white memories〜第四章〜

〜前編(?)〜

 

 「立花!」
息を切らしてやっとのことでたどり着いた。約束の場所は
相変わらずの静けさに包まれていた。
 「立花…?いないのか?」
どうせ、いつもみたいになにも言わずにその辺からひょっこり出てくるのだろう。
そう思った俺は辺りを歩き回る。
 「…………」
おかしい。しばらく探しまわったが、立花の姿はどこにも見当たらなかった。
それこそ、この景色にとけこんでしまったかのように…
 「まさか…」
そう思うと同時に俺は走り出していた。
なんでそうしたかはわからない。でも嫌な予感がしていた…
 「どこだ…どこにいるんだ!?」
どこを走っているのかもわからなかった。
ただひたすら探しつづけていた…
どれだけ探しただろうか…身体は夏のように暑くなり、額からは汗が流れ落ちていた。
 「ちくしょう…一体どこに…」
ふと、疲れのため伏せていた視線を上げると人ごみが目に付いた。
 「すいません…ちょっと通してください」
人ごみを掻き分けるようにして進む。
先頭までたどり着いた俺の目の前に広がったのは、交通事故の現場だった。
 「ここで…何があったんですか…?」
俺は近くにいる警官に尋ねる。
 「事故だよ、ここで女の子が車に轢かれたんだよ」
俺の中に嫌な考えが渦巻く…
そんなこと、あるわけがない!そう思いつつも俺は更に尋ねる。
 「その女の子の名前とか…わかりますか?」
 「名前?えーと、ちょっと待っててくれる?」
そう言ってその警官は現場近くに居る同じ警官の元へ走っていく。
心の中で俺の考えが違っていることを祈る…
 「お待たせしました。名前は…」
 「嘘…だろ」
名前を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になる。
さっきまで俺と一緒にいたのに…
待ってるって言ったじゃねぇか…!
俺はその場にいた警官に運ばれた病院の場所を聞いて真っ先に駆け出した…

 

 静まりかえった病院内…
目の前の治療室には赤いランプが灯っている。
 「あの…深雪のお知り合いの方ですか?」
ふいに声をかけられる。
 「…ええ」
なんとか声を振り絞ってそう応える。
その人は深雪のお母さんだった…
 「もしかして…藤村さん?」
 「そうですけど…どうして名前を?」
 「最近あの子、明るくなったんですよ。それで悪いとは思ったんだけどあの子の日記を見たの」
 「最近明るくなったって…?」
 「あの子、幼なじみだった直樹君って子を亡くしているのよ。それ以来ずっと抜け殻と言うかそんな感じで…」
なるほど、俺が立花とどこか同じように思えたのはそのためだったのか。
立花も大切な人をなくしていたのか…
 「でも、ホント最近になってあの子も前のように明るくなっていったの。ありがとう、藤村さん」
 「お礼なんて…俺はただ一緒にいただけで…それに、彼女がこんな目に遭ったのは俺のせいですし…」
俺があの時、一人で行かせなければ…
もっと早く立花を見つけることができていれば…
後から後へと際限なく後悔の念が沸いてくる。
そうこう考えている内に、『手術中』と書かれたランプが消える。
と、同時に主治医らしき人が出てくる。
 「深雪は…娘はどうなんですか?」
 「それは…」
先生はひとつ間を置いて説明をしだす…

To be continued〜

ども!あけましておめでとうございます!ついに年を超えた作品になってしまいました…
どんどん長くなってしまってすいません…(汗)しかも、今回が最終章と言っておきながら…
言い訳をすると、この回だけでは内容的に書き上げられないと判断したので
次回へ持ち越し、と言うことになったのであります
ホントにすいませんです、次回こそ本当の最終章です!!……多分(爆)
それでは今年もよろしくお願いします
でわでわ(∵)ノ

執筆日:2001/1/6