るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 追憶編


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
アクション
時代劇
緋村剣心:涼風真世
比古清十郎:池田秀一
雪代 巴:岩男潤子
雪代 縁:佐々木望
桂小五郎:関智一
高杉晋作:高木渉
飯塚:中尾隆聖
斎藤一:鈴置洋孝
沖田総司:小粥よう子
辰巳:内田稔
原作
和月伸宏
脚本
十川誠志
監督
古橋一浩




 TVシリーズでは描かれなかった緋村剣心の過去のエピソードを描くOVA。十字傷や不殺の 誓いの経緯などのエピソードを盛り込み、剣心のルーツに迫る。
 時は江戸時代末。世の乱れを憂う緋村剣心は、師匠・比古清十郎の元を飛び出し、自己の剣の腕を 世に役立てる術を模索する。やがて長州藩・桂小五郎に見込まれ、最強の暗殺者となった剣心は、 徳川幕府打倒と平和な新時代の幕開けを成すべく、京都で人を斬り続ける。
 そんなある日、剣心は泥酔していた一人の女性に人斬りの現場を目撃されてしまう。雪代巴と名乗る その女性は、その後剣心の暮らす旅館に居ついてしまう。人の幸せを願う剣心が、暗殺によって 殺された人に不幸をもたらしているという矛盾を、巴はさりげなく剣心に問いかける。
 やがて、京都の町を火の海にしようと画策する長州藩維新志士の一派が、新撰組の襲撃を受ける。 世に言う池田屋襲撃事件である。これを機に、維新志士達は新撰組だけでなく、見廻組などにも 付け狙われ、京都の地を離れることを余儀なくされる。剣心と巴は夫婦という名目で、怪しまれずに 京の外れで生活を始める。人斬りをやめて生活していく平安なひとときの中で、剣心は巴の問いかけの 答えを出そうとしていた・・・。


† アニメ 作品レビュー †
 数年前、全米で絶賛されていた本作。舞台は江戸時代。幕末の動乱期に活躍していた頃の維新志士・緋村 剣心の物語。原作を知っている人にはお馴染みであろう、人誅編の回想部分。時代劇アニメの傑作中の傑作。
 TVシリーズと作画スタッフが違うのか、絵柄がガラッとかわってしまっている。 幕末という殺伐とした時代背景に、この絵柄の醸し出す雰囲気が、非常にマッチしていた。コメディ的要素が 少々垣間見られる原作と異なり、話も全編シリアスで押し通している。技の名前を大声で叫ぶような少年漫画 っぽい部分も、一切廃されている(あれは観ていて少々恥ずかしいものがある・・・)。リアリティが ストイックなまでに追求されており、カメラ視点の見せ方、動かし方なども工夫されていて飽きにくい。 幕末の著名な実在の人物達も活躍しているので、幕末好きの自分にはたまらない。
 脚本やメッセージも秀逸。主人公以外の登場人物達の心理描写も、決して手が抜かれていない。あの時代を 必死に生き抜こうとしている敵や脇役、悪党達の語る理念、正義、道徳観念は理解できる部分がある。そんな 者達がひしめき合う中、主役の剣心はどうか。剣の腕で人々を幸せにしようと志していたはずが、実は不幸に しているのではないか?純真に平和な世の到来を願い、その難しさを考え、自己を省みる。斬られた人や、 その家族、知人友人達の深い悲しみを知ることで、剣心は精神的に成長する。また、人斬りに明け暮れた 京都と距離を置き、作物を作り薬を売り歩く暮らしの中で、自分が本当に何を求めていたかを悟っていく。 これらの長く辛い過去があったからこそ、明治に不殺(ころさず)を貫く剣心があるのだと改めて痛感させ られる。
評価 執筆者 カンガルー【05/10/22掲載】


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