アニメレビュー

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(英題：Samurai X)

† アニメ作品紹介 †

ジャンル	登場キャラクタ：声優
アクション時代劇	緋村剣心:涼風真世神谷薫:藤谷美紀相楽左之助:上田祐司明神弥彦:冨永みーな高荷恵:土井美加四乃森蒼紫:安原義人斎藤一:鈴置洋孝巻町操:桜井智比古清十郎:池田秀一お妙:島本須美三条燕:白鳥由里玄斉:塩屋翼べし見:松野太紀火男(ひょっとこ):飯塚昭三式尉:中田和宏航若:野島昭生警察署長:亀山助清瀬田宗次郎:日髙のり子武田観柳:飛田展男本条鎌足:竹内順子緋村剣心(子供時代):鈴木真仁鵜堂刃衛:大塚明夫悠久山安慈:原康義尖角:小村哲生塚山由太郎:田中真弓
原作
和月伸宏
監督
古橋一浩

ス
ト
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リ
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　時は激動の時代・明治。維新が終わって10年ほど経過し、富国強兵で近代化を遂げようとする日本。
　かつて幕末の時勢において、「人斬り抜刀斎」として活躍した最強の長州派維新志士・緋村剣心。だが、彼はあることをきっかけに人斬りをやめる。そして逆抜刀を腰に差し、流浪人として東京にやって来る。そこで、自分の名を騙(かた)って辻斬りを行う男を撃退した剣心は、その際に助けた神谷薫の神谷道場に居候をすることになる。
　士族の少年・明神弥彦、赤報隊の生き残りで喧嘩三昧の斬左(ざんざ)こと相楽左之助らと共に、賑やかで楽しい日々を過ごす彼ら。ところが、警官・藤田五郎(その正体は元・新撰組三番隊組長、斎藤一(はじめ))が現れ、剣心に人斬りだった頃の力を取り戻すように迫り、平穏は破られる。更に維新の三傑の１人・大久保利通も現れ、剣心に協力を要請する。剣心が人斬りをやめた後で影の人斬りとして活躍し、後に用済みと判断した政府に暗殺されかけた男・志々雄真実が京都で暗躍を続けているというのだ。
　この国の動乱は、まだ終わってはいない。志々雄の国盗りの野望を阻止するため、剣心は神谷道場縁(ゆかり)の者達と別れ、京都に向かうことを決意。残された薫、弥彦、佐之助達も、それぞれの信念に基づいて行動を起こす・・・。

† アニメ作品レビュー †

１	少年ジャンプの黄金期の末期を支え続けた人気漫画のアニメ版。明治維新直後の時代を舞台に、少年漫画の剣劇アクション＋時代劇の魅力を存分に引き出しているのが画期的。　かつて自分の妻を殺めてしまった過去を境に人斬りを止めてしまった剣心だが、この不殺(ころさず)の信念には偽善的要素も含まれる。剣心の考え方と対照的な存在である斉藤一は作中で指摘していたが、人斬りの共通する正義とは「悪・即・斬」の3文字に集約されている。生ぬるい剣心の対応が、逆に剣心自身やその周囲にもより大きな危険をもたらしているという斉藤の指摘は正しい。しかし、それでも剣心は不殺(ころさず)の初志を貫く。決して斉藤の指摘を奇麗事で否定するわけでもない。その上で、闘いを通じて対戦相手の心情を察し、場合によっては必要以上に自身が傷つくことも関わらず、主人公らしくきっちりと物事を解決していく。それが剣心の見出した人斬りの償い方だからだ。その一途さが剣心の魅力であり、転じて対照的な正義を貫く斉藤も魅力的に感じさせてしまう。幕末は佐幕派と攘夷派の異なる正義の対立であったが、信念に燃える者達の闘いというのは見る側の心を熱くさせてくれる。そんな魅力的で刺激的な時代劇的要素が、原作では徹頭徹尾維持されていて面白い。　それに対してこのアニメ版は、話によって当たり外れが大きい。当時漫画連載時にアニメ化していたこともあり、アニメが原作を追い越しそうだったのでどうしてもオリジナルエピソードを盛り込む必要があった。そのオリジナルエピソードの脚本が、残念ながら実につまらない。はっきり言って、原作通りの部分はＳランク級なのだが、原作に無いオリジナルエピソードを盛り込んでいる部分はＥランク級にまで劣る。海賊退治の話、薫が気弱な力士を鍛える話、天草四郎の子孫が剣心の敵として立ちはだかる話、弥彦が異国の皇子の身代わりを勤める話、ドイツの黒騎士部隊と真田忍軍が手を結ぶ話などのオリジナルの脚本は目を覆いたくなるほどひど過ぎる。締めくくりの風水編は妖術合戦に剣客・剣心が巻き込まれて何が何だか・・・。もはや剣客浪漫譚ですらない。脚本書いた奴は自決モノだ・・・。勝海舟編は漫画に無いエピソードでまぁまぁ良かったが、これは小説「るろうに剣心」という原作があることを後で知った。他では、願い蛍の小エピソードがオリジナルストーリーで良かったくらいだろうか・・・。　しつこいようだが、原作通りの部分は良い。特に中盤の京都編(ＤＶＤ9巻以降)、元新撰組三番隊組長・斉藤一が登場する辺りから、志々雄が剣心に倒されるまでは油の乗ったような軽快で痛快なストーリー。大久保利通の暗殺事件、剣心や佐之助が新必殺技を編み出すエピソード、剣心が新たな逆抜刃を譲り受けるエピソード、京都を守る御庭番衆の活躍、志々雄＆彼の率いる剣客達・10本刀と剣心達の総力戦、颯爽と登場する助っ人・・・などなどは、濃密で息もつかせぬ構成が光っている。１つ１つのエピソードが深いテーマを持っているし、10本刀の個性も千差万別。剣心は敢えて「勝者＝正義」という方程式を否定している。その上で、ただ敵を打ち負かすだけでなく、自分の出来うる範囲で対戦相手の心のケアもしっかり行っていいく。人間ドラマが、どこもかしこもしっかりしていた。　京都編後のオリジナルストーリーは、見ない方がいい。るろうに剣心らしさが全く無い。勝海舟編がまぁまぁな点を除いて、目がくらみそうになる退屈話ばかり。いや、退屈を通り越して支離滅裂な話ばかりだった。
	評価	Ａ	執筆者	カンガルー【05/08/08掲載】

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