいつのリュック…穴空いてるんじゃないか…?その前に金がないなら素直に商
品返せばいいものを…」
香里「なにかあったの?」
名雪「あ、香里」
祐一「いや、なんでもない…と、言うか忘れさせてくれ」
北川「なんか機嫌悪いな、相沢」
祐一「それよりどうだったんだ?そっちは」
北川「そりゃあもう!美坂との愛を育ませてもらったさ!」
香里「北川君、ずっと波にさらわれてただけじゃない」
北川「………」
祐一「諦めろ北川、お前はそういう運命にあるんだ」
名雪「流石にかわいそうに思えてきたよー…」
そして夜…
名雪「はい、あがりー」
香里「また北川君の負けね」
北川「何故だ!?何故勝てないんだ!?このカード、細工でもしてあるんじゃないか?」
祐一「ババ抜きで名雪に負けるどころか、10回連続でビリになるほうが難しいと思うぞ」
名雪「私、ババ抜きでビリにならなかったの久しぶりー」
祐一「ちなみにいつ以来なんだ?」
名雪「えーと…小学生の時、風邪ひいて寝こんでた祐一に勝った時以来だよー」
祐一「………聞いたか、北川!!お前はそれ以下なんだぞ」
北川「くそー!!そう聞くと一層悔しいぞ!!もう一回だ!!」
香里「お生憎さま、私達はこれから露天風呂に行くのよ」
名雪「それじゃまたね」
北川「…………」
祐一「どうした、北川」
北川「ついにこの時が来たか…ババ抜きの恨み、晴らさせてもらうぞ」
祐一「恨みも何もお前が弱いだけだろ」
北川「…とにかく、俺達も風呂入りに行こうぜ」
祐一「そうだな、どうせ部屋に残ってても暇なだけだしな」
物語はいよいよクライマックスの露天風呂へ…
男湯にて
祐一「ふう…良い湯だな」
北川「ふっふっふ…」
祐一「何やってんだ?」
北川「男女で一緒に旅行、そして露天風呂…と言ったらすることは一つだろ」
祐一「…言っておくが俺はやらないからな」
北川「お前にはこの漢(おとこ)のロマンがわからないらしいな」
祐一「なんとでも言え」
北川「後で後悔するなよ?…じゃあな!」
女湯にて
名雪「気持ち良いね〜」
香里「そうね、なんか身体中の疲れが一気に取れるわね」
名雪「あれ?向こうに先客の人がいるみたいだね」
香里「こんな広い旅館だもの、貸し切りは無理よ」
???「あははーとっても良い湯ですねー」
?「はちみつくまさん…」
女湯には屈強の猛者がいるとは露知らず、北川は自ら死地へと飛び込もうとする
北川「おお!まさに秘境!!どれどれ…ひいふうみい…4人か」
?「…!?」
しゅっ!!(剣を投げつける)
ガキーーーーン!!(岩に突き刺さる音)
北川「………何だ!?け、剣!?」
???「どうしたの?」
?「魔物の気配…」
名雪「魔物?」
???「あははーそんなのいるわけないですよーきっと気のせいですよ」
香里「大体見当はつくわね…」
男湯にて
祐一「今の声…どっかで聞いた事あるような…」
北川「あ、相沢…」
祐一「お、どうだった?…ってその顔見れば聞くまでもないか」
北川「ああ、危うく死ぬところだった」
祐一「んな大袈裟な、見つかってはないんだろ?」
北川「剣で串刺しにされるところだった…」
祐一「は?剣…?」
そして夜が明けて…
祐一「なんか、あっという間の1日だったよな」
北川「………」
香里「………」
名雪「でも、とっても楽しかったよー」
祐一「どうしたんだ?北川、香里」
北川「相沢…お前は今朝、なんともなかったのか?」
祐一「??いや、別になんとも」
香里「慣れって恐いわね…」
名雪「どうしたの?」
北川「水瀬!!お前の目覚ましが強烈過ぎてさっきから耳が痛いんだよ!!」
香里「今度からは名雪とは別の部屋にしてもらうことにするわ」
祐一「なるほど…そういうことか。俺もおかしいとは思ってたんだ。いやにあっさり名
雪が起きてきたからな」
名雪「うんっ。今日はみんなもいるし、寝坊するわけにはいかないって思ったから、た
くさん持ってきたんだよ、目覚し時計」
北川「というか、一個でちゃんと起きてくれ…」
香里「今だけ相沢君がたくましく思えるわ…」
そして1日ぶりの水瀬家…
名雪「ただいまー」
祐一「はあ…なんかどっと疲れたな」
??「あうー」
祐一「あの声は…真琴か?」
名雪「どうしたんだろ」
真琴「あ、祐一!秋子さんが…」
祐一「あ、秋子さん!?」
秋子「皆さん、AIRAIRって楽しそうですね…」
名雪「お母さん…」
祐一「ぐ、ぐれてる…」
後書き
この作品はハッキリ言って冬に書いたものです それも真冬です
いやね、なんか季節外れのものが書きたくなるときってもんがあるんですよ(笑)
うん、これは結構楽しめて書けました つーかこの時ほど画力が欲しいと思ったときは無いですね
なんでかって?だって絵が描けたら水着が描けるじゃないですか(爆)