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 ミスバーベナ学園コンテストの巻 〜 カレハ編 〜

                    震天 さん




「カレハ先輩」



 舞台の上にいるプリンセス達の中にはいない名前。

 それをあっさりと言って、会場全体を唖然とさせる。

 ……ただ一箇所を除いて。



「ちょっと、土見君。いくらなんでも……」

「いや、あそこでなんか妄想の海を漂ってる人を引き上げたいっていうのもあったし……」

「皆さんが一つ屋根の下で、新婚旅行は常夏の無人島で……まままあ♪」

「……ボクがカレハ連れてこよっか?」

「お願いします」



 それから数十秒後、まだまだ妄想の海を漂っているカレハ先輩が壇上の上に到着しま
した。

 しばらくはカレハ先輩の妄想している様子でお楽しみください。



「皆さんにそれぞれ子供が生まれて、大きな家が必要ですわね♪ ゆくゆくは三界を
 統べる王となられた稟さんはさらに多くの女性から好かれ、その方達を妻に迎え……
 まままあ! いけませんわ、稟さん! 私は亜沙ちゃんを悲しませたくは……でも、
 稟さんならそれも……」

「カレハ先輩の頭の中では俺はどんな風になってるんだ?」



 女たらしのナンパ野郎。

 でも、後半は少し傾き気味?



「……稟くん」

「なんだ、楓――」

「少しごうも、いえ、尋問……でもないですね。お聞きしたい事があるんですが?」

「あ、私も〜!」

「私もですよ、稟様」

「な、何でみんなの笑顔が怖く見えるんだ? っていうか、楓。最初に言いかけたの
 はなんだ?」



 プリンセス達が怖い……。

 ……カレハ先輩の頭の中でこの先どうなっていくのかが気になりますが、プリンセス
達が怖いので、亜沙さんに止めてもらいましょう。



「カレハ、カレハ!」

「あら? 亜沙ちゃん、こんなところでどうなさいましたの?」

「へぇ、カレハにはここがこんなところに見えるんだ?」

「……あら?」



 カレハ先輩、辺りを見回してやっと自分が立っている場所に気付いたようで。



「カレハ先輩、土見君に選ばれたご感想は?」

「まあ……私が、ですか?」

「驚くのも無理ないですよね。でも、飛び入りってことで」

「……」

「いいなぁ、カレハ」

「で、絶対命令権をどうしますか?」

「……では……」



 カレハ先輩が頬を少し赤らめて稟を見る。

 それが他の男子生徒を刺激したのか、稟に怒りの眼差しを向ける。

 しかし、カレハ先輩は稟にそう言った感情を向けたわけではなかった。



「稟さんには私の妄想通りの行動を起こしてもらいますわ♪」

「……は?」

「ねぇねぇ、時雨先輩。これって、私達は喜んで良いんでしょうか?」

「……手放し喜べないとは思うけど、いいと思うよ」

「ちょ、カレハ先輩……? あまり、過激な妄想は……」



 と、稟が懇願しようとした時、プリムラがカレハに近付いていった。



「思い切って妄想の海の底へいってください!」

「はい♪」



 がっくり項垂れる稟。

 ま、幸福で不幸な一時を満喫してください。



「と言う事で、ミスバーベナ学園コンテスト、優勝者は飛び入りのカレハ先輩でした! 
 では、次は第二回ミスバーベナ学園コンテストでお会いしましょう! さようなら〜!」

「って、続くのか!?」



 バーベナ学園に土見稟と土見ラバーズがいる限り、コンテストは続くのでした。




追記

本来なら司会進行を勤めるのは緑葉樹のはずでしたが、とある諸事情により、ある女
生徒によって封印、監禁され、この結果を見ることが出来ませんでした。



                                                Fin.


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