「ふあぁ・・・」

祐一は夜御飯を食べ終え、自分の部屋でくつろいでいた。

そして、眠くなってきてすこしずつ夢の世界へ行こうとした、そのとき。

こんこん。

誰かが扉をノックする音が聞こえた。

「ん・・・」

祐一はその音で目が覚めた。

「うーん・・・誰だぁ?」

寝ぼけ眼でノックの音に返事をする。

「・・・私」

「・・・へ?」

「私だよ、名雪」

「・・・名雪!?」

普通では考えられない時刻に名雪が尋ねてきたことにビックリして飛び起きる。

ちなみに時刻は夜の11時。

急いで祐一は扉を開ける。

するとパジャマ姿の名雪がさびしげに立っていた。

目がハッキリしている様子を見ると寝ぼけているわけではないようだ。

「ど、どうした?」

「・・・祐一」

「お、おう」

「・・・入ってもいい?」

「はい?」

さっきまで軽く寝ていたため寝ぼけているのと名雪がこの時間にここにいる事で軽く混乱している祐一。

「・・・入っちゃダメかな?」

「あ、ああ。いいけど」

そういって祐一は名雪を部屋に招き入れた。






ひさびさの甘々SS



                               strawberry kiss

                                 -I can't ilve without you.-


                                                                written by woody
                                                             last updated 2004/01/25






「おじゃまします」

「ど、どうぞ」

変な会話が続く。

「んで、どうしたんだ?」

ようやく頭が起きた祐一は名雪に聞く。

「・・・うん」

「・・・あのね」

「おう」

「ついさっきまで3時間ぐらい寝てたの」

「・・・3時間もか」

先ほどもいったが、現在夜11時。

夜8時に寝た事になる。

たまにならありえる時間かもしれないが、ほぼ毎日この時間には名雪は就寝している。

「・・・でね」

「おう」

「・・・怖い夢見たの」

「怖い夢・・・?」

「うん・・・」

「なんだ・・・ビックリした」

祐一はなにかとんでもない理由があってこんな夜遅くに来たのかと思った。

それだけにすこし拍子抜けした。

「『なんだ』じゃないよー・・・」

「わかったわかった、んでどんな夢見たんだ?」

「・・・」

「ん?どした?」

名雪は答えようとしない。

「・・・名雪?」

そう祐一が言うと。

「・・・っ!」

がばっ!

「うわっ!!」

---------突然名雪が抱きついてきた。

「・・・名雪?」

「・・・怖かった」

「え?」

「祐一が突然いなくなる夢だったの・・・」

「俺?」

「うん・・・」

そう言って名雪は祐一の服を強く握り締める。

「私に何も言わずに・・・黙っていなくなってしまうの・・・」

「名雪・・・」

名雪の声が震えている。

「そんなの・・・嫌・・・」

「・・・」

「そんなの・・・絶対に耐えられない・・・」

「祐一がいなくなっちゃったら・・・」

「私は・・・どうやって生きていけばいいの?」

「・・・」

「絶対に・・・いなくならないで・・・」







「・・・大丈夫だから」

祐一がなだめるように言う。

「俺はいなくならないから・・・」

「・・・」

「俺はここにいる。俺も名雪のそばにいたいんだよ。今も、そしてこれからも」

「俺じゃないほかの誰かなら名雪を幸せにできるんじゃないかって・・・不安に思うときもある」

「でも・・・俺はお前のことを離したくないんだ」

「今、名雪が俺のことを必要としてくれてる、ってわかってすごく嬉しい」

「俺はずっと名雪のそばにいる。絶対離れないから」

祐一はそういうと名雪をぎゅっと抱きしめる。

「・・・祐一」

「これからもよろしくな?」

そういって祐一は名雪にほほ笑んだ。

(祐一がいつも私に見せてくれるその笑顔、すごく好き。)

名雪は心からそう思った。

「祐一・・・好き」

「名雪」

二人はゆっくりと---------。

甘くて長いキスをした。







「安心したか?」

「うん・・・」

「そか、それはよかった」

「うん。祐一が私のこと想ってくれてるって改めてわかったから」

「・・・そか」

祐一は照れながら頬をかいた。

「ふふ・・・」

「な、なんだよ」

「ひさしぶりに見たな、その癖」

「え?」

「その、照れるとほっぺかく癖」

「う、うっせ」

「すっごくかわいい♪」

そういって名雪は、

ちゅっ。

祐一のその頬にキスをした。

「へへー・・・さっきのお礼」

「・・・」

「祐一、ありがと」

「な、なにが」


「さっき私を元気付けてくれて」


「それから」


「私を好きになってくれて」


「・・・お前こそ、な」


「うん」





「あ、もうこんな時間かぁ」

「ホントだな」

「じゃあ、寝るね」

「おう・・・」

名雪はゆっくりとドアの方へ歩いていく。

そしてドアを開ける前に祐一の方へ振り向いて。

「・・・じゃあ、おやすみ」

「ああ。大丈夫か?」

「うん」

そのまま名雪が部屋を出て行けば引き止めないつもりだった。

でも。

「ちょっと寂しいけどね・・・」

そう名雪がいったから。

名雪が廊下の方を向いた瞬間。

「え・・・?」

祐一は後ろから名雪に抱きついた。

「たまには・・・ここで寝てくか?」

「・・・い、いいの?」

「ま、たまにはな」

「・・・えっちなことしちゃイヤだからね」

「わ、わかってるっつーの」

「うふふ・・・寝よっか」

「・・・お前ベッド使いな」

「え?」

「俺は床でいいから」

「で、でもそれじゃ祐一が寒いよ」

「大丈夫だろ」

「それじゃ・・・」

名雪はいたずらっ子のような顔をして。



「・・・一緒に寝よっか?」


「・・・は?」


「ただし、えっちなことしないでね」


「さっきしないって言ったろうが」


「だね」


そんな事言っている間に名雪がベッドに入っていた。


「どーぞ♪」


「お、おじゃまします・・・」


「へんなの。祐一のベッドだよ?」


「そうだな」


そうして、祐一は名雪を背にして横になった。


「えへへ・・・」


「どした?」


「祐一・・・あったかいね」


「そか」


そして、名雪が祐一の背中に抱きつく。


ぎゅっ。


「お、おい・・・」


「どこにも行かないでね?ずっと、いっしょだよ・・・」


「ああ、そうだな・・・」




名雪と祐一はこのまま時が止まればいい、と思った。

いつまでも、こうやって。

そう思うだけで二人は幸せだった。





  -ひょっとしたら、続くかも!?-




〜あとがき〜
ネタに新鮮味、なし。
すし屋だったら致命的ですが、ここはSS屋です。
何の問題もない、はず。
ひょっとしたら続くかもしれません。
つーか明日書くかも。



                             祐一の背中、あったかい・・・