「あら、橘君」
病室へ向かう途中、温子さんに呼び止められる。
「あ、どーも」
「ごめんなさいね、七海のお世話とか任せてしまって」
「なに言ってるんですか、お礼を言うのはこっちですってば」
温子さんはずっと七海を「神崎家」から守ってくれていた。
俺と七海にとって「恩人」という他なかった。
俺はどこかへ行ってしまった「七海」を追って医者になった----------。
俺のために命をかけてまで俺の元に来てくれた七海を助けてやりたくて。
俺のできる全てを賭けてでも七海の役に立ちたくて。
こんな転校生めちゃ希望(当方切実)SS
あなたとなら、どこまでも。
written
by woody
「今日はちょっと差し入れを持って来ただけだから」
「そうですか。七海が喜びますよ。七海のところ行くんですよね?」
「今日はいいわ。ちょっとコレを持ってきただけだし、それに今日はまだ仕事があるのよ」
「え、じゃ病室行かないんですか?」
「ええ、それにあなたが持っていったほうが七海も喜ぶでしょ」
「そ、そんなことないですよ」
「うふふ・・・じゃこれどうぞ」
「ああ、すみません」
「じゃ、私行くわね」
「あ、はい。ありがとうございました」
「気にしないで。あなたが七海の事を愛してくれてるんだからそのぐらいしないとね」
「すみません・・・」
俺なりの精一杯の気持ちで頭を下げた。
「じゃあまた」
そういって温子さんは駐車場の方へ歩き出した。
「あ、ちょっと温子さん」
「なに?」
俺が呼び止めると温子さんはびっくりして振り向く。
「また・・・きてくれますよね?」
「ふふっ、当たり前じゃない・・・そのうち」
「・・・え?」
「・・・そのうち七瀬も連れてくるわね」
「は、はい!!」
そういって彼女はまた歩き出した。
「七海ー」
がちゃっ、と七海の部屋の扉を開けながら七海を呼ぶ。
「あー、慎吾君っ!!」
七海は俺を見つけるなり抱きついてきた。
「お、おいおい。まだそんな暴れんなって・・・」
「だってぇ・・・」
まぁ、もちろん悪い気はしないがな。
「そうだ、さっき温子さんが差し入れだってさ」
「え、来てたの?」
「ああ。仕事があるらしくて帰っちゃったけどな」
「そうなんだ・・・」
ちょっとうつむく。
「でもまた来てくれるって言ってたからさ」
「うん、そうだね!!」
「さて」
「ん?」
「体の調子はどうだ?」
「もーばっちり!!慎吾君が来てくれたからね」
「医者としての質問だ」
「うー・・・」
「で?」
「うん、だいじょぶだよ」
「そうか」
七海はこっちに向き直ると甘えてきた。
「えへへー、慎吾くぅん・・・」
「なあ、七海」
「なに?」
七海にいい話があったのを思い出した。
くくっ、コレ聞いたら驚くぞ、七海のヤツ。
「ちょっと話があるんだ」
「? なに?」
七海のちょっとマジな空気を感じ取ったようだ。
「じつはさ、今度精密検査してもし異常がないようなら・・・」
「う、うん・・・」
「主任が退院してもいいってさ」
「・・・え?」
やはり七海は信じられない、といった感じだ。
「ほんと・・・?」
「ああ。まあ当然通院は必要だけどな」
「嬉しい・・・」
七海の目にはすでに涙がたまっている。
ま、当然か。聞いたときは俺も小躍りしたし。
「あのさ、そしたらさ」
「え?」
ポケットから秘密兵器、すなわち「給料3か月分」とやらを出す。
「俺と結婚してくれないか?」
「・・・・・・」
七海は何も言わずずっとこっちを見ている。
あまりに七海の沈黙が長いのでこっちが心配になる。
「あれ?ダ、ダメかな??」
ぽたっ、ぽたっ。
「な、七海?」
「ううん・・・違うの・・・違うの・・・うれしくて・・・」
「七海・・・」
よ、よかった・・・。
本気で断られるかと思った・・・。
「受けてくれるかな??」
「・・・慎吾君は」
「え?」
「・・・慎吾君は・・・私でいいの・・・?」
なにをいまさら。
「頼む。俺はお前じゃないとダメなんだ。俺はお前がいないと生きていけそうにないからさ」
「嬉しい・・・私・・・」
普段ならこんなクサい言葉いえないけど。
「慎吾くぅん・・・ずっと・・・いっしょだよ・・・」
七海がこんなに喜んでくれたから---------。
「ああ・・・ずっと一緒だ・・・」
言ってよかったな、そう思う---------。
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そして、何年かたって・・・。
「ねえ、慎吾君」
「ん?」
「なんか・・・信じられないなって・・・」
「まあ、そうだな」
「あたし・・・ずっと夢だったの」
「こうやって・・・好きな人とバージンロードを歩くの・・・」
「そっか」
ウエディングドレスを着た七海は最高の笑顔で-------------。
「ずっと・・・いっしょだよっ♪慎吾くんっ」
ひ と
俺をずっと見ていてくれたこの女性を・・・。
俺の愛するこの七海を・・・。
「ああ・・・いつまでも・・・いっしょだ」
ずっと守っていこうと思った------------。
〜あとがき〜
七海トゥルーエンドのアフターストーリーでした。
めっちゃベタベタやん。
しかもめっちゃラブラブやん。
なんかありがちすぎてスミマセン。
でもこのゲームってSS作るの難しいんすよね。
めっちゃええ話だし、しかもめっちゃ主人公カックイイし。
アンケートに答えた人っ、なんて難しいもの選んだんだっ!!(責任転嫁)
戻るよっ、あいるびーぶぁーっく♪