white memories〜第一章


・・・・・・・
夢を見ていた…
どんな夢かはわからない…
ただ…悲しい夢だったのは覚えている…

俺はふとんから手を伸ばし、目覚し時計を見る…
5:30…寒いわけだ
時計を元に戻し、俺は再び目を閉じた…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
 「裕介〜〜〜!!!!」
誰だ…人の名前を大声で叫びやがって…
 「起きなよ〜!裕介!!」
朝っぱらからんな大声出しやがって…近所迷惑だろうが…
 「も〜!!覚悟しなさいよぉ!裕介!」
・・・・・・・・なんとなく嫌な予感がしたので俺はしぶしぶ体を起こす
・・・・・・・・・・・・・・バフッ!!
俺が体を起こすと同時に後ろで音がした…
 「あ、起きた…」
 「おい…何やってんだ?」
後ろを見ると、枕に鞄がめり込んでいた…
 「何って?」
 「…お前は俺を殺す気か!?」
すると目の前の女の子(と呼ぶには無理がある性格?)は
 「こんな事で死ぬわけないよう、それに起きない裕介が悪いんだよ」
 「そういう問題じゃねえだろ!それになんでお前が俺の部屋にいるんだ!?」
 「何でって…起こすように頼まれたからだよ」
 「・・・・・・・・・俺は頼んだ覚えはないが?」
 「裕介にじゃないよ、おばさんに頼まれたんだよ」
と言って俺に鍵を見せてくる…あれは俺の家の鍵だ…
母さん…こいつに頼むのは間違ってるぞ…
と、今更愚痴っても仕方が無い
母さんは今仕事の関係上、家を空けている
しばらくは戻らないそうだ、ま、いつもの事だから慣れてはいるが…
むしろいないほうが気楽でいい。父さんは…俺が7歳の頃に死んだ
 「ほら!早く用意しないと学校に遅れるよ」
・・・・・・・・この口うるさい奴は『長嶺梓』俺の古くからの腐れ縁だ
家も近所で昔から一緒に遊んでいた…
もう一人の幼なじみも『いた』のだが…
 「ほらーー!裕介!早く着替えて!」
ボフッ!
 「ぐわっ!」
俺の顔に制服一式がヒットする…
 「・・・・・・・・・・・・・」
 「?どうしたの?早く着替えないと遅れちゃうよ」
 「梓…」
こいつ…アホか?
 「え?何?」
 「着替えたいのは山々なんだが…」
 「?じゃあ、早く着替えなよ」
 「まあいいけどさ…」
もうこいつの相手してるのも疲れてきたので、
俺はサッサと着替え始めた
 「わああああああああああああ!!!」
 「なんだ?朝っぱらから騒々しい奴だな…」
 「ゆ、裕介!なにやってるんだよ!」
 「何って、お前が着替えろって言ったんだろ…」
 「そ、そうだった…ご、ゴメン!」
バタンッ!
部屋のドアが思いっきり閉められた
ったく…これから毎朝こんなことになんのか?
そう考えるだけで頭が痛くなってきた…

 「よ、お待たせ」
 「よ、じゃないよ!早く行かないと〜」
 「人生そんな生き急いでどうすんだ?早死にするぞ?」
 「もう!訳のわかんないこと言ってないで早く走るの!」
玄関のドアを開けると真っ白な雪世界…
この季節にはたいして珍しいものでは無いが…
どうにも寒すぎる…
雪に反射する太陽の光が寝起きの俺には一層眩しく感じた
 「裕介、朝ご飯は?」
 「お前…言ってる事が矛盾してるぞ」
 「え、なんで?」
 「お前が早くしろって言うから早くしたんだろうが!」
 「それとこれとは話が別だよ、ちゃんと朝ご飯は食べないと…」
 「・・・・・・・・もういい、行くぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「待ってよぉ!!裕介ぇ!!」
早くしろっていったのはお前だろうが…
ったくついてこれねえんなら、これからは先に行けよな…
と、言ってやりたかったが声が届かないほど二人の距離は開いていた
 「…おい!」
俺は少し走るスピードを落とし、梓に並ぶようにしてまた走り出す
 「え?なに?」
 「明日からは…もう起こしに来ないでいいぞ」
 「そういう訳にはいかないよ、おばさんに頼まれたんだから」
 「二人そろって遅刻してたら意味ねえだろうが!」
 「それはなかなか起きない裕介が悪いんだよ〜!」
…確かに一理ある、何を隠そう俺はめっちゃ朝に弱い
今の今までこうして遅刻もせずに(といってもたまにするが)やってこれたのだって
奇跡に近い。だが俺はあえて…
 「それはな梓、お前の気合が足りないからだ」
 「そんな事言われても〜…」
もう言葉の語尾が聞き取れないほど梓の息は切れていた…
 「でも、綾ちゃんすごいよねえ…いつも裕介の事起こしてたんだから…」
・・・・・・綾ちゃん、か・・・・・・・
 「早くしねーとマジで遅刻するぞ!サッサと走れ!」
 「あ、待ってよぉ〜」
・・・今でこそこんなありふれた日常だが『あの時』はひどかった・・・
それに比べてれば今は遥かにマシだった・・・
もうこれ以上日常というかけがえの無い時間が無くならない様にと
切に願っていた・・・もうたくさんだ、大切な人を失うのは・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「な、なんとか間に合ったね・・・」
 滑り込む様にして俺たちは教室へ入る
 「なんとか、な・・・」
 「でも、良い運動になったよね・・・」
 「俺はもうまっぴらごめんだ・・・」
 「裕介が悪いんでしょ!いつまで経っても起きないから」
 「それは違うぞ、お前の気合が足りないからだ!」
 「う〜」
 「ほら、先生来たからサッサと席へ戻れ」
俺がそう言うと梓はしぶしぶ自分の席へ戻る
ったく、ガキか?あいつは・・・
 「お前ら・・・相変わらずだな」
 「いっそのこと付き合ったらどうだ?」
すかさずまわりから冷やかしの嵐
ま、当然と言えば当然だな
 「冗談言うな、あいつなんかと付き合ったらそれこそ体がいくつあっても足りやしねえ」
そういうと窓の向こうに視線を反らし・・・
 「それに俺は・・・」
その言葉は誰に聞こえることなく窓の向こう・・・
昨日とはまったく違った青空へと吸い込まれていった・・・

キーンコーンカーンコーン
チャイムの音で目が覚める
正確に言うと、チャイムが鳴る5分前には意識が戻ってはいるのだが
この5分という時間は俺にとって至福の時なのだ・・・
まあ、そんな事はどうでもいい、とにかく昼休みだ
 「裕介!お昼休みだよ!」
背後から急に背中を叩かれ意識が完全に覚める
 「いってえな、んなこと言われなくたってわかってる」
言うまでもない、梓の奴だ
 「じゃあ行こうよ!」
 「おい・・・」
 「え?何?」
 「行くって・・・どこに?」
俺は当然の質問を梓にぶつける、いきなり俺のところに来て『行こう』と言われれば
疑問を持つのは当然である・・・が、こいつにはそんな常識は通用しないらしい
頭の上に『?』が浮んでいるのが一目でわかる
 「どこにって、中庭だよ」
 「なにしに?」 「お昼ご飯食べに」
 「誰が?」 「裕介が」
 「誰と?」 「私と」
 「どうして?」 「この時間じゃ食堂が込んでるから」
 「却下」
 「えーーー!どうして?」
 「あのな、お前バカか?こんな寒いのに中庭に出て、のほほんと昼飯食う奴なんか世界中どこ探したっていねえぞ」
 「いるもん・・・」
 「へぇ、どこのどいつだ?」
 「裕介・・・」
もう嫌だ・・・こいつの相手するのは・・・昔からこんな風だったが、最近ますます磨きがかかってきたと言うかなんというか・・・
 「とにかく、一緒に食べるという考えには賛成してやるがもっとマシな場所は考えられねえのか?」
 「マシな場所って?」
・・・本気で言ってるからなおさら始末が悪い、こいつと話していると時々小学生の相手をしている錯覚に陥る・・・
 「だから、んな寒い場所じゃなくてもっと暖かい場所はねえのかってことだ」
 「ん〜・・・」
俺がそう言うと梓は腕くみをして真剣に考える、そんな真剣になる事でもないだろ
と、突っ込みたかったがこの際良しとしよう
 「じゃあ・・・屋上!」
 「中庭も屋上も似たようなもんだろ!」
 「違うよお」
 「違わない!同じ屋外だろうが!」
 「でも屋上のほうが暖かいよ?」
 「どこと比べてるんだ・・・中に比べたら遥かに寒いだろうが・・・」
こうして貴重な昼休みが消えていったのは言うまでもない・・・

 やがて今日の全ての授業を終える鐘の音が聞こえた…
 「裕介!放課後だよ〜!」
帰りのHRが終わると同時に真っ先に俺の席へ寄ってくる。
 「んなこと言われなくてもわかってるって…」
 「あ、ちゃんと起きてるんだ?」
 「当たり前だ、寝ながら返事するわけないだろうが」
 「じゃあさ!一緒に帰らない?」
 「却下だ、残念だが俺には用事がある」
 「えー!そうなんだ?じゃあ一人で帰るね…」
 「ああ、悪いな、また今度な」
いつもならこの断り文句は一緒に帰りたくないためのでっちあげの用事なのだが…
今日は違った。昨日会った女の子、立花深雪のことが頭から離れなかった。
今日も『あの場所』にいるのだろうか…俺は自然と且つ早足にその場所へと向かっていた。

 静かだった…まるでその空間だけが切り取られたかのように静寂に包まれていた。
自分の足が雪に埋まる音しかしない。時間的には夕方…あの場所から見える景色が
二番目に綺麗に見える時間帯だ。そしてそこにはやっぱりあの女の子がいて…
真っ白な雪の中に溶け込むようにして、何かを待っているかのように立っていた。
 「…よ、また会ったな。」
俺がそう言うと立花はゆっくりとこちらを向き。
 「…こんにちは」
と、だけ言った。
 「今日も来てたんだな」
俺がそう言うと立花はこころなしか真剣な表情で
 「…昨日…」
 「ん?」
 「昨日、約束しました…『またな』って…」
 「もしかして、俺のせいなのか…?」
少し悪びれた感じで苦笑を浮かべる俺を見ながら立花はクスッと薄笑いを浮かべ
 「冗談です」
 「なんだよ…驚かすなよ」
 「ごめんなさい、でも約束と言うのは冗談じゃないです」
 「約束?」
 「はい…約束です…人と待ち合わせしています」
 「こんなところでか?」
こんなところ…自分の大事な場所を『こんなところ』呼ばわりするのはちょっとひけたが、
普通の人から見ればここは十分『こんなところ』に相当する場所である。
町の外れの小高い丘の上…しかも冬のこんな時期にここで待ち合わせなんて普通の人では
考えられない。俺はなんとなく一つの答えにに達していた。
 『こいつは…立花は、俺と同じなんだ…』
絨毯を敷いたような雪に夕暮れの日が照り返して、あたりはぼんやりと淡い赤に光っている。

 「…今日も来ないな,待ち人…」
 「そうですね…きっと忘れてるんだと思います、約束の日を…」
 「しょうがない奴だな,そいつも…でもいつまで待ってるんだ?」
 「私はバカだから…忘れられてるってわかっていても、思い出してくれるまで待っている事しかできないんです」
 「ホントどうしようもないバカだよな…」
 「すいません」
 「立花じゃねえよ、お前のとの約束をすっぽかした奴のことを言ってるんだよ」
 「いつものことだから…約束に遅れるのは」
 「俺も人のこと言えないけどな…」
 「え?」
 「なんでもないよ、それより今日はもう来ないんじゃないか?こんな時間だし…」
 「そうですね…今日はもう帰ります」
そう言って俺らは一緒に家路へつく…名残惜しそうに何度も振り帰る立花を促しながら…

 「そう言えばさ、その制服って…聖女?」
せっかく一緒に帰っているのに何にも話さないのはどうにも気がひける…
そう判断した俺が考えに考え抜いた結果出た話題がこれである…
 「はい、そうですけど…何か?」
それでも真剣に受け答えてくれる立花に少なからず感謝の気持ちすら覚えた。
 「マジかよ…立花って頭良かったんだな…」
聖女と言うのは『聖林女子高校』の略であって、このへんの女子高ではトップクラスの学力を誇る学校である
と噂しているのをクラスの男子がしていたのを聞いた気がする。付け加えて言うのなら可愛い子がたくさんいるらしい…
まあ、その時は興味無いとばかりに聞き流していたのを覚えている。
ふと、隣に視線を移す。隣…すなわち立花である…
 (ジーーーーーーーー)
 「・・・・・???」
確かに、外見は悪く無いな…むしろ良いくらいだ…たまには奴らの噂も信用できると言う事か…
 「あの…藤村さん?」
立花の声にハッと我に返る俺…気がつくと立花が不思議そうな表情を覗かせていた。
 「ん?ああ!いや…なんでもない。うん、なんでもないぞ!」
 「そうですか?なら良いですけど…」
立花…お前は今の俺の態度を見てホントになんでもないと思えるのか…一種の才能だな…その性格は
 「おっと、俺はこっちなんだけど立花は?」
 「私はこっちです」
そう言うと立花は俺とは違う方向を指差す。
 「じゃあ、ここでお別れだな」
 「はい、それじゃあ…今日はありがとうございました」
 「別にお礼言われるようなことしてないぞ?」
 「なんとなく…言いたかっただけです。それじゃあ…」
そう言うと、ぺこりと一回お辞儀をして立花は町へ解けこむように消えていった。
途中、俺がまたなと手を振るとこちらを振り返り、また一礼をして帰っていった。
 「さってと…すっかり遅くなっちまったな…俺も帰るか」
空を見上げると、さっきまでの赤色の空は紫色に変わり始めていた…

 家に着いた俺はふと違和感を感じた…
 「俺…電気付けっぱなしで出て行ったっけか…?」
玄関から自分の家を眺めそう呟く、見てみるとキッチンから光が漏れている…
 「俺に限って電気のつけっぱなしなどあり得ないはずだ…ましてや台所なんかは…」
自分で言うのもなんだが、ここ最近台所を使った覚えが無い…
よって電気が付いているなどあるはずがないのである。
俺はおそるおそる玄関を開け中に入っていった…するとそこには…

To be continued〜

―後書き―

 はい!七瀬です!無事第1章も終わりました!早足で書き続けてきたので、いい加減限界です(笑)
なんか中途半端な所で終わっていますが気にしないように(爆)
なんかだんだん書き終えられるかどうか不安になってきました(苦笑)
それじゃあ、また次回お会いしましょう。(次回っていつなんだろうか…)