ねじまき鳥クロニクル 第3部 鳥刺し男編
1995年8月25日金曜日 発行 新潮社
村上春樹の問題長編3部作の完結編。
だいぶ以前に1部と2部は読了していたが、第3部が時間がたってから
発行されたまま、未読になっていた。いまようやく沼津市立図書館で
借りて読み終えた。1部と2部の記憶が薄れてはいたが、読んでいるうちに
だんだんと記憶がよみがえって来た。
モンゴル「ノモンハン事件」・シベリア抑留捕虜等の壮大な歴史劇と現代の錯綜した
事件が、ある廃屋の井戸の底で見事につながって、全容が解き明かされる。
読み終わるまでは、決してやめることは出来ず、読み終わると、精神に大量の汗を
かいている事に気づく。
沼津市立図書館のページhttp://www.tosyokan.city.numazu.shizuoka.jp/蔵書の在庫・貸し出し状況がインターネット上で検索出来て非常に重宝。
遠い太鼓 村上 春樹
1990年6月 発行 講談社 1993年4月15日 文庫版第1刷発行 1998年6月26日 第10刷発行
1986年秋から1989年秋までの3年間のギリシャ・イタリア等の南ヨーロッパ滞在中の旅行記。
この間に著者は「ノルウェーの森」「ダンス・ダンス・ダンス」等のベストセラー長編小説を書き上げ
一躍現代日本におけるもっとも支持される作家の一人となった。
ベストセラー作家として国内でもてはやされる事への戸惑いと混乱等の著者の正直な心境が
旅行記の中で綴られており、作家として息詰まった時の治癒行為としての翻訳の仕事の位置づけ
など、村上春樹文学の理解を深めるのにもとても役に立ちおもしろい。
最近作「スプートニクの恋人」の舞台となったギリシャの田舎町の様子が、著者の愛情あふれる
記述にのぞかせており、ベールに包まれた彼の人間性をかいま見る事が出来る。
僕とみづきとせつない宇宙 平中 悠一
2000年11月10日 初版印刷 2000年11月20日 初版発行 河出書房新社
きわめて寡作な作家である平中悠一の久々の長編である。
18歳の夏に主人公トオルは、ミュージシャンを目指し、CDデビューを約束されるが
大人社会(業界)の気まぐれで挫折していく。そんな中で、GF珠美と性同一性障害に悩む
その妹みずきという二人の女性の間で揺れ動く、こっけいなほど切ない純愛。
「SHE’S RAIN」でデビューした彼の持ち味が変わることなく長編に開花した彼の代表作
となるであろう一冊。「SHE’S RAIN」のレイコは、みづきとなり、そのみづきは宇宙の星
となるが、人生においてかけがえの無い人を失った後の切なさは、永遠に人の心に残り続ける。
センセイの鞄 川上 弘美
2001年6月25日 初版第1刷 2001年9月10日 初版第5刷 平凡社
高校の国語の教師と教え子が20年ぶりで、偶然に飲み屋で出会ったことがきっかけとなり
どちらからともなく、同じ飲み屋で酒を交わす様になる。二人の年齢を超えた性をヌキとした
純愛物語には、現代の男女が忘れてしまった普遍的な愛のカタチを見出すことができる。
平易な言葉が、静かに流れる切ない結末には、涙を隠すことは出来ない。
姫君 山田 詠美
2001年6月30日 第1刷 2001年8月25日 第3刷 文芸春秋
愛と背中合せに存在する死をテーマとした5編の短編集。
あまりにも甘味で切ない愛は、その裏に死がつきまとうことにより
その輝きと価値を完結しているのです。
だからこそ、人は、その一瞬一瞬を大切にしなくてはいけないのです。
インストール 綿矢 りさ
2001年11月10日初版印刷 2001年11月20日 初版発行 河出書房新社
17歳の高校生が、自分の部屋をリセットしようと粗大ゴミとして、廃棄したパソコン。
それを拾った小学生がOSをインストールして蘇生させ、それがきっかけで、二人がネット
ワークで垣間見るオトナの世界。
等身大のいまどきの高校生の情感を見事に描ききった話題作。
平中悠一以来の10代「文芸賞」受賞作です。
将来の発展に大いに期待が持てますね。