アニメレビュー

機動戦士ガンダムSeedDistiny(英題：Mobile Suit Gundam SEED DISTINY)

† アニメ作品紹介 †

ジャンル	登場キャラクタ：声優
ＳＦロボット	シン・アスカ:鈴村健一レイ・ザ・バレル:関俊彦ルナマリア・ホーク:坂本真綾タリア・グラディス:小山茉美アーサー・トライン:高橋広樹メイリン・ホーク:折笠富美子アビー・ウィンザー:根谷美智子ヴィーノ・デュプレ:小田久史ヨウラン・ケント:杉田智和イザーク・ジュール:関智一ディアッカ・エルスマン:笹沼晃ハイネ・ヴェステンフルス:西川貴教ギルバート・デュランダル:池田秀一ミーア・キャンベル:田中理恵ロード・ジブリール:堀秀行ネオ・ロアノーク:子安武人イアン・リー:西前忠久ステラ・ルーシュ:桑島法子スティング・オークレー:諏訪部順一アウル・ニーダ:森田成一アスラン・ザラ:石田彰カガリ・ユラ・アスハ:進藤尚美キラ・ヤマト:保志総一朗ラクス・クライン:田中理恵マリュー・ラミアス:三石琴乃ミリアリア・ハウ:豊口めぐみアンドリュー・バルトフェルド:置鮎龍太郎ダリダ・ローラハ・チャンドラⅡ世:鳥海勝美ウナト・エマ・セイラン:松本大ユウナ・ロマ・セイラン:野島健児トダカ:一条和矢アマギ:千葉進歩ナレーション:三石琴乃
原作
富野由悠季矢立肇
脚本
両澤千晶兵頭一歩野村祐一大野木寛森田繁吉野弘幸
監督
福田己津央

ス
ト
｜
リ
｜

　1979年に放映された「機動戦士ガンダム」以来、シリーズ１０作目。
　受精卵の段階で遺伝子操作を施すことにより高い能力を持って生まれた「コーディネイター」達は、生身の人間達「ナチュラル」にとって脅威となっていた。あらゆる分野でトップを占めるコーディネイター達とナチュラルとの格差は対立を生み、人種差別に発展。大半のコーディネイター達は住み慣れた土地を追われ、宇宙で農業生産に従事するためのスペースコロニー「プラント」を本拠地とした。しかしプラントは地球からの独立を許されなかった。地球からの支配と搾取に対して、プラントは激しく反発。
　コズミックイラ70、後に血のバレンタインの悲劇と呼ばれる惨劇が起きる。地球軍は核ミサイルにより、プラントの一部のコロニーを破壊するという大量虐殺を敢行。プラントは報復として核エネルギーを使用不可にするニュートロン・ジャマーを多数地球に投下し、地球は深刻なエネルギー不足問題を抱え込むことに。地球、プラント間の緊張は高まり、武力衝突へと発展した。誰もが疑わなかった数で勝る地球軍の勝利。だが、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま既に11ヶ月が過ぎようとしていた

　「血のバレンタイン」の悲劇をきっかけに、本格的な武力衝突へと発展したザフトvs地球連合の戦いは熾烈を極め、多大な犠牲を払いながら第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦ののちに停戦条約が締結された。

　しかし、この停戦条約で、「ナチュラル」と遺伝子操作された人々「コーディネイター」の争いの火種が消えたわけではなかった。その戦乱の中、シン・アスカは地球連合軍のオーブ侵攻に巻き込まれ、戦火を逃れる最中に眼前で両親と妹を失う。唯一の形見、妹の携帯電話を握りしめ悲しみに暮れるシンの頭上をこの戦争の元凶である「モビルスーツガンダム」が飛び去っていく。失意のうちにオーブを去ったシンは、プラントへと渡る。そしてC.E.73、彼はザフトの戦士となっていた…。

† アニメ作品レビュー †

１	自分にとって前作のSeedが、「『戦争を何とかしよう』という名目で主役達が暴れ回るようになり、主人公の戦う大義が無茶苦茶になってしまった勿体無い作品」という位置付けだったので、今作では前作の欠点を如何に払拭するか期待していたのだが・・・。期待どころか、前作の長所が消滅して短所がパワーアップした作品になっていた。製作者は「イラク戦争でマスコミがだらしなかった。アークエンジェルには第3勢力として活躍させたい。」と言っていたが、そもそもその時点で破綻していたような・・・。アークエンジェルは紛れも無く軍隊だし、彼ら独自の判断が外交に介入する資格があるのか?彼らの暴走は誰が止めるのか?彼らの犯したことの責任は誰が取るのか?キラ達アークエンジェルは「どうすべきか分からない。とりあえず、僕の言うことが聞けない奴はこうだ!」とばかりに無用の戦いを繰り返した。この点がすでにしょうもなかった。　カガリは、戦争をやめさせるための具体的プランを最後まで提示しなかった。そもそも考えようともしていない。最後はどうでも良くなっている。アスランは最後まで状況に流されるままだった。ラクスは「デュランダルが疑わしい。」というだけで介入したがる。誰だって疑わしいなんて言い出せば、キリが無いでしょ。Dプランをしっかり調べ上げてから本格的な軍事介入に踏み切れば良かったのに。シンは的外れな恨みをオーブ政府に抱く。別にそれでもいいが、最後まで彼は理性的にそれを自覚できず、周囲から指摘されずじまいだった。主役級の人間皆が、熟考するフリをしているだけで思考をサボってる。　脚本が腐っているとしか思えない。特に会話とディベートに顕著に現れている。勝敗が明確な討論しかなく、言われた側が「それは!」「だけど!」「違う!」「でも!」「議長!」など叫ぶだけ。主張がありそうで実際は何も無い。普段からこんな会話をスタッフもしているんでしょうか???だけど何だ?違うのは何だ?でも何だ?何が言いたいのだ???仮に言い負かされているとしても、語るべきことはいろいろあるかと。視聴者はいろいろ知りたい。彼らが何を考えているのか?でも分からない・・・。　最終回間近で議長がDプランを発表し、キラ達にやっと戦うべき大義名分が生まれた。本格的にオーブ軍に編入され、政府の制御下で活動できるようになった。あまりにも遅過ぎた。もっと早く、オーブ軍として活躍すべきだったのでは?ユウナ達の「国を再び焼かないためにも、連邦の戦争に加担するしかない」という選択は間違っているとも思えない。それに対して、カガリはその方針を是認するなり、反論して対案をしっかり出すなりすべきだった。軍事増強やザフトと同盟とか、具体的に連邦の戦争に加担しない方法を模索すべきだったのでは?そのカガリの決断をキラ達が後押ししてやれば良かったのでは?シンは自分の欠点を中盤辺りから自覚して精神的に成長するべきだったのでは?アスランは彼を出口に導き、カガリの立場の代弁もしてやるべきだったのでは?こうであって欲しかったってのが数え切れないほどあり過ぎる。　悪い所ばかりの作品で他人に進められる出来ではないが、自分なりに楽しめた作品ではあった。特に、破綻しまくり&遅々として進ませまいとする展開でどう締めくくるのかと。案の定、最終回は、あまりに苦し紛れでした。ガンダム史上最悪の作品なのは、議論の余地が無い。ジャパニメーションの看板に泥も塗ってくれた。海外で、「日本人の戦争観って、こうなの???」と勘違いされたくない。　本作の良かったのは、見応えある戦闘シーンがたまにあったことくらいか。
	評価	Ｅ	執筆者	カンガルー【05/10/02掲載】

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