良寛さんは、私たち幼い頃から多くの人たちに知られています。
子供達と鞠をつき、おはじきをして、また、かくれんぼうをする良寛さん。 あるいは、書や詩歌に優れた才能を多く残した良寛さん。 その毎日の生活の奥深くには、 (*注)「君看るや双眼の色 語らざれば憂い無きに似たり」 と言い切った他の顔の良寛さんもありました。 僧であるのに僧でなく、俗人であるようで俗人でない、 「半僧半俗」に徹しきったその一生は、実に興味あり、 また、不可思議な一生であったともいえましょうか。 今、その生き様を少しでも紐解くことで、 ひょっとしたら、そこに混沌としている今の社会の 『生きるヒント』があるかもしれません。 (*注)『君看双眼色 不語似無憂』 「あなたは私の両(ふたつ)の眼をよく看てほしい。 黙して語らない私の両眼の色を、憂いなき人の眼色と看るのか。」 この詩句は良寛さん自身が作ったかはよくわからないそうですが、 良寛さんが常日頃から愛誦していた句であったようです。 人から揮毫(きごう)を頼まれると好んで書き与えていたことが伝えられています。 良寛さんは、もともと口数(くちかず)の少ない人で、 「黙って何も言わない自分の眼色に堪えられた悲しみがあなたには見えないのか。」 という訴えが、この詩句にはこめられていると思われます。 良寛さんの秘められた憂愁と孤独感が強く現されています。 |