機動警察パトレイバー2 the Movie
上映時間:113分


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
SF
ロボット
ポリス
篠原遊馬:古川登志夫
泉野明:冨永みーな
後藤喜一:大林隆介
南雲しのぶ:榊原良子
香貫花クランシー:井上瑤
太田功:池水通洋
進士幹泰:二又一成
山崎ひろみ:郷里大輔
シバシゲオ:千葉繁
榊清太郎:阪脩
実山:辻村真人
松井刑事:西村知道
佐久間:仲木隆司
ブチヤマ:立木文彦
進士多美子:安達忍
海法:小島敏彦
小寺:大森章督
荒川茂樹:竹中直人
原作
ゆうきまさみ(原案)
脚本
伊藤和典
監督
押井守




 近未来、汎用人型機械・レイバーが一般使用されるようになったが、レイバー絡みの犯罪も急増。これに対処すべく、 警視庁は特殊車輌2課を創設、警察用のレイバー・通称パトレイバーを配備した。
 PKO国連平和維持活動のため、カンボジアに派遣された柘植は激戦に巻き込まれ、部下全員を失う。そのまま 彼は消息を絶つ。数年後の2002年冬。突如、横浜ベイブリッジにミサイルが投下され、橋は真っ二つに。 マスコミはミサイル発射が自衛隊機によるものだと報道するが、該当する機体は自衛隊には存在しなかった。 これを機に、自衛隊の一部が蜂起。東京では戒厳令がしかれ、一転して緊迫した状況に。警視庁特殊車輌2課の 後藤隊長は事態収拾のため、別々の部署に配属されていた旧特車2課第2小隊のメンバーを呼び集める。更に、 後藤の元に防衛庁情報部の荒川が接近、一連の事件の黒幕に柘植の存在を示唆するのだが・・・。


† アニメ 作品レビュー †
 この作品はロボットアニメとは言い難い。パトレイバーのほとんど出てこないパトレイバーなので、 もはやパトレイバーですらないかも。アニメでありながら、日本を舞台にしたテロのシミュレーションを 本格的にやってみせたことにただただ驚かされる。原作の漫画は子供向けだが、 この劇場版は完全に大人向け。主役はパトレイバーのパイロット・泉野明ではなく、それをサポート する篠原遊馬でもない。彼らをあえて脇役に配し、かつてあまりにも頭が切れたことから「剃刀後藤」 と呼ばれた特殊車輌2課の後藤喜一隊長と、彼をサポートする南雲しのぶ、2人の視点で物語が展開。 華々しい活躍をするパイロット達の影で、上役には上役の熱いドラマがある。テロリストの目的は 何か?そして、本質的な問題に目を背け、迫り来る危機を甘く見ている警察機構に対し、組織の一員 として何を憂うか。更には、戦後日本の抱える本質的な問題にも切り込んでいく・・・。
 「戦争が平和を生み、平和が戦争を生む」作中で語られるように、後藤や荒川が語る戦争論は 決して単純で薄っぺらな勧善懲悪ではない。紛争やテロリズムが日常になっている周辺諸国が ありながら、経済大国日本の平和に浸りきることの危うさ、偽りの平和であることの自覚の喚起、 などなどのメッセージが重厚で味わい深い。
 日本は自国の良質な文化を正当に評価できない欠点がある。他の子供向けTVアニメと同列にされ がちだが、こういった作品が優れたエンターテイメントであるとの良識はわきまえたいと痛感する。
評価 執筆者 カンガルー【04/09/27掲載】


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