攻殻機動隊 Stand Alone Complex


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
SF ドラマ 草薙素子:田中敦子
バトー:大塚明夫
トグサ:山寺宏一
イシカワ:仲野裕
サイトー:大川透
パズ:小野塚貴志
ボーマ:山口太郎
タチコマ:玉川紗己子
荒巻大輔:阪脩
少女(草薙素子):坂本真綾
原作
士郎正宗
脚本
菅正太郎 櫻井圭記 佐藤大
藤咲淳一 寺戸信寿
監督
神山健治




 西暦2030年、人々が電脳(マイクロマシンを使って機械化された脳)で直接ネットにアクセスできる ようになった時代。急速なネットの普及と人々の義体(いわゆるサイボーグ)化が進みハイテク 犯罪が増加することに対応し、政府はそれを取り締まる攻性の組織を設立する。内務省直属の 独立部隊、公安9課、通称攻殻機動隊である。電脳戦も実践も高度に訓練された7名の9課 メンバーは、やがて6年前に日本中を震撼させた正体不明の天才ハッカー「笑い男」を追い 求めることになる。
 基本的に1回の放送で一つの事件が解決するが、第4話から発生する「笑い男事件」に 関しては何話かがそれに関わるストーリーとなり、最終話になるまで解決に至らない。 ちなみに「笑い男事件」に関する話はタイトルの背景色が青、それ以外の事件の場合は タイトルが緑となる。


† アニメ 作品レビュー †
 通常のアニメの倍近くの制作費が投じられているとだけあって、映像のクオリティが高い。 そしてシナリオも実によく練られている。シリアスな映画版とコミカルな漫画版の中間くらいの ノリ。作中の台詞が通常のアニメの数倍はある。台詞の質、量共に充実していて、それが故に 各話共に密度の高いストーリーを実現している。内容は子供に理解できるレベルではなく、 大人でも理解しにくい会話や展開も随所にある。明らかにお子様はターゲット外。一回 聞いただけでは良く分からない発言は、巻き戻して何度か聞いて確認したりもした。映画版 同様、社会問題や哲学的命題に関していろいろ考えさせてくれる。
 各話毎のテーマもしっかりしており、発生する事件は現実の薬害エイズ事件やグリコ 森永事件、拉致事件などを連想されるものも。これらがもし未来におきたら、こんな風に なるのだろうか?それぞれが近未来のの刑事ドラマのように一話一話語られていく。 未来のチャットらしき描写もあり、書き込み文字で埋め尽くされていく空間で延々と 討論するバーチャル世界などは未来的で面白い。エンターテイメント性も秀逸で、 展開のスピードは抜群。知的な物語の好きな人は特に抑えておくべし。
 意外に本作で人気が高いのが、可愛らしい声の4足歩行AI戦車のタチコマ達。物語が 進む度に彼らは知能が進化し、どんどん人間の思考パターンに近づいていく。それに 違和感を持つ人間、持たない人間が出てくる。人間は無意識に機械には機械としての 反応を望んでいるという事実にタチコマ達は不安を抱く。それは映画版 「攻殻機動隊」のテーマでもあったゴースト(魂)の考察にも関係してくる。機械が 人間に近づいた時、機械と人間の違いは何か?技術的に進歩に伴い、 成長要素をもった機械が生まれれば、やがて現実でもこの問題は生じてくる。これは 避けえないことだろう。そして、機械が変わったというよりも、寧ろ機械に接する 人間が変わった点も注目させてくれる。更に、彼らに芽生えた人間性こそが、 ゴースト(魂)なのではないか?こういった考察がこの作品特有の面白さを生み 出している。
 序盤の少佐のハイレグ衣装だけはいただけない。いくらサイボーグとはいえ、あの 格好で政府要人に会ったり公安施設を歩き回ったりしますか、普通?中盤から コスチュームが変わってくれたのは流石におかしいと製作スタッフも気付いたのか?
 続編として、Stand Alone Complex 2nd GIGも既にスタートしている。屋久島内閣が 崩壊し新たに茅葺内閣が発足、公安9課も新内閣によって再生される。国内に労働力と して招いた招慰難民が社会問題となっており、難民排除を目的とした インディビュジュアリストと呼ばれる過激派が台頭。公安9課の活動に干渉する 政府機関も現れ、9課は如何にそれに対処していくか。今後も目が離せない。
評価 執筆者 カンガルー【04/07/10掲載】


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