2011年1月1日
晩秋の夕暮れ時
ずいぶんと冷え込んできたものだと、思っていると
庭先から「みゃー」と、か細い子猫の鳴き声一つ。
窓越しに覗いてみると、声に似ず、たいそう大柄な野良一匹
モノほしそうに、こちらをうかがっている。
そんな猫なで声をいくら出しても、だまされないぞ!
部屋の中には、チワワの「アラレ」、老猫の「ムギ」
我が家のペットは、十分、間に合っているぞ!
さっさと、よその家をお探しなさい!
それでも「みゃー、みゃー」、しつこいったら、ありゃしない。
「アラレ」も「ムギ」も突然の訪問客に興味津々
目を丸くして、窓越しに臭いを嗅いでいる。
窓を開けて「シー!」と威嚇しても逃げる様子もなく、
指先を隠して、「怪しいものではありません」とうずくまる。
おまえは、そうして持久戦に持ち込むつもりかい。
仕方ない、一度だけ、まんまをあげるから、おなかを満たしたら、お引取り願おう。
窓を開けて、訪問者を両手で抱きかかえると、大きさの割りにたいそう軽い。
毛に隠れていたのだが、よっぽと痩せこけていると見える。
かわいそうに、今回限りは、腹いっぱい食べなされ。
ところが、一度限りのまんまのはずが、「まんま」と罠にはめられる。

一度が、二度に、二度が、三度に、度重なるうちに
いつの間にやら、お前は、家の中に上がりこみ
我が物顔で、えさをおねだり。
「パパどうするの? 誰が飼うの?」と、息子の嫁さんからの緊急動議。
「じいじの許しは、誰がもらうの?」と、息子からの大きな難題つきつけられ、
仕方ない、認知されない隠し子のごとく、
二階で、こっそり、パパが飼う
こっそり、こっそり、パパが飼う
ことにするから
じいじには、内緒の内緒!
そうしよう!
そうすることに
しておこう!

飼うと決めたら名前をつけねば、
名前は、なんとつけようか?
毛並みがふさふさウーロン茶色
そうさ、「ウーロン」
「ウーロン・ウーロン」
けれど、じいじには内緒の内緒
最近、近所でよく見かける茶色の野良猫
実は、夜は、パパの布団の中。

飼うと決めたらノミ取りシャンプー、
しっぽは曲がっているけれど、ふさふさ長毛の器量よし、
ゴミ箱あさりの悪い癖、しっかり、しつけて、直しましょう。
動物病院連れてって、ワクチン注射もしてもらおう。
獲物を漁るとがった爪も、もう必要はなし、
車に乗せてトリマーさんちで、切ってもらいましょう
そうしましょう。
車に乗せると、不安がり、
そわそわ、ぐるぐる、車内でニャーニャー、
膝に抱いても、肉球に大汗かいて、
なんだかとても、落ち着かず、
「どうしたの」と
言ったとたんに
膝の上に大きなお漏らし、大変大変、どうしましょう。
車を止めてドアを開けると、勇んで飛び出し、
車の下から出てこない。
怒らないから、戻っておいで、
憎めない「ウーロン」!

何が、好きって、テレビのアニマル
見るもの聴くもの、興味深々、
野生の本性うずきだす。
鳥とねずみが、大好きで、
登場すれば画面をかりかり、
くるくる裏まで、探して回る。
見ているこっちも目が回る。

今日も、じいじの知らない2階の部屋で
すやすや、かすかにいびきをかいて
ねずみと鳥に囲まれた
春の
楽園の
夢を
見ている
こと
だろう
!!!
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