シベリア超特急2(原題:Siberiane Express2)
上映時間:106分


† 映画 作品紹介 †
ジャンルキャスト
ドラマ

ミステリー

サスペンス
池波:中村福助
少年:尾上松也
服部:小林すすむ
丸山:北村有起哉
山岸:三田村賢二
田宮:長門裕之
老作家:安井昌二
山下奉文陸軍大将:水野晴郎
家入歌子:淡島千景
楊玲玲:草笛光子
立花迪子:光本幸子
片岡双葉:二宮さよ子
安津伸江:寺島しのぶ
神宮寺伯爵夫人:加茂さくら
メイファン:須藤温子
原作・脚本・監督
水野晴郎




 満州時代についてインタビューを受ける老作家。彼は15歳の時、満州菊富士ホテルでボーイを していた時に起きた山下奉文陸軍大将を巻き込んだ殺人事件の回想であった。
 第二次世界大戦直前の満州。ヨーロッパ情勢を視察した山下奉文陸軍大将は、シベリア鉄道で モスクワからの途についていたが、謎の鉄道爆破が発生。鉄道が修復されるまで、 満州菊富士ホテルに宿泊を余儀なくされる。山下の他にも、シベリア超特急の乗員である 上流階級の婦人や外交書記官達も同様であった。陽もすっかり暮れ、外界では嵐が吹き荒れる 中、山下に"226"と赤い文字で書かれた脅迫状が届く。やがて、武器売買の相談を山下に 持ちかけてきた田宮が殺される。
 山下の名推理が始まる...。


† 映画 作品レビュー †
 嫌〜、映画って本当にEもんですね。性懲りもなく水野春郎が作り上げた 極寒のシベリアを髣髴とさせる問題作の続編。前作は規格外の糞っぷりを発揮し、 多くの視聴者の精神に重傷を負わせた危険作でしたが、2作目となると流石に 進歩の兆しが見られます。というか、あれ以上ひどいものなど誰も作れんで しょう。当の水野春郎ですらも。ようやく「映画」というカテゴリーの仲間 入り♪私の評価もランクアップです。FからEに。あれ?表記が変わってないな。 まあ、いいかー。
 タイトルはシベリア超特急2ですが、別にシベリア超特急が舞台じゃないです。 ホテル内の殺人事件が今回の話の骨子。山下閣下は、台詞のイントネーションが相変わらず 金曜ロードショーの映画評論のよう。やっぱり棒読み、やっぱり大根演技。熟練の プロが周囲を固めている中、ただ一人マイペースを貫き通し、不自然な素人っぷりを 炸裂させてます。自分の存在が、ただでさえ低水準の作品の足を力いっぱい 引っ張っているのが分かっているんでしょうか...。悪役で殺され役の長門さんの 鬼気迫る演技とは雲泥の差です。
 後半、終始怪しい単独行動をしていたのが祟り、犯人が山下閣下だと疑われます。 「潔く自決してー!!」との糾弾に対し、山下閣下は銃を手にし、コメカミに当てて 自決の真似事をしますが、「やめたー。」。銃をおろしてしまいます。別に山下閣下 が犯人じゃないからですが、私はいっそのことあそこで引き金を引いて欲しかった。 日本映画の評判を地に落とす手助けはもういいですから、このシリーズは一秒でも早く 打ち切りにすべきでしょう。水野春郎の映画を下回る映画を探すのは、海に落ちた指輪を 見つけるくらい難しいんですから。
 やがて犯人の一人は、山下閣下に向けて銃を発砲したりもするのに、前作同様 許しちゃいます。上に立つものがそんなことじゃいかんだろー。冒頭で「犯人が 生まれるのは環境のためだ。」みたいな会話がありましたが、まさか罪を憎んで 人を憎まずって奴ですか?義憤に駆られたら上での犯行なら罪は何でも許されると...。 大丈夫でしょうか、そんな子供だましの偽善を映画の結末に持ってきちゃって?
 私には水野春郎の殺されかけてニコニコしていられるという発想がが全く理解できません。 いろいろ考えているふりをしていて何も考えていないんでしょうか。それなら共感は 湧かなくても理解は出来ますが。存在自体がナメているとしか思えない。 最後まで見終わって疲労の極に達し、呆然とスタッフロールを眺めていたら、 「山下閣下はシベリア超特急3で帰ってきます。」という追い討ちのテロップが。 幻覚かと思い何度か目をこすったが、消えてくれませんでした。私は余程疲れていたので しょう。羞恥心が1[mg]でもあればさっさと潔い自決をして欲しいところですが、後で 調べたら、七作目まで製作中という驚愕の事実が!!!まだ2作目までしか見て いませんが、このシリーズはもう懲り懲りです。
評価 執筆者 カンガルー【04/06/06掲載】
 シベ超2・・・・。

 映画評論家として有名な水野晴郎氏の初監督・演出・脚本・主演(!)映画「シベリア超特急」の感想を 以前書いたけれど、その続編となる「シベリア超特急2」の映画をビデオで鑑賞しました。前作の ダメっぷりとは相反してみんなのシネマレビューではそれほど評価が低くなかった。水野氏の 国宝級の棒読み演技も健在だと言う。時間に余裕のある今、是非観ておかねば!とビデオ屋さんへ 走った。
 はやる心を抑え、ワクワクしながら観賞。冒頭のタイトルが何気にカッコイイ。何故か水野さんの 監督名はまたもや「Mike Mizuno」。マイクって誰だよ!!今回の舞台はホテルらしい。シベリアも 超特急も全く関係していない…いいのかそのタイトルで。
 ストーリーは、満州時代についてインタビューを受ける老作家の回想から始まる。彼がホテルで ボーイをしていた時に起きた殺人事件の話だ。淡島千景、寺島しのぶなど往年の女優さん達が次々と 登場し華やかなスタートが切られる。色としても実に鮮やか。前作のようにしょぼいセットではない! これは期待できるかも!・・・と、水野氏演じる山下閣下が登場。部下と女医を連れながら無言で ロビーへ入ってくる。女医が一方的に閣下に捲し立てている。そして閣下が口を開いた!「人間は 誰しも殺人者になりうる素質があるかもしれん。ヒトラー然り、ムッソリーニ然り、フランコ然り、 ひょっとしたらこの山下も・・・・・・・・・・・・・かなぁ」その長い間は一体!!?今台詞忘れてません でしたか水野さん!間の中で女医さんがコンマ一秒台詞をしゃべっていた。明らかにNGで あろうそのシーンもなんなくクリアーらしい。さすがマイク水野。期待通りの棒読みをありがとう。
 が、やはり前作よりも観やすくなっている。バイオリンやダンスを披露するシーンは秀逸。 宿泊客の一人が殺害され、女性達が犯人を追及していくシーンは無理がなく展開も分かり やすかった。・・・問題は終盤の謎解きシーンだろう。
 以下ネタバレあり。(※読んでもかまわないという人は、マウスでドラッグして下さい)

 皆が部屋に集まり、腕組みをして目を閉じている閣下を尻目に女医さんの推理のもと謎解きが 展開されていく。今までの総集編ともいえる細かい謎解きが展開された先、女医さんが出した 答えは「犯人。・・・それは閣下、あなたです!」何と!冒頭の「殺人者になる素質がある」という 話がキーになり、単独行動が目立った閣下が犯人だとの推理!「あなたは軍人でしょう!潔く 自決してください!」と閣下に詰め寄る女性達。山下閣下はおもむろに銃を手に取りコメカミに 当てる・・・・。音楽も最高潮。部下の「閣下ーー!」の叫びがこだまする中、山下閣下の顔アップも 最高潮!撃つのか閣下!!?・・・・閣下は銃をひょいと下ろして「やめたー。」の棒読み。不覚にも 爆笑させて頂きました。「卑怯者!弱虫ー!」と罵倒する女性に向かい、閣下は「まあまあ、わしの 推理を聞くくらいの時間はあろうー。」と明らかに周囲の卓越した演技の中で浮きまくりの 緊張感0演技。その後閣下は推理を始める。推理と言っても証拠から論拠を割り出している 訳でもなく、「おそらくこういう事だろう〜」と憶測を並べ立てるただの当てずっぽう。 「どうかな?わしの推理で間違えたところはあるか?」との閣下の問いに「おみごとね。」と 女性達。ええーーードンピシャっすか!!?相変わらず閣下のエスパー推理は健在。何と 複数の女性達が共謀して事件を隠蔽しようとしていたのだ。・・・・って複数の人間がアリバイを 作っているのに何でそんなにあっさり閣下の推理を認めちゃうの・・・それだけ人数がいれば いくらでも回避のしようがあったと思うんですけど。
 そして被害者にナイフを刺した女性が、事件を隠そうとしてくれた他の女性達の恩に報いる ため銃を取り閣下に向かって発砲!崩れ落ちる山下閣下・・・・遂にやったか・・・。自分の罪を 自覚し、義理を立て勇気を出して閣下を撃った彼女。見事な覚悟だ。・・・が、閣下は何事も なかったかのようにむっくりと起き上がる。どうやら部下が予め空砲に替えていたらしい。 閣下は部下に向かって「まったくー。余計なことをしてくれおったなー。」全くだよ!山下閣下 不死身!?
 その後のどんでん返しも前作より大分落ち着いたものとなり、作品として綺麗に 仕上がっていた。でも結局閣下は犯人を許してしまう・・・・。「名探偵コナン」世代の 自分にとっては何ともやるせない展開。どんな理由があろうと殺人者は処罰して 然るべきだと思うのだが・・・。トドメはやっと到着した警察を「わしの勘違いだった。」と 帰してしまう閣下。例え悪人だろうと人一人死んでるんですよ!?勘違いはないだろうに・・・。 それでのこのこ帰ってしまう警察も警察。
 作品としてはB級だが相変わらずの強引な展開と水野氏の棒読み演技はある意味で勉強に なった。どんなに修練を積んだ役者さんでも水野氏のように「感情がこもっているつもり なのにこもっていない棒読み演技」は出来ないからだ。人間誰しも芝居の台詞を読んだら 知らず知らず感情がこもってしまうだろう。けれど水野さんの台詞回しは、まるで子供に 絵本を読み聞かせているかのように空回りしている。・・・・最高だよマイク。
 シベ超、現在4までをビデオ屋さんで見かけました。水野調のダメージが激しいので しばらくは借りることはないでしょうけれどいずれ観てみたいかな。シベ超7まで製作してる という情報があったけれど本気ですか。
評価 執筆者 飼い主【04/07/18掲載】


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