こんこん。
「・・・に・・・さん、おき・・・す?」
-------------ん。
なんか声が聞こえるな。
なんか頭の芯から温かくなるような甘い声。
・・・・・・。
--------------ずっときいていたい。
どかんっ!!!!!!
「うわっ!!なんだっ!!」
「いいお目覚めですね、兄さん」
急いで飛び起きると横にはジャンボなハンマーを持った音夢が立っていた。
・・・・・・。
「今のはお前の仕業か?音夢」
「ええ」
・・・あっさりいいやがるな、こいつ。
「どっからんなモンもってきた?っていうかなぜそんな重いもの持てるんだ?」
「企業秘密です」
・・・いや、おまえ企業じゃないし。
音夢さんにファイナルアンサーなSS
朝倉家の朝っぱら
written
by Woody
「明日は私風紀委員で先に行きますから明日は一人で起きてくださいね」
「あのなぁ、もうちょっと普通に起こせないのか、おまえは」
頭をかきながら訴えるように言う。
「だってぇ、最近兄さん辞書落としにも耐性がついちゃっておきないんだもん」
・・・・・・。
…ってことは何度か試している、と?
「かったりぃな・・・」
「ほらほら、早く起きて起きて♪」
・・・何が起きて起きて♪じゃ。
「・・・ねむい」
「それは兄さんが早く寝ないのがいけないんですっ」
頬をふくらませて音夢が反論。
「しょうがねーだろ!!さくらがまた窓から入ってきてなかなか帰ってくんなか・・・」
ここまで言って「しまった」、と思った。
「へえー・・・、さくらが来てたんですかー。それは初耳ですねー。」
やべっ。オーラが出始めてる・・・。
「私という彼女がいるのに家に別の子を連れ込むなんてねー、兄さんもモテますねー」
そうなのだ。
見事俺は音夢エンドを迎え(オイ)音夢と恋人になることができた。
でも今現在の音夢サンはあいかわらずポ○モンに勝てるぐらいの冷凍ビーム(すなわち視線)を繰り出している。
ヤバイコワイ視線がイタイ。
「えーとだな、だからさくら殿には早々にお帰りいただいたわけで・・・」
「さっきなかなか帰ってくれなかった、とか聞こえたんですけどぉ」
うぅっ。
「ゴメンナサイ。」
殺されることを覚悟しつつ謝る。
湿布、冷蔵庫にあったかな・・・?
・・・・・・・・・・。
いいようのない沈黙がつづく。
「・・・ふう。」
---------------え?
「ま、さくらが勝手に入るのは今に始まったことじゃないし、今日の所はゆるしてあげる」
「おおーーーーーーっ」
よかったよっ、まだ魔法使いのばあちゃんの元へいかなくていいんだぁっ。
・・・ごめん、ばあちゃん。また今度な。
「そ・の・か・わ・り」
----------------------は?
今日のデートぜーんぶ兄さん持ちねっ♪」
「・・・えと、音夢さん。」
「なんですか、兄さん」
「今日はデ○ニーランドまでいくんでしたよね?」
「ええ」
・・・・・・・・・・。
・・・親父に国際電話でこづかい交渉してみるか。
俺がブツブツ言ってると、音夢が、
「兄さん」
「ん?」
ぎゅっ。
俺の名前を呼ぶなり音夢が抱きついてきた。
「お、おい、どうした?」
「・・・どこにもいかないでね」
「音夢?」
「やっぱり彼女としては兄さんが他の女の子と仲良くしてるのあんまり見たくないんだよ」
「・・・いつか私じゃなくほかの誰かのところにいってしまうんじゃないかって。私を置いてくんじゃないかって」
「・・・バーカ。」
音夢の小さな体を抱きしめ返す。
「えっ?」
「お前を置いていく、なんてことしねーよ。俺にはおまえしかいないからな」
「お兄ちゃん・・・」
音夢の澄んだ瞳からは涙がこぼれている。
「好きだぜ、音夢」
「うんっ、うんっ」
俺たちはしばらく抱き合っていた。
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「・・・ったく、なんで俺が朝っぱらからあんなこっぱずかしい事言わにゃならんのだ」
「だって・・・」
しばらくして、俺たちはターボで支度を済ませ駅へ向かっていた。
「ま、いいか。明日からまた学校だしな。今日はとことん遊ぼうぜ」
「そうだねっ。はやくいこっ!!兄さんっ」
「おいおい。ひっぱんなって」
(ったく。とことん音夢に甘いな、俺。)
それでもまんざらじゃない、と思いつつ音夢と二人で駅へ向かった。
もう二度と音夢にさびしい思いをさせない。
そう心に決めつつ。
次の日、音夢の爆裂ハンマーの犠牲となったわが目覚ましの存在を忘れていたため、
デートの疲れも相まって朝倉純一史上最大の寝坊をしてしまったことは言うまでもない。
-fin-
〜あとがき〜
ダ・カーポ初挑戦です。
「明日風紀委員で先に行く」というのはじつは伏線だったんですよぉ。
ちなみにワタクシは目覚ましは使わない主義です。
朝っぱらから無機質なベル音を聞きたくないので。
構成、製作、執筆合計2時間にしては良く書けた方だと思います。
朝倉、俺と世界を目指そうではないか!!