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 ■6月議会で「佐野母子寮廃止条例案」が論議に (2005.6.2)

市長が、6月議会に「佐野母子寮廃止条例案」を提出
「入所需要の減少」−時代に逆行する認識と福祉切捨て


廃止ではなく、存続・拡充を!

佐野母子寮(写真)
施設名:(児童福祉法による母子生活支援施設)佐野母子寮
運営:(公設民営)社会福祉法人 静岡恵明学園
定員:10世帯(現在入居世帯なし)
・1966年名誉市民佐野隆一氏の指定寄付により建設され、同年12月より運営開始。1985年より運営が民間委託されて今日に至る。(2004年度委託費約1,850万円)
施設:鉄筋コンクリートブロック2階建、母子室(4.5畳、台所)7室、(9.0畳、台所)3室、トイレ4ヶ所、浴室2棟他、


 
 市議会6月議会に「三島市立佐野母子寮設置条例を廃止する条例案」が提出され、合わせて、「一般会計補正予算案」でも、建物解体のための予算900万円が計上されています。当局は、廃止の理由を、@入所需要の減少、A運営委員会の答申を踏まえ、今後の有効利用をはかるためなど、以下のように説明しています。

■「佐野母子寮設置条例を廃止する条例案」の提出理由
 「佐野母子寮は、昭和41年に建設されて以来39年が経過し、建物の老朽化が激しく、安全性及び耐震性の確保が難しい状況になっている。建設当時は母子世帯が民間の住宅やアパート等に入居することが難しい時代であったが、現在はそのようなこともなく、又施設としても四畳半一間という狭隘な部屋に加え、風呂とトイレが別棟にあるなど、現代の生活様式にそぐわない施設となってきているため、本年3月末日をもって入居者がすべて自立し、退寮したことを機に、佐野母子寮を廃止しようとするものであり・・・。」

佐野母子寮とは―DV被害者のシェルターの役割も

 児童福祉法第38条では、「母子生活支援施設は、配偶者のいない女子またはこれに順ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者に自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。」とされています。この理念にもとづいて設置、運営されてきたのが佐野母子寮です。また、最近ではDV被害者が、一時的なシェルターとして入居していたこともあります。このように、母子寮の役割は社会的変化とともに変わってきているのです。

母子寮へのニーズは増えている

 厚生省が実施した1993年度全国母子世帯実態調査によれば、母子世帯総数は789,900となっています。1978年調査で初めて生別が死別を上回り、93年度調査では生別が73%を占めています。母子世帯で特に困っている問題として家計・住居・健康・仕事などがあり、年間収入は、母子世帯で215万円と一般世帯の3割程度にとどまっています。母子世帯の収入の低さは、臨時・パートの増加という就労状況など労働環境の悪化が背景にあります。また、子どもの教育・進学・しつけ・就職・健康などが悩みとして出されています。こうした中で、母子寮の担うべき役割は増加しています。

ニーズに対応できずにきた佐野母子寮

 建設当時の戦後処理的な使命から、社会の変化とともに母子世帯の形態が死別から生別へと大きく変化し、これに伴って母子寮のニーズも変化が求められてきましたが、この変化に応えられずにきたのが佐野母子寮でした。
 1997年の『中央児童福祉審議会家庭福祉部会』で、全国母子寮協議会の代表は、「全国的にも母子寮の利用度は7割程度。それは、母子寮が十分な機能を果たしていないことのあらわれだろうと自己反省している。反面、運営の仕方によっては、地方都市であっても十分な利用もある。したがって、決してニーズがないのではなく、ニーズに対応できないから、利用率の低下につながっていると思う。相手のニーズに合わせれば、母子寮は自立支援に十分に役立つと思う。」と発言しています。

なぜ2004年度末で入居者ゼロに?

 佐野母子寮の入居世帯は、2000年度8、01年度6、02年度5、03年度7、04年度6だったものが、なぜ04年度末でゼロになったのでしょうか。母子をめぐる社会環境が三島だけ一挙に改善されたわけではなく、当局の「施設廃止」を前提とした入居者締め出しの働きかけがあったのではないでしょうか。


母子(父子)世帯の実態とニーズ調査を行い、廃止ではなく存続・充実を!

 母子寮の役割は、DV被害への対応をはじめ増大しているのが現実です。三島市が、行財政改革の一環として佐野母子寮を廃止するとしたら、福祉切捨てそのものです。当局は、母子世帯の実態やニーズ調査を行い、佐野母子寮の存続・充実を図るために力を尽くすべきです。