† アニメ 作品紹介 † |
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ジャンル | 登場キャラクタ :声優 | |
歴史 SF |
宇宙皇子:古谷徹 各務:山田栄子 苦須里:田中秀幸 釣:塩屋翼 田加良:堀川亮 魚養:池田秀一 多々良女:日高のり子 キジムナー:坂本千夏 役小角:池田勝 韓国広足:磯部勉 |
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原作 | ||
藤川桂介 | ||
監督 | ||
今沢哲男 |
ス ト | リ | |
西暦679年、壬申の乱により皇位継承争いに終止符が打たれた頃。 ある日、天空より光の球が舞い降り、数ヶ月の後額に「角」を持つ異形の男児が誕生した。 両親を失い、「役小角(えんのおづぬ)」の母親に拾われたその子は、神の子・「宇宙皇子 (うつのみこ)」と命名され、修験道の総本山・金剛山の役小角に引き取られる。やがて、 小角の元で修行する僧達と共に、貧困と圧政に苦しむ人々の救済活動に加わる。強力な 霊力を持つ役小角は、「鬼」と呼ばれる修行僧達を従え、不動明王を信奉し、朝廷には 常に恭順の態度を貫いていた。しかし、民衆の支持を得ることが朝廷に対する反逆行為と 見なされ、密偵として入り込んでいた広足の連絡を機に、朝廷軍は金剛山を攻め立てる・・・。 |
† アニメ 作品レビュー † |
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1 |
中学生の頃、原作の小説にはまってました。全50巻の予定で、地上編10巻、天上編10巻、
妖夢編10巻、煉獄編10巻、黎明編10巻予定という内約だったかな?煉獄編の10巻くらいまで
読んだと思うんで、多分40冊くらいは読んだし、外伝が3巻出ていて、それも読破したような。
つまり、原作はかなり読み応えがあったということです。最後の10巻を本屋で見かけませんが、
出ているのでしょうか・・・? 平安時代〜鎌倉時代辺りを舞台に、超能力者宇宙皇子が活躍するサイキックアクションもの ですが、歴史上の偉人、大津皇子や藤原不比等など、そして宗教史の偉人最澄や空海も登場し、 宇宙皇子と共闘したり対立したりと話を盛り上げてくれます。日本史好きは興味をそそられる ことでしょう。どの巻も毎回ラストで、「臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前」と九字を 唱えて不動明王に変身し、強大な力で敵をねじ伏せてしまうのが痛快。水戸黄門の印籠の ようなもので、この展開で物事を解決した後に考察や反省をし、小角からの説教を聞いて 次の巻へと話を繋げていきます。九字は、当時孔雀王やスケバン刑事などにもありました。 学校の友達で、九字の手真似を完璧にこなせる奴がいたりしたものです。 とは言え、この作品はサイキックバトルがメインではなく、精神的に宇宙皇子が 毎回どう成長するかがテーマになっています。例えばこの映画版でも、彼は流民達の、 流民達の手による、流民達のための国、流民王国を作ろうと奔走しますが、結局は朝廷軍の 介入により、いつの日か流民王国を作ろうと皆に説いて流民王国作りを断念します。指導者の 小角は結末を分かっていながら決して教えない。永遠の命(不死という意味ではなく、年老いて 死ぬことがないという意味)を持つ宇宙皇子に対し、経験させ、考えさせて学ばせていく。これが 宇宙皇子という作品の一貫したスタイルなのです。作者もあとがきでふれてますが、人の 言うことを鵜呑みにしたり結論を急ぎ過ぎたりせず、経験した事例から学ぶことも大切なのだと いうことです。確かに、世の中の映画や漫画は、何か命題が与えられると「こうなのだ。」 「ああなのだ」と一言で済ませることが多い。明快で痛快ではあるが、この宇宙皇子という 作品ののように失敗や挫折を含めた経験を通して何かを着実に学んでいくという姿勢も 大切だと筆者は訴えるのです。現実は何でも一言で明快に教えてくれる人がいるとは 限りませんしね。 で、肝心のアニメの方ですが、大失敗と言っていい。脚本があまりにも端折り過ぎているし、 間延びがひど過ぎて眠くなる。作画は綺麗なものだが、肝心のストーリー展開に面白みが 失われてしまってどうしようもない。全10巻の地上編を、たかだか1,2時間の映画に 凝縮するってのは無理でしょ。原作の重要人物が登場して直ぐにあっさり死んでいくので、 ドラマ性が薄過ぎ。この展開から深い考察など導出しようがない。 | |||
評価 | D | 執筆者 | カンガルー【04/06/20掲載】 |