「はっくとー!かえろー!」
「はくとくーん!一緒に帰ろうよー!」

・・・。

「あら、ちまりさん?何か白兎に御用かしらぁ?」
「おほほ、玲亜さんには関係のないことですので心配なさらずですわー」

・・・。はぁ、懲りないね。この人たちも。

「白兎さん、疲れるから先に行きましょう」
「だね、莉織」
「あららー、お二方いいムードねぇ」
「バカなこといってないで行きましょう、あすりん」
「そーね。でも白兎くんと莉織っていうのもなかなか合ってるわよ?」
「私はそこまで命知らずじゃありませんから」

「がるるるー」(←玲亜)
「がるるるー」(←ちまり)

「・・・まあ、妥当な判断ね」
「ええ」

・・・疲れる。










やったねパパ!明日はホームランだSS



                            あたし、負けねぇ。

                                -Who will get his kiss?-


                                                                written by woody
                                                             last updated 2004/11/01







「相変わらず夷月は一匹オオカミなの?莉織」
「ええ。ああいう方ですから」
「いや、まあそうだけどさ」

一応これでも兄弟だし、莉織の気持ちも知ってる。
・・・なんとかなるかな。
夷月って意外と莉織に弱そうだし。
「言うこと聞かなくなったらとりあえず泣いておきますから♪」
・・・やっぱり浅薄でした?

「そーだ、白兎」
「うん?」

そういえばいつのまにかいた雄基が。

「・・・けっこうお前ひでーな」
「そかな?」
「存在感あるときとないときのギャップがすごいのよね、あんた」
「凛さん、あんたもっとひでーっす・・・」
「んで、何?」

雄基ははっと顔を上げて手を上げる。

「実は、これをっ、手にいれたー!!」

デデー、と効果音でも鳴るかのよう。
そんな高々と上げられた雄基の手には。

「バッティングセンターのチケット?」
「そう!ということで本日は!」

ぱっぱやぱー。

「第一回!チキチキ未来のホームラン王決定戦!」

ネーミングセンスはさておき。

「どしたの?突然バッティングセンターなんて」
「いや、親父の知り合いの野球好きの人がくれたんだよ」
「なんだそり・・・いや、ありえるか」
「そうね。あのおじ様だし」

すると雄基は俺の肩に手を回し、

「なあ白兎。これは今度の球技大会の練習も同時にだな」
「?」
「お前がスポーツ得意になるための第一歩でもあるのだ!」
「おおー!!!」

きょじゃっきーを克服したい僕にとって雄基が師に見えた。

「莉織はバッティングセンターって初めて?」
「『ばってぃんぐせんたー』とは何ですか?」
「要は野球の練習場だよ。ボールを打つだけ」
「??」
「莉織には実物を見せたほうがいいみたいね」
「そうだね。じゃ行こうか」
「あすりんは打てるのですか?」
「当たり前よ。『飛鳥家のいぶし銀』の名はダテじゃないわ」

飛鳥家の、ってえらいエリア狭いな。

「さて、行こうか」
「はい」

そこに徐々に大きくなる地鳴りが。

「地震!?」
「今危ないしね」

すると道の向こうから土煙が。

「あれは・・・」
「忘れてたわ」
「誤算でした」

地震の主は一直線に走る二人の女の子だった。
それも。

「はぁくとぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「はっくとくぅぅぅぅぅん!!!」


僕の名前を叫びながら。

「いや、恥っ!?」
「そうね」

いや、冷静に言わないで助けてよ。凛ちゃん。

「白兎!ひどいよ!?どうして待ってくれなかったの!?」
「だって当分終わりそうになかったじゃないか!」
「もうー、白兎君てば照れ屋さんなんだから!」
「ちまりちゃん、それはちがう」

そして、本日のスケジュールを二人にも報告。

「ふーん、バッティングセンターねぇ・・・」
「おもしろそうだね!」

どうやら喜んでくれたようだ。

すると。
凛ちゃんがとんでもないことをぬかし・・・いや、言い出した。

「ちまりと玲亜、打った本数が多かったほうに白兎がキスしてくれるって」

「マジですか!?」
「白兎!ありがとう!」

ナニモイッテナイヨ、ボク。

「早く行こう!白兎君!ほら!」

がしっ、と腕をちまりちゃんに掴まれる。

「あれ?」

そしてもう片方も。

「白兎、ほっぺはだめだからね」

なんでリップクリーム塗ってるかな、玲亜。

「凛ちゃん!!コレどうしてくれるのさ!」
「『ハプニング』っていうのは突然起こるものなのよ」
「いや、ただの思いつきでしょ!?」

「「れっつごー!!!!」」

腕を掴まれたまま、二人は猛ダッシュ!

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ・・・」




そして、到着。
授業より疲れる送迎だった気がする。

「さぁ、白兎!見ててね!」

まずはちまりちゃんがやるようだ。
・・・。

「ちまりちゃん経験あるの?」
「ふっふっふー、これでもソフトボールは得意なの」
「へー」
「惚れ直した?」
「あ、あはは」
「待っててね!白兎君♪」

そういってちまりちゃんは適当なボックスに入ってしまう。

「あっ、そこは・・・」

ちゃりん、と音がしてランプが付く。

「よりによってここにはいるとはね」
「あれ、凛ちゃん何時の間に」
「これ、130km/hよ」
「え゛」

ちまりちゃんはボックスに入っておぼつかないスタンスで構えている。
130km/hといえばバッティングセンターで一番速いボール。
僕はおろか、雄基でもそうそう打てるものではない。
そしてその事実をおそらくちまりちゃんは知らない。
つか、絶対に知らない。
だって見ないでボックス入ったもん。

しかし、フォームはわりとしっかりしている。
バランスのいいスタンスで構えている。

しかし、相手はバッティングセンター最速。
ガクガクとロボットが動きだす。
機械からから伸びたアームがゆっくり回り、ボールが放たれる。

びゅっ!!
想像以上に速いボールが飛んできた!

ところが。

「ドリャア!」

かっきーん。

・・・。

「・・・」
「・・・ぐ、偶然だよな」
「そ、そうだよね」

雄基と汗をかきながら言い合う。

2球目。

「はくとくぅぅぅん!」
かきーん。

・・・。

結果、20球中19球。
「ふっふっふ、私の勝ちね。玲亜ごめんねー♪」
「ま、負けないもん!」
「む、ムリはしないでよ、玲亜」
「大丈夫、み、見ててよ白兎」
「う、うん」
「ムリよ玲亜には」
「ま、負けないもん!白兎のキスは私のだもん!」

とはいったものの明らかにおぼつかないフォーム。

「玲亜、くるよ」
「うん!」

びゅっ!

「きゃ!!」

玲亜は思わず逃げてしまった。
やはりいきなり130は速すぎだ。

「アドバイスよ、玲亜」
「凛ちゃん」

凛ちゃんが玲亜になにか耳打ちをする。
するとたちまち玲亜の目が光り、

「いよっしゃあ!」
「これでオーケー」
「な、何を言ったの?凛ちゃん」
「内緒♪」

2球目。
びゅっ!

「玲亜にはムリ『かきーん!!!』・・・だと・・・思いたいな」

今、僕の目の前には。
ちまりちゃんに劣らずガッツンガッツン飛ばしまくる玲亜がいた。
ああ、玲亜はうまいなぁ・・・。

「白兎さん!?目がどこか飛んでます!?」

ああ、大丈夫だよ莉織。ちょっと夢見がちなだけ。

「玲亜の目がコワイです!」

ああ、大丈夫だよ莉織。僕もそう見えるけどきっと幻覚だよ。

『勝ったら白兎とくんずほぐれつ!!!』

ああ、幻聴が聞こえる。


「だめだ。白兎現実逃避だ」
「まあ、仕方ないわね」

なんかもうムチャクチャ。


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すっかり日が落ち、月の登る帰り道。

「いやー、楽しかったなぁ」

雄基が歩きながら背伸びをする。

「そうね。久しぶりに体動かした気がするわ」
「はい。私も初めてで楽しかったです♪」

「えと・・・あの二人どうなるのかな?」

僕は気になることを聞いてみた。

「さあ、明日学校でわかるんじゃないか?」
「まあ、そうだけど」
「いいじゃん。本人たちが楽しんでるんだから」
「・・・ま、なんとかなるか」

僕も少し打てるようになって。
すごくスッキリした。
たまにはこういうのも悪くないな。

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ちなみに当の二人は。

「はあ、はあ・・・これで11戦連続引き分けよ・・・」
「次こそ・・・私が勝つわ・・・」
「白兎のキスは・・・私のよ・・・」

「お嬢さんたち、もう閉店なんだけどさ」

「「おじさんは黙ってて!」」
「は、はい・・・」

係のおじさんを尻目に12戦目に突入しようとしていた。





もちろん次の日、全身筋肉痛で二人とも欠席。
南雲家の冷蔵庫からゴッソリと冷湿布が減り、莉織のお説教もいつもより多く聞こえた。








〜あとがき〜
なんかすんごいメチャクチャな文ですね、これ。
なんにも方向性がないですな。はっはー。
ない時間と変なテンションで書いたヤツなのでホームページビルダーで編集してて
へこみました。
ちょっとこれはさすがにひどいのでもう一本なんか書けたら書きます。



                               戻りまーす