ガサラキ(英題:Gasaraki)


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
SF
ロボット
豪和ユウシロウ:檜山修之
ミハル:金月真美
豪和美鈴:こおろぎさとみ
豪和乃三郎:小山武宏
豪和一清:高田祐司
豪和清春:千葉一伸
空知:秋元羊介
メス:徳弘夏生
大徳寺琢磨:中田和宏
速川保:安井邦彦
鏑木かほる:日高奈留美
村井沙生:丹下桜
高山臨巳:菅原淳一
豪和清継:速水奨
安宅燐:高山みなみ
陶見:神奈延年
ドール准将:堀之紀
クルス参謀:佐藤正治
原作
高橋良輔
脚本
野崎透
監督
高橋良輔




 日本経済界の有力者、豪和ファミリーは、自衛隊と共同で新型兵器開発を進める総合企業「豪和インスツルメンツ」を設立。 特務自衛隊の全面支援を受け、「タクティカルアーマー(TA)」と呼ばれる二足歩行兵器を極秘裏に開発した。
 その頃、中央アジアの小国ベギルスタンに、核兵器を所持しているという疑惑が浮上する。ベギルスタン政府は核査察を 拒否し、国連は制裁として直ちに多国籍軍を派遣した。しかし、ベギルスタン側の予想外の反撃を受け、多国籍軍は大苦戦。 豪和家の三男清春は、ベギルスタン側にもTAがあるのではと推測し、日本政府を動かして特務自衛隊とTAを現地に派遣する。 その部隊員の中に、余流能楽継承者の豪和家末子ユウシロウの姿があった。彼は、『能』を舞うことでガサラキと呼ばれる 存在を呼び寄せる力を持っていた。


† アニメ 作品レビュー †
 リアリスティックなミリタリー路線のアニメとしては良く出来ているんだけど、ロボットアニメに日本の伝統芸能 『能』や『シャーマニズム』等を混ぜ込んで、説明不足のままストーリーが進行するのはいかがなものか。メカの 戦闘シーンに『能』の舞のシーンが挿入され、凄い凄いっ!と登場人物達だけが勝手に盛り上がられても何を驚嘆 しているのか全然分からない。特に序盤は、どういう組織があってどういった戦闘の背景があるのか不明な上、 専門用語が乱発されて呆然としてしまう。
 更に、いまいち存在感が希薄な主人公とヒロインは、情勢に振り回されるばかり。感情表現に乏しいため、何を考え 何を望んでいるのか良く分からない。そのため、2人のドラマの魅力が十二分に発揮されておらず、感情移入し易い クーデター派の西田氏や特務自衛官の各隊員達の方に存在が食われてしまっている感が。

 ストーリーの背景には1990年代の国際情勢が反映されていて興味深い。アジアを舞台とした架空の小国ベギルスタンに 多国籍軍が殺到する湾岸戦争っぽい描写や、終盤での日米同盟が崩れた際の戦略シミュレーションとも言える日米決戦。 そこでは戦後日本がタブーとしている日米安保を始め、食糧、経済、雇用の問題など、幾つか炙り出していてストーリーの 中で上手く消化されている。自衛隊のクーデターという右寄りな内容かと思いきや、今時非武装中立を真面目に説くという 左寄りな終わり方に至り、結局製作者がどこからどこまで真面目なのかさっぱり分からなくなったが、作中で西田氏が指摘した 米国依存の戦後日本のあり方や、戦後日本の精神性の興廃に対する憂慮等は感銘を受けるものはあるし、問題提起の1つと して捉えれば、非常に意義のある作品だとは思う。

 ただ、エンターテイメント性にもっと配慮して欲しい。「ガサラキ」が何だったのか、作中からはよく分からない。 主人公とヒロインが始終ぱっとしない。豪和家長男の末路は無理矢理過ぎな展開で釈然としない。硬派な戦闘メカや啓蒙 活動もいいんだけど視聴者を楽しませようという熱意に欠ける作品、と評したら言い過ぎだろうか...。
評価 執筆者 カンガルー【09/08/15掲載】


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