スチームボーイ STEAM BOY(英題:Steam Boy)
上映時間:126分


† アニメ 作品紹介 †
ジャンル登場キャラクタ :声優
アクション
アドベンチャー
ジェームズ・レイ・スチム:鈴木杏
ロバート:児玉清
スカーレット・オハラ・セントジョーンズ:小西真奈美
ジェームズ・ロイド・スチム:中村嘉葎雄
エディ(ジェームズ・エドワード・スチム):津嘉山正種
アルフレッド・スミス:寺島進
デイビッド:沢村一樹
アーチボルド・サイモン:斉藤暁
ロバート・スチーブンスン:児玉清
脚本
大友克洋
村井さだゆき
監督
大友克洋




 時は19世紀の英国。蒸気の発明が産業革命をもたらし、街は世界初の万国博覧会を控え、 活気に満ち溢れていた。
 発明一家のスチム家に生まれ、研究の為に渡米した発明家の父エディと祖父ロイドの帰国を 待つ少年レイは、ある日祖父ロイドから、驚異の発明スチームボールを託される。スチーム ボールは、超高圧の蒸気を高密度を維持したまま密閉した、非常に危険な代物であった。
 やがて、その発明を我が物にせんと、オハラ財団と名乗る組織がレイの行く手に立ち塞がる。 「ボールを渡してはならん。」レイは祖父から託されたスチームボールを守るため、壮絶な 戦いに巻き込まれることになる。


† アニメ 作品レビュー †
 全体的な感想を一言で言うなら・・・・
 微妙っ!!そして蒸気パイプ壊れ杉っ!!! もっと頑丈に作りましょうよ。
 ・・・いや面白かったんだけど・・・・何て言うか・・・・煮え切らない部分が多かったかな。制作費と製作年数を かけた事、製作者が有名だということで前評判は高かったけれど、予想していたよりも印象に残らない映画 だった。ただ個人的な感想として印象が薄いというだけで、好きな人にはツボにハマりそうな作品だとは思う。 作中に出てくる様々な蒸気の乗り物、機械、建物のデザインは実に個性的。美術センスも優れていたし、 映像美も高かった。大英博物館のガラス張りの外装や木造建築物の家には不思議な立体感があった。
 主人公レイとヒロインのスカーレットはプロの声優さんではなく、タレントの鈴木杏と小西真奈美を 起用していたがとてもマッチていたと思う。・・・が、主人公のじいさんの声優さんの棒読みっぷりには 閉口した。じいさんらしい雰囲気は出ていたけれど。登場人物に好感は持てたが感情移入は出来なかった。 しかしあれだけ死にそうな目に遭いながら無傷のレイには感心するなぁ・・・・常人なら擦り傷か骨折くらい してそうだが。
 以下ネタバレあり。(※読んでもかまわないという人は、マウスでドラッグして下さい)

 その映像美だけで観る価値はあると思う。反戦メッセージを少なからず含んだ作品だが、「反戦」が ちょっとロコツだったかな。敵、味方が二転三転するのはストーリーが陳腐になるのでやめて 欲しかった。エディがいい人だったのか悪い人だったのかよく分からないまま終わってしまったのが謎。 最後の終わり方、エンディングロールの絵も煮え切らないところが多かった。制作費が足りなくて全部 作りきれなかったの?という印象も持ってしまった・・・続編が出るとの噂も囁かれているけれど。 スカーレットの飼い犬コロンブスは途中から出てこなくなってしまったけれど、最後はきちんと 脱出できたのかどうか気になる。
評価 執筆者 飼い主【04/07/19掲載】
 製作期間9年、制作費24億円という贅沢極まりない大作で、圧倒的なまでに美麗なCGは、 近年の大作アニメの中でも群を抜いているように思う。産業革命真っ只中を舞台に、蒸気機関に よる発展途上の世界は新鮮味があり、オーケストラ風のBGMも相まって、壮大な冒険譚を期待 させてくれた。

 しかし、内容があまりにも薄い。平和なはずの万国博覧会で多くの人を巻き込んで都市が 壊滅していく様は派手で壮大なスペクタクルなのだが、冒険活劇の割に娯楽性が無く、科学を 題材にした心に響くテーマがあるかのように思わせておいて実際は大したメッセージ性が無い。 主人公の父親ロイドは科学力による発展を説く。それに対し、祖父エディは科学力は平和のために 利用するべきだと説き、ロンドンで壮大な親子喧嘩が繰り広げられていく。主人公レイは、そんな 濃すぎる2人の言動に振り回され、行き当たりばったりでどっちつかず。取り合えず祖父から凄い 力を秘めた『スチームボール』を託され、それを駆使して大立ち回りを繰り広げるが、彼自身に それをどうすべきかという哲学は無い。ヒロインも空気の読めないただの我が侭なクレーマー。

 予告の「ぼくは未来をあきらめない」というクールな台詞も内容に噛み合ってるとは思えない。 科学の発展がもたらす未来は明るいのか絶望的なものか、その問いかけを咀嚼し考察することは なく、何もかも未解決のまま幕は降りる。『スチームボール』がいくら凄い技術だと説明されても、 所詮エネルギーを得る為のテクノロジーの1つに過ぎない。その用途をどうすべきかに深く踏み 込んでいないので、単なる抽象論の域を越えようがない。

 要は、監督はスチームパンクを派手に描きたかっただけなんじゃないだろうか。コスト パフォーマンスがこんなに悪い映像作品も珍しい...。
評価 執筆者 カンガルー【05/10/15掲載】


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