あらしのよるに
上映時間:107分


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
ファンタジー メイ:成宮寛貴
ガブ:中村獅童
タブ:林家正蔵
バリー:山寺宏一
ミイ:小林麻耶
メイのおばあちゃん:市原悦子
カブの母:早見優
長老:坂東英二
ギロ:竹内力
原作/脚本
きむらゆういち
監督
杉井ギサブロー




 幼少の頃、母親が身を挺して庇ったことで、狼達の襲撃から逃れたヤギのメイ。
 彼はある日、唐突に襲来した嵐から避難すべく、壊れた山小屋に飛び込んだ。暗闇で 何も見えぬその場所で、"仲間"と思しき動物がずぶ濡れになって突入してくる。 風邪をひいて鼻のきかない2匹は、相手が何者かは分からない。 心細さを紛らわせるため、好きな食べ物、雷が怖いことなど、二匹は他愛無い話を始める。 やがて意気投合した二匹は、翌日のお昼に再会する約束を交わす。合言葉は「あらしのよるに」。
 翌日、「あらしのよるに」の合言葉と共に、二匹は驚愕の対面をする。メイの前に現れたのは、 天敵である一匹の狼であった・・・。


† アニメ 作品レビュー †
 原作はベストセラーの絵本「あらしのよるに」シリーズ(学校図書館調査報告では、ハリー・ポッターに 次ぐ人気)という予備知識も無しに、以前映画館で観た。周囲が子供達ばかりであり、お子様向けの話だったとは ・・・。
 本作を一言で言い表すならば「山羊(草食動物)と狼(肉食動物)の友情の物語」であるが、大人気ない視点に 立つと、フィクションだからこそ成り立つ奇麗事の話だとも言える。狼(ガブ)の仲間が「お前、餌と 仲良くなってどーする!?」と突っ込んだように、肉食の狼が肉食をやめるわけにはいかない。山羊(メイ)は 狼(ガブ)がこっそり肉食の食事を済ましているのに気づき、不快感を隠せない。空腹に苦しんだ果てに、大人 向けの残酷な終わり方を期待交じりに覚悟してしまったのだが、結局は童話の王道ストーリーをなぞる様に、 友情物語として描ききってしまった。極限状態に何度も追い込まれ、それでも、純真な二匹の種を越えた友情は 胸を打つという見方もできないとは言い切れない。
 だが、あえて矛盾に捉われてしまった自分はどうにも上手く感情移入ができなかった。同じ種族のグループ からの脱退し、捕食と被捕食の関係をやめてしまった山羊(メイ)と狼(ガブ)の行動は、普遍的な自然の摂理に 逆らったもの。仲間達の行動や考え方の方が、至極真っ当なはずだ。新たな土地に移ったところで彼等が受け 入れないのも明白ではなかろうか。
 童話の王道として捉えれば、結構いい出来だとは思う。自分は、汚れきった世界の大人だと気付かされるが、 どうしようもない。あれは本当は悲劇の始まりだ、などと、あんまり理屈をこねくり回す大人も格好悪いし、 つまらないとは思いつつも。
評価 執筆者 カンガルー【06/02/04掲載】


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