ゲド戦記(英題:Tales from Earthsea)


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
ファンタジー アレン:岡田准一
テルー:手嶌葵
ハイタカ(ゲド):菅原文太
クモ:田中裕子
テナー:風吹ジュン
ウサギ:香川照之
ハジア売り:内藤剛志
女主人:倍賞美津子
原作
アーシュラ・K・ル=グウィン
「ゲド戦記」
宮崎駿
「シュナの旅」より
脚本
宮崎吾朗
丹羽圭子
監督
宮崎吾朗




 異世界の龍が現れて共食いを始めるなど、多島海世界・アースシーはあちこちで異変が起こり 始めていた。不作に見舞われた農民は田畑を捨て、職人は腕が衰えるなど、不可思議な報が エンラッド王の下に多く寄せられる。
 大賢者ゲドことハイタカは、世界の均衡が崩れようとしている原因を探るべく旅に出る。 その旅の途中で、エンラッド王子・アレンに出会う。アレンは父王を殺害し、宝剣を奪い 去って国外に逐電していたところであった。アレンは不思議な影に追われていた。そんな 彼にハイタカは若き日の自分を見出し、共に旅をすることにした。
 ホートタウンと呼ばれる賑やかな街に着いた2人は、そこで一旦別行動をとる。その際、 アレンは悪漢に絡まれていて少女テルーに出会う・・・。


† アニメ 作品レビュー †
 タイトル文字列に「戦記」とあり、猛々しい「ドラゴン」と主人公をサポートする「大賢人」が 登場することから、序盤は壮大なファンタジーを期待させてくれたが、その後の展開は『一人の 悪い魔法使いをやっつけに行く』だけというのでは芸が無さ過ぎる。城、草原、街、テナーの家、 クモの居城だけが舞台で、主人公達に絡む登場人物はあまりにも少ない。舞台を広く使って いないというかこじんまりとし過ぎているというか・・・。退屈な場面が多いし、テンポの 悪さもひどい。
 ハイタカ(ゲド)とは何者なのか、クモとの因縁って何なのか、アレン(主人公)の影って何なのか、 父親はどんな人でどう思っていたのか、なぜ父親を殺したのかなど、意味不明な部分が多い。 アレンが何を考え何を悩んでいるのか、どんな男なのかもよく分からない。
 「僕の中には僕の知らない影が居る」と言われても、それだけでは本心なのか少年の妄想なのか 区別が出来ない。「命を粗末にしてはならない!」と言われても、そう思わせるだけの説得力や 吸引力がない。決め台詞に説得力が伴っていないのがあまりにも虚しい。 これではその辺りのエキストラキャラが「命を粗末にしてはならない!」と言っても 同じことでは。人は伝聞や経験から学ぶ。全編を省みても、命が大切だと感銘を受けるシーンは 何一つ無かったように思うのだが、製作者は一体何を訴えたかったのだろうか。
 結末後も、世界の均衡が崩れた原因が明らかにされず、崩れた均衡が修復されたわけでもなく、 お先真っ暗で投げっ放し。
 期待を悲嘆に変えられてしまった原作者が非常に可哀相・・・。
 あと、ボソボソしゃべっている所が何箇所かあり、音量の上げ下げが面倒だった。

 宮崎駿が高齢になってきた今、ジブリとしても後継者を育てる必要性が生じているのは当然のことだと 思うものの、今回の思い切った監督の大抜擢はかえって将来に高いハードルを設けてしまったのでは。
評価 執筆者 カンガルー【07/10/28掲載】


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