■市政報告
  11月定例議会  2009.11.25



三島市一般職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案への反対討論



 人事院は811日、国家公務員一般職の2009年給与について、月給を0.22%、一時金を0.35カ月それぞれ引き下げるよう内閣と国会に勧告しました。月給と一時金両方の引き下げは6年ぶり3度目になります。

 これによる削減額は、年間で154千円にもなり、2003年に次ぐ過去最大規模となりました。直接影響を受けるだけで、約600万人にのぼるとされる公務関係労働者の生活を脅かすとともに、民間企業のさらなる賃金低下をまねき、内需拡大による景気回復に逆行するものです。

 引き下げは、民間の賃金低下0.22%を理由にしたもので、若年層をのぞく30代以上を対象としています。一時金は、すでに5月の臨時勧告で今夏分を0.20カ月減額しているため、今冬分を0.15カ月減らし2.2カ月とします。

 今回の条例の一部改正は、この人事院勧告を無批判に受け入れようとするものです。

 人事院の『職員の給与等に関する報告』では、民間給与との格差に基づく給与改定について、「近年の我が国の民間賃金の動向をみると、グローバル経済の進展に伴い、企業の内部留保や株主への配当に分配の重点が置かれたことから、従業員の月例水準はほとんど停滞し、企業業績の改善は一時金に反映されるにとどまった。」として、新自由主義のもとづくグローバル経済が、労働者の賃金水準を著しく抑え込む要因になったことを認めています。

 また、「最近10年間の公務員給与は、民間賃金が厳しい状況にあったことを反映して、月例給又は特別給の減額による年間給与の減少又は据置きが続いており、40歳の国家公務員のモデル例(配偶者・こども2人)でみると、1998年と2008年の10年間を比較して、その年間給与は約12.1%〜約15.1%減少している」と報告しています。

 国は、2006年からの5年間で、平均4.8%の俸給表の水準の引下げを段階的に実施する『給与構造改革』をすすめてきました。こうしたもと、人事院は、今回民間給与実態調査を行った結果、月例給では公務が民間を863円上回り、一時金においては、公務が民間を0.33カ月分上回っていたと報告しています。

 その結果、労働基本権制約の代償措置としての給与勧告を通じて民間給与との比較により適正な公務員給与水準を確保するとして、先にのべた勧告を行いました。

 人事院勧告を見ると、情勢適応の原則に則るとしながら、民間の賃金水準の低下について、企業の社会的責任にはまったく触れていません。企業が利益を「内部留保や株主への配当に重点を置い」て、最も重要な労働者の賃金へ分配してこなかったことへの言及すらなく、賃金水準の低下によるダメージ・影響をもっぱら労働者に押し付けようとするものにほかなりません。

 1120日の衆議院本会議及び総務委員会で、日本共産党の塩川議員は、2002年に小泉内閣が打ち出した「総人件費抑制」政策が、本来中立であるべき人事院にも押し付けられ、「この間の人事院勧告は、国家公務員の労働基本権を制約する代償措置とは到底いえない」と指摘。これに対し、原口総務大臣は「民間で働く人たちが苦しいから、公務員も同じように給与を減らすべきだという単純な議論は危険」としつつ、旧政権での圧力でどのように人事院勧告が歪められたかの検証をしたいと答弁しています。

 今、物価水準が断続的に下がり続ける「デフレ現象」が問題になっています。この原因は、労働者の賃金が今から17年前の1992年の水準まで低下していることが、最大の原因だとの指摘があります。収入が減少する一方で、税金や社会保障関係費が増大し、生活困難のマインド・意識が広がっています。そのために、消費意欲が弱体化し、ものが売れないために値段が下がり、経済が冷え込むという悪循環になっています。自公政権時代の労働分野の規制緩和によって雇用破壊が広がり、ワーキングプア、働く貧困層が大量に生み出されました。

 日本の「相対的貧困率」が、現政権になってようやく公表されましたが、メキシコ、トルコ、アメリカに次いで15.7%、実に6人に一人が貧困であり、OECD加盟国30カ国中最悪の水準にあります。

 こうした、状況下で、労働者の賃金水準を年々引き下げる人事院勧告は、情勢適応の原則や均衡の原則という名のものとに、国民をさらなる貧困に引きずり込む一因を作りだすものとになります。

 三島市が、人事院勧告を無批判に受け入れ、労働者に押し付けることは、「給与構造改革路線」を推し進めてきた悪政を、地方行政の場でさらに続けるものであることを指摘します。今こそ、規制緩和路線を見直し、雇用を守る「ルールある経済社会」にすることが重要になっていることを述べて、本条例改正案に対する反対の討論とします。