† アニメ 作品紹介 † |
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ジャンル | 登場キャラクタ :声優 | |
SF |
草薙素子:田中敦子 バトー:大塚明夫 トグサ:山寺宏一 イシカワ:仲野裕 荒巻大輔:大木民夫 中村部長:玄田哲章 外交官:小川真司 検死官:家中宏 オッサン:松尾銀三 実行犯:松山鷹志 運転手:佐藤政道 通信の声:上田祐司 少女(草薙素子):坂本真綾 人形使い:家弓家正 |
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原作 | ||
士郎正宗 | ||
監督 | ||
押井守 |
ス ト | リ | |
インターネットが世界を覆い尽くし、人間の脳すら電脳化することで直接インターネットに
接続できるようになった近未来。警察機構の特殊部隊、公安9課に所属する草薙素子、通称
「少佐」は、自分自身の存在を深く問い詰めていた。自分とは何か?人間は便利な技術を
実現せずにはいられない。あらゆる能力に対して改良に改良を重ね、最高の進化を遂げた
自分の体は、最高度のメンテナンスを常に受けなければ生きられなくなってしまった。
そんな自分とは?疑似体験も夢も、存在する情報は全て現実であり、幻なのか...。
だとすると、自己の概念とは何なのか・・・? ガベル共和国との会談を控えた外務大臣の通訳がハッキングを受けた。捕らえることが 出来たのは国際指名手配を受ける天才的ハッカー「人形使い」に操られた義体であった。 この義体は公安9課に持ち込まれる。義体は自らを人形使い「情報の海で発生した生命体」と 名乗り、事態は急展開。 |
† アニメ 作品レビュー † |
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1 |
全米の映画監督やディズニーのスタッフなどに多大な衝撃を走らせ、映画「マトリックス」や
ゲーム「メタルギア・ソリッド」などのメジャーなエンターテイメントに影響を与えた
本作。サイバーコミュニティが常識となり、機械と人間の境界が曖昧となった不思議な世界観、
迫力ある銃撃戦や格闘技、これでもかと工夫された映像美など、クオリティの高さはさすが。
何よりも特筆すべきは、ストーリーが非常に難解で、一度見ただけじゃ理解できる人はいるのか
?と脳裏で疑問符が点滅する。専門用語やこの世界独特の用語の言い回しが容赦ない。
原作の漫画だと素子やバトー達9課の連中はおちゃらけた性格だが、映画ではクールで
シリアス。こうした改変は随所に見られ、どちらも味わい深い特徴があるが故に双方の
対比も面白い。 記憶の外部化が可能になり、人間の脳が外界からの情報の奔流に晒され自分を見失いかけた時、 そもそも自己(ゴースト)とは何なのか?自己の概念とは?ネットを介して自分の知らない うちに記憶を書き換えられることがありうる世界の中で、自己に対する不安は払拭できるのか? 主人公・草薙素子はこの哲学的命題を鋭く問われ、問いかけ、そして確かめるために疾駆する。 あの早口の台詞は最初は意味不明だが、2,3回聞き直すと凄い意味深な考察であることが 分かるだろう。 ラストの素子とバトーの会話は特にお気に入り。肉体が失われたのち、尚も信頼や愛は不滅だと いう監督の美学が反映された結末が切ない。 「いつか、海の上で聞いた歌、覚えてる?あの歌の続きには、こんなくだりがあるの。 『童子(わらべ)のときは語ることも童子の如く、思うことも童子の如く、論ずることも童子の如くなりしが、 人と成りては童子のことを棄てたり(※)』 ここには人形遣いと呼ばれたプログラムも、少佐と呼ばれた女もいないわ。」 「さて、どこへ行こうかしらね?ネットは広大だわ。」 (※新約聖書「コリント人への手紙」より) | |||
評価 | S | 執筆者 | カンガルー【04/06/18掲載】 |