機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
SF
ロボット
アルフレッド・イズルハ(アル):浪川大輔
クリスチーナ・マッケンジー(クリス):林原めぐみ
バーナード・ワイズマン(バーニィ):辻谷耕史
シュタイナー:秋元羊介
ガルシア:島田敏
ミーシャ:島香裕
テルコット:鈴木健
チェイ:丸尾知子
ドロシー:吉田古奈美
アンデイ:星野充昭
アルの父:筈見純
アルの母:折笠愛
指令官:古田信幸
艦長:平野正人
先生:榊原良子
キリング中佐:戸谷公次
クリスの父/校長:村松康雄
クリスの母:中村万里
チャーリー:稲葉実
デイック:増岡弘
原作
矢立肇
富野由悠季
結城恭介
脚本
山賀博之
監督
高山文彦




 宇宙世紀0079年12月。一年戦争末、連邦軍が新型ガンダムの開発を進めているという 情報を入手したジオン公国軍は、シュタイナーを隊長とする特殊部隊サイクロプスに命じ、 新型ガンダム奪取を敢行。北極の連邦軍基地を襲撃するが、あっと一歩というところで 目標を取り逃がしてしまう。
 その後、新型ガンダムが中立コロニーのサイド6に運び込まれてたことを突き止めた ジオン公国軍は、再びサイクロプス隊をサイド6に派遣する。新型モビルスーツ、ガンダム・ アレックスを奪取するために。
 サイド6に住むモビルスーツマニアの小学生アルフレッド・イズルハ(アル)は、 サイド6に潜入したサイクロプス隊の新兵バーナード・ワイズマン(バーニィ)と 面識を持つ。モビルスーツが繰り広げる戦闘を目の当たりにし、アルは心躍らされるのだが...。


† アニメ 作品レビュー †
大作揃いのガンダムシリーズの中にあって極端にスケールの小さい作品ではあるものの、作品のテーマが 良い。外伝的とはいえ、シリーズ屈指の名作。

戦争に巻き込まれた主人公がガンダムのパイロットになっていく他のガンダムシリーズとは 路線が大幅に異なっていて、シリーズ唯一主人公がガンダムのパイロットではない。好奇心旺盛な 主人公・アルにとって、過去も未来も戦争は遠い世界の出来事のはずであり、子供心にモビル スーツの造形や戦闘シーンの迫力に格好良さを見出す。やがて、ジオンの青年兵バーニィと 知り合い、毎日が楽しくて仕方ない。

ところがある日、そんな楽しい日常が一転する。戦争が絡む圧倒的な不条理を前にしては、一人の 子供の力など無力に等しい。子供であるが故に、戦争が生み出す虚しさややるせなさなど想像 出来ようはずもない。絶望的な悲劇に晒されて、それを回避しようともがいた結果、更なる悲劇を 引き起こす...。

アルは何か間違いを犯したわけではない。それは、彼の慕ったクリスやバーニィも同様だ。 みんながみんな、どうしようもない事態を前に苦慮し、必死に悲劇を回避しよう足掻いた末の 結果に過ぎない。正義も悪も関係ない。聖人も悪人も関係ない。世界はまるで気まぐれで あるかのように、残酷な結末を用意することがある...。事件後、アルの平和な日常は何事も なかったかのように続いていく。しかし、平和な世界から垣間見た容赦ない運命の残酷さと、 自分が招いてしまった取り返しのつかない悲劇に関しては、決して忘れ去ることはないし、 忘れることは出来ない。それは、誰とも共有できない彼だけの体験・ポケットの中の戦争。 それが故に、アルと同様、格別な余韻となって我々視聴者側の胸にも残る。
評価 執筆者 カンガルー【04/05/20掲載】


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