white memories〜エピローグ〜

いつもと変わらない朝。
いつもの様に幼なじみに起こされ、
冷たい制服に袖を通し
軽く朝食を取り、そして学校までの通い慣れた道を
いつもの様に走る
 「ったく、結局走る羽目になるのかよっ!」
 「裕介がいつまでたっても起きないからだよ!」
何気ない毎日の繰り返し。他愛もない会話。
 「気合が足りねぇんだよ!梓は!!」
 「気合は関係ないよ〜だって裕介、『俺、昨日校長殴ったから。今日は学校休みなんだ』とか訳のわからないコト言うし…」
いつもと変わらないはずなのに…どうしてだろう?
今までとは違う。もちろん悪い意味で違うわけじゃない。
 「そんなこと言ったか?」
 「言ったよっ!!一瞬本当の事かと思っちゃったんだから…」
周りが変わったわけじゃない、俺自身が変わったんだ。
そう自分で勝手に介錯をする。
 「ほらっ、サッサと行くぞ!!」
 「あ、待ってよ、裕介〜」
俺の心を映し出すかのように、空も澄み渡っていた…

 「裕介ッ!!放課後だよっ!!」
今日もいつもの様に俺の背中を叩く梓がいた
 「いちいち言わなくてもわかってる…」
 「そんなことより、一緒に帰らない?」
 「悪いな、今日は用事があるんだ」
 「え?今日、晴れだよね…?」
 「てめぇ…俺に用事があるのがそんなに珍しいのかよ」
 「うん。で、何の用事?」
 「ん?ちょっとな。どこぞのお嬢様のお相手を、な」
 「…あ!そう言えば今日だっけ?立花さんの退院って」
 「ま、そう言うことだ。んじゃあな!!」
自分でもはっきりとわかるくらい、ドキドキしていた。
今日から深雪と会える。
それを梓に悟られるのが恥ずかしくって、俺はつい慌てて立ち去ろうとする
 「あ〜あ…綾ちゃん、わたし2回もふられちゃった…」
そう呟いた梓の声は俺には聞こえなかった…

 会う場所は決まっていた俺達の出会った場所。
そこで別れ。そして…俺達が出会ったはじまりの場所
 「よっ!」
片手を挙げ気さくに話しかける俺。そして…
 「こんにちは」
こっちは相変わらずの仏頂面。
でも、俺にはわかっている。彼女の優しさが
 「身体の方はどうだ?もう全快か?」
 「……」
 「どうした?まだ具合悪いのか?」
俯いたまま何も喋らない深雪に俺は駆け寄る
すると…
 ポカッ!!
いきなりの深雪の攻撃。
 「いてっ。なんだぁ?」
 「日記…」
 「は?」
 「私の日記、見ましたね?」
日記…?深雪の母親から見せてもらったアレのことを言っているのだろうか
 「確かに見たけど、あれは不可抗力だぞ。深雪の母さんが見せてくれたんだ」
 「それでも…見たことには変わりないです」
 「もしかして…それだけで怒ってるのか?」
 「……私にとっては大問題です」
よっぽど恥ずかしかったのだろうか。むくれる深雪を見て俺は思わず吹き出してしまった
 「はははははっ」
 「……裕介、笑うなんてひどいです」
 「悪い悪い。あんまりに深雪が可愛かったから、つい…な」
仏頂面で照れる深雪を見ているとあまりのギャップに耐えられなくなる
 「可愛い…」
深雪なりに照れてるのだろうか?いつもとは違った表情になる
 「おっ?照れてるのか?深雪?」
 「…照れてなんかないです」
 「そっか。まあそう言うことにしておいてやるよ」
いまいち納得のいっていない顔をしている深雪
 「なんだよ、まだ怒ってるのか?」
 「裕介は、意地悪だから」
 「理由になってないぞ?ったくそういつまでも怒ってる奴は…こうだ!!」
俺は深雪の肩を抱きそっと唇を合わせる
深雪の温もりが伝わってくる…あの時、病室で感じた温もりだ
 「………」
 「機嫌、直ったか?」
 「元々怒ってません。だけど…」
降り積もった雪はいつか溶ける日が来る。
俺達にとって、辛い場所、そして始まりの場所
これからも辛い事や悲しい事もあるかもしれない。けど
二人一緒なら…乗り越えていけるはずだ。
だって俺は…
 「とっても、嬉しかったです…」
深雪のことがこんなにも好きなのだから…

「いつか二人で一緒に見ような?ここからの夜景…」
「はい…」

〜Fin〜

〜後書き〜

浩平「やっと終わった〜…」
裕介「お疲れさん!」
深雪「結局、この展開になったんですね」
浩平「しょうがなかったんだ〜!!許してくれ〜!!(泣)」
 梓「わたしの扱いもちょっとひどかったよね〜」
浩平「うっ…それは俺もすまないと思ってる(笑)」
綾香「真のヒロインは私だよ♪」
浩平「うおっ!?どんどんでてくる…」
深雪「もうすでに収拾がつきませんね…」
 梓「わたしと綾ちゃんをもっと使ってよ〜」
浩平「だああああ!!!わかったわかった!!次回(?)は番外編で「綾香との出会い」みたいな感じに書いてやるから!!」
 梓「やった!楽しみだね、綾ちゃん」
綾香「そうだね♪」
浩平「ああ〜…俺の休みが〜…」
裕介「御愁傷様…(−人−)」
深雪「……楽しそう」

出演:浩平(作者)・藤村裕介(主人公)・立花深雪(ヒロイン)・長嶺梓(サブヒロイン)・小泉綾香(真(?)ヒロイン)

〜御愛読、誠にありがとうございました〜

執筆日:2001/02/05