「亜沙先輩……ですね?」
「稟ちゃ〜ん? 何で疑問系なの?」
「あ、いえ……亜沙先輩です」
「は〜い、優勝は時雨先輩で〜す!」
稟が最初に疑問系で投票したため、亜沙はなんとなく納得できない御様子。
ま、普通はそうだよね。
「ところで、稟ちゃん? さっきの質問の答えを聞いてないんだけど?」
「あ、その……特に他意はないです。周りの視線が痛いから亜沙先輩の投票し
たとかそんなんじゃなくて……」
「稟ちゃんって、ホント正直だよね」
「では、時雨先輩。そんな土見君に何か御命令を」
「そうだなぁ……何が良いかなぁ〜?」
可愛い仕種で考え出す亜沙。
ま、稟からすりゃ小悪魔に見えること間違いないな、うん。
「楓達に悪いから、稟ちゃんを取って食うような命令はやめておくね。それ以外
だとやっぱり……面白い系?」
「からかう系の間違いじゃないんですか?」
「そういうこという? それじゃ、こんな命令しちゃおうかな?」
亜沙はそう言って、花の四姉妹を稟たちの前に出し、その間に自分が割り込む。
そして、ビシッと稟に指を突きつけると、かなり大胆な命令を下す。
「稟ちゃん。ボクを含むこの5人に一人一人、愛の言葉を囁いてキスをする事!」
「なっ!?」
「「「「えぇぇ〜っ♪」」」」
プリンセス達は驚きつつ、かなり嬉しそうだ。
会場は……いうまでもないか。
「え、ちょ、あの……ここで?」
「いやん♪ 稟ちゃん、公衆の面前でそんな……もちろん、それで。当然、麻弓
ちゃんの撮影つきで♪」
「俺をこの世から抹殺する気ですか……?」
「ご心配なく、稟様。稟様に害を成す方々には即刻消滅してもらいますので」
あはは……可愛い笑顔ですごい事をさらっと……。
前例があるだけあって、これが冗談じゃない事は全生徒が知ってますって感じで
退いてますね。
「別の心配がでてくるな……」
「お父さん達に代行してもらう?」
「世界レベルでやばい事になりそうだから却下だ」
「ま、その辺は後回しにして、あんまり待たせないでよ、稟ちゃん。もう、焦らし上手
なんだから♪」
「亜沙先輩……楽しんでませんか?」
「わかる? ちなみに、会場のどこかにいるカレハの妄想は止める気ないので♪」
あからさまに、諦めました、といった感じで盛大な溜め息をもらす稟。
多分、明日のことを考えて頭を痛めているんでしょうね。
ざまぁみやがれ。
「あ、そだ。先にコンテストを終わらせておいた方がいいですよね?」
「うん。お願い」
「と言う事で、ミスバーベナ学園コンテスト、優勝者は時雨先輩でした! では、
次は第二回ミスバーベナ学園コンテストでお会いしましょう! さようなら〜!」
「って、続くのか!?」
バーベナ学園に土見稟と土見ラバーズがいる限り、コンテストは続くのでした。
追記
本来なら司会進行を勤めるのは緑葉樹のはずでしたが、とある諸事情により、あ
る女生徒によって封印、監禁され、この結果を見ることが出来ませんでした。
さらに追記
結局、亜沙のチャイナ服の下の謎は解けないままだった。ま、ご想像にお任せし
ちゃうということで。
無断転載厳禁です。
show flame