昼の水瀬家。

「うーん・・・」

「うーん・・・」

唐突だが、祐一と真琴は苦悩に追われていた。

「どうしたものか・・・」

「ホント・・・」

そんな沈黙をやぶるように美汐が言う。

「あの・・・」

「なんだ?」

「なにをそこまで悩んでいるんですか?」

美汐は二人がどうして共に悩んでいるのか全く理解できなかった。

というのも、水瀬家に遊びに来たときにはすでにこの状況にあった。

そして、二人が悩み続ける事約10分。

「全く状況がつかめないのですが・・・」

そう言った美汐を見て、祐一と真琴は顔を見合わせた。

「言うか?真琴」

「えー、祐一が言ってよ」

「あの・・・なにか私変な格好してますでしょうか?」

「あー、いや・・・そういうわけじゃないんだが・・・」

「ほら、早く言ってよ」

「・・・よし」

祐一は気合をいれる。

美汐はなにを言われるのかかなり不安になっていた。

「天野」

「・・・はい」

「お前を改造する」







たまにはギャグを入れてみよう!SS



                         美汐ちゃんチューンアップ!!

                             -What is the new "Mishio-tan" like?-


                                                                written by woody
                                                             last updated 2004/03/21









「・・・はい?」

美汐の脳内にある程度何を言われるのか予測していた。

しかし、祐一の口から出たのは美汐にとって全くの意味不明であった。

「すみません、もう一度言ってください」

そう言って眉間に皺を寄せる。

「・・・やはりこういうところか」

「だね」

「?」

美汐はますます訳が分からない。

「天野。お前は可愛い」

「えええっ!?」

祐一の突然の発言にうろたえる。

真琴もうんうんと頷く。

「ぶっちゃけこの学校では言うことなくトップレベルの可愛さだ」

「うんうん」

「あ、あの、その、えーと・・・」

わたわたする美汐。

「しかし、だ」

「ですが、あの・・・え?」

美汐が止まる。

「天野はオバサ・・・いや、物腰が良い」

「・・・」

「我々は考えた。それがひょっとしたら天野の可愛さを半減させているのではないか、と」

「うんうん」

「と、いうことで」

「ジャカジャン!!」

真琴の口からSEが流れる。

「緊急企画!美汐ちゃん改造大作戦ー!!」

「どんどんぱふぱふー」

「・・・えーと」

「さて、質問を受け付ける」

「・・・どこからツッコんでいいものやら」

「はい、タイムアップ」

「早っ!!」


「では、さっそく第1弾」

「・・・」

「題して、『ライバルは雪村コマネチ!美汐ちゃんマシンガントーク大作戦』ー!!」

「ぱっぱぱぱー」

真琴はおもちゃのラッパでファンファーレ。

「・・・」

美汐はいまだ固まったままだ。

「天野はいまから弁舌キャラでいってもらう」

「弁舌・・・ですか?」

「そうだ。ペラペラしゃべる天野をみてkanonにいない『テンション爆発キャラ』を確立するのだ」

「これで美汐のSSもきっと倍増するわよ!!」

「・・・」

美汐はよくわからないまま、

「・・・やってみます」

「よし」

ドキドキ。

祐一と真琴が緊張する。

「すぅ・・・」

美汐が息を吸う。

そして・・・。

「ちょっと二人とも聞いてくれる?いつも思ってたんだけどあたしの扱いってけっこうぞんざいじゃない?ゲームだって真琴エンドの一部にしか出ないのよ?それに香里先輩だってすんごい泣けるシーンあるじゃない?ましてや佐祐理先輩なんてサブキャラなのにエンディングがあるのよ?結局あたしって謎のまま終わっちゃうしー。かのんSS-Linksじゃメインヒロインの真琴や舞先輩よりSSの数多いのよ?そんだけみんなに愛されてる美汐ちゃんとしてはすんごい不満たっぷりなわけ。もうこうなったらkeyもあたしがメインヒロインのゲーム作るべきよね。いや、違うわね・・・。いっそあたししか攻略できないゲームね。題して『美汐ちゃんのハートげっchu!』みたいなー。コレよくない?こんな企画使わないなんてkeyも損してるわよねー。まったくみんなひどいのよ、『おばさんくさい』とか『部屋には座布団と畳しかない』とか『ケータイが使えないぐらい機械オンチ』とかさー。そりゃあたしだってケータイ持ってるしプリクラ好きだしパフェとか食べたいわよ。なのにさー・・・」

「いや、天野・・・もういいから」

「・・・そうですか」

「あれ・・・なんだろう、この目からあふれ出る熱い涙は・・・」

祐一は流れる涙を拭う事ができなかった。

「あうあうあう・・・」

真琴はかのんSS-Linksで美汐に負けている事実に泣いていた。



閑話休題。



「さて、第2弾だ」

「まだやるんですか・・・」

「題して、『ライバルは燃える青毛の乙女!超強気キャラ確立大作戦』ー!!」

「ぴーぱーぷー」

真琴、どさくさにまぎれて祐一の縦笛を吹く。

しかし、それをとがめられるほど美汐には心の余裕がなかった。

「さあ!れっつとらーい」

「・・・いきます」

そして。

「おい、真琴。おめーいつもあたしににくまん奢らせてんじゃねーぞコラ」

目つきがかなり鋭くなり、ガニマタ状態になった。

「あ、あう!」

おびえながら祐一の背中に隠れる真琴。

「あ、天野・・・?」

「おい、アンタもアンタだよ。いつもいつもあたしを振り回しやがって。なめてんじゃねーぞ」

「ごめんなさい、天野総長殿。いつもの天野様にお戻りくださいませ」

祐一と真琴は土下座。

「・・・わかりましたから総長と呼ぶのだけは止めてください」

「おお!天野!戻ってきてくれたか!!」

ぎゅっ、と美汐を抱きしめる祐一。

「え、あの・・・苦しいです」

美汐は赤い顔で言う。

「おお、すまん。つい・・・」

「あうー・・・」

部屋の端でうらやましげな顔で美汐を見る真琴がいた。




再び閑話休題。




「ぐぬぬ・・・こうなったら」

「もう懲りないんですか・・・」

「最終兵器!題して、『甘えまくる美汐たん萌え萌え!美汐ちゃんごろにゃん大作戦』ー!!」

「ええっ!?」

誰より驚いたのは真琴。

「ちょっと、そんな計画聞いてないわよ!!」

「だから最終兵器といったんだ。と、いうことで天野。好きな人へラブラブアタックするのだ!!」

「ちょっと・・・それは」

真琴が抗議する。

「なんだ・・・やけに否定的じゃんか。どうしたんだ?」

「祐一・・・気づいてないの?」

「何が・・・」

と、言いかけたとたん。

「くふふ〜♪祐一さぁん・・・」

美汐が祐一の腕になすりついてきた。

「あ、天野・・・?」

「祐一さぁん・・・ラブよっ♪」

「いや、元ネタ違うし!!」

「うにゃーん・・・祐一さーん・・・」

「・・・」

「祐一!!」

「・・・」

「くふふ〜」

「・・・」

「祐い・・・」

「これに決定!」

「ええええええっっっ!?」

「萌え!みっしー惚れた!」

「祐一・・・」

すると、祐一の腕にじゃれていた美汐が、

「勘弁してください・・・」

と、突然元の美汐に戻った。

「美汐〜〜〜!!元に戻ってよかったよー!!」

美汐に抱きつく真琴。

「正直このキャラは私には無理ですから・・・」

「そうか・・・ちょっとだけ残念だな」

「むー・・・祐一・・・えいっ」

むにっ。

真琴が祐一の頬を引っ張る。

「ひへへへへへへへっ!!痛ぇなこら!!」

「べーだ!鼻の下伸ばしてんじゃないわよ!!」

「こらっ、待て!」

そう言って真琴を追いかけようとする祐一の耳元で


「また・・・今度二人きりのときにやってあげますから」


ぴたっと祐一の動きが止まり、

「・・・無理すんなよ」

とだけ言って真琴を再び追いかけだした。


「ふふっ・・・たまには甘えるのもいいかもしれませんね・・・」


美汐は二人が部屋をせわしなく出て行った後、一人つぶやいた。

「いつか・・・ずっと二人でいられるようになったら・・・」


「いっぱい甘えてやりますからねっ♪」


そう美汐は笑顔で心に誓った。





〜あとがき〜
昨日寝る寸前にこのネタが思い浮かんでしまい、おかげでほとんど寝られませんでした・・・。
うう・・・。
でもネタ的にはちょっと満足です。
SS最近すんごい出しまくってる気がする・・・。


                                くふふ〜♪