100万年の旅 バンダーブック


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
SF
アドベンチャー
バンダー:水島裕
ミムル:小山茉美
ゾービ王:大平透
ボルボックス王:富田耕生
ブラック・ジャック:伊武雅刀
ドクダミ:家弓家正
タスカ王妃:武藤礼子
クドー博士:小林恭治
クドー夫人:二階堂有希子
シャラク博士:肝付兼太
マリーナ姫:岡真佐子
ハムエッグ:永井一郎
エド:勝田久
ドラキュラ:千葉耕市
原作
手塚治虫
監督
手塚治虫




 チャリティー番組『愛は地球を救う』用に製作された長編アニメ。
 宇宙を航行していた宇宙船の船内で突如爆発が発生。1組の夫妻が、自分達の赤ん坊を 小型艇に乗せて送り出す。その直後、宇宙船は爆砕してしまう。
 ゾービ星で女王に拾われた赤ん坊は成長し、王子バンダーとして立派な若者に 成長していた。彼は義父ゾービ王の命令で格闘術を学ぶ。それは、宇宙を支配しようと 画策する地球人に対抗するためであった。やがて、義妹ミムルの話をきっかけに 自らの出生の秘密を知ったバンダーは、地球に旅立つことを決意。だが、決意をして 間もなく一隻の艦艇がゾービ星に飛来。バンダーの住む町は火の海になり、艦艇からは武装した 地球人が降りてきた。混乱するバンダーの市民を森へ逃がすと、バンダーはただ 1人で侵略者に立ち向かおうとする。ゾービ星を攻撃した宇宙人は、各星々から 金目の物を巻き上げようとするギャングだった。そしてそのリーダーは、白と黒の 髪をし、顔に傷を持つ男だった...。


† アニメ 作品レビュー †
 手塚治虫の作品は常に科学文明の発達や戦争の激化に警鐘を鳴らすものが多いが、 本作品も同様。子供の頃は素直に感動できたが、今見ると引っ掛かる所が少し あったりもする。だが、面白さは変わらない。ストーリーはさっぱり忘れていたが、 なるほど、こういうことなのか。ギャングリーダーの正体がXXXのXだと判明する 所なんか、私の好みのツボにハマって...。ヒロインのラストも美しい。
「この星を緑で覆ってみせる・・・。」
 冒険活劇だが、作品のテーマがしっかりしていて何より分かり易い。侵略される 星々の視点で、侵略者の醜悪さを描く。24時間テレビの趣旨にも合致しているし、 エンターテイメントとして完成させた手塚治虫はやはり偉大だと思う。

※↓ねたばれ(※読んでもかまわないという人は、マウスでドラッグして下さい)
 引っ掛かるのが、階級闘争史観(※別名「マルクス史観」。原始共産時代の後、 社会が豊かになると富裕階層と貧困階層が出来る。上の少数階層は下の多数階層を 搾取し、大多数の不幸な人が生まれる。やがて下の階層は上の階層を打ち倒し、 天下をとった下の階層が再び富裕階層と貧困階層に分裂する。これを繰り返して 人々は裕福で幸せに近づいていくという歴史観)で語られている部分。当時はこの 史観が全盛だったこともある。そして、地球人と彼らの科学文明の発展は徹底的に 悪であるという視点がある。最近、この手塚治虫の考え方には非常に違和感がある。 危険性を訴えることに異論はないが、全否定は人間性そのものを否定しているのでは ないだろうか?今更人間が文明の発展をやめ、穴ぐらに戻って暗闇で生活していく なんて出来るわけがないし、誰もやりたがらないだろうから。
 あと、野暮なツッコミを承知で言うと、主人公の最後の行為はテロリズムでしかない。 最後にコンピューター「マザー」を破壊したが、あれですんなり万事解決になるのも どうだろう?世界を統括するものが突然無くなるわけだから、実際あんなことを すれば、世界は大混乱に陥ると思うが。自然に立ち返って呑気に畑耕している 場合じゃないって...。
 ヒロインが最後に自らの意思で植物となる場面は、某大手ゲームメーカーの 「聖剣伝説(GB)」をふと思い出す。世界を 支える世界樹の力を使い、世界支配を目論む悪党ジュリアス。彼に立ちはだかり、 やがて彼を倒す主人公。しかしその時は既に世界樹は力を失い、世界を支える 力がなくなっていた。世界樹は最後の力を振り絞り、娘でもあるヒロインに 「あなたが世界樹となるのです。」と託し、「分かりました。私は世界を 見守っていきます。」と決意。主人公に悲しい別れを告げた後、植物に なってしまう。パクリの有無は定かではないが、何気に思い出した・・・。
評価 執筆者 カンガルー【04/08/28掲載】


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