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 ミスバーベナ学園コンテストの巻 〜 楓編 〜

                    震天 さん


「楓、だな。うん」
「え、私、ですか……?」
「これにて完全決着! 優勝は、芙蓉楓さん!」

 会場から一気に歓声がわく。
 楓はまだ自分が優勝したという実感があまりないようで、うろたえている。

「ほら、かえちゃん。優勝したんだから、もっと胸はってよ」
「え、あ、あの……」
「それで、楓さん。優勝したお気持ちを一言」

 麻弓がマイクを楓に向けると、楓は一歩退く。

「え、えっと……優勝、したんですよね?」
「はい。で、今の心境は?」
「なんだか、ようやく実感が湧いてきました。やっぱり、稟くんに選んで頂いて
 こその優勝ですもんね」

 狙っていったのか、天然なのか、楓は稟の敵を増やす事をあっさりっと言って
のけた。
 その直後、やっぱりと言うか、なんと言うか、会場全体が稟の敵と化した。

「で、楓。絶対命令権、土見君になにをお願いするの?」
「既に決定済みなのか、俺にって言うのは?」
「楓、土見君以外にお願いするの?」
「いえ、稟くんにです」
「ほら」
「あぁ、そうだな……」
「で、楓。なにをお願いするのかな?」

 楓は何かを決意したように稟の前に出る。

「稟くん!」
「は、はい……?」
「私を……稟くんの奴隷にして下さい!」

 楓の言葉に会場全体が凍りつく。

「……ごめん。俺の聞き違いか?」
「私も……なんか物凄く曲解して聞こえた気がする」
「楓、もう一回頼む」
「私を稟くんの奴隷にして下さい!」

 再び会場が凍りつく。
 いち早く復活したのは司会の麻弓だった。

「土見君。楓さんからこのような命令が出ておりますが?」
「却下できるのか?」
「出来るわけないでしょ? 絶対命令権なのよ?」
「……楓が、俺の奴隷?」
「土見君の言うことなら何でも聞くってことでしょ? 土見君が脱げって言えば
 脱ぐんだろうし」
「あまり変な具体例を出すな」

 会場にいる男共が殺意と期待を込めた眼差しで稟を見る。
 しかし、楓の命令はそう言うことなのだろう。

「かえちゃんって、意外と大胆なんだね」
「でも、稟ちゃんに命令できるのに、命令される立場になるなんて、楓らしいと
 いえばらしいけどね」

 ごもっとも。
 やっぱり、楓は稟に尽くしての楓なんでしょうね。

「と言う事で、ミスバーベナ学園コンテスト、優勝者は楓でした! では、次は
 第二回ミスバーベナ学園コンテストでお会いしましょう! さようなら〜!」
「って、続くのか!?」

 バーベナ学園に土見稟と土見ラバーズがいる限り、コンテストは続くのでした。



追記
本来なら司会進行を勤めるのは緑葉樹のはずでしたが、とある諸事情により、あ
る女生徒によって封印、監禁され、この結果を見ることが出来ませんでした。


                                           Fin.



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