「祐一ぃー」
「お、どした」
放課後。
帰り支度をしていると名雪が声をかけてきた。
うしろには香里もいる。
「ねーねー、今からカラオケ行こーよー」
「今からぁ!?」
「うんっ」
確かに今日は土曜日で午前授業だけど(私立だから土曜授業があるのだ)。
でもなーんかかったりぃんだよなぁ・・・。
「なんでまた・・・?」
「んー・・・」
名雪は少し考えた後。
「なんとなく♪」
「なんじゃそりゃ・・・」
チラッと香里を見る。
「たまにはいいじゃない、行きましょうよ」
がくっ。
俺に味方はいなかった。
「ねーねー香里ー、栞ちゃんも誘おーよー」
「そーね・・・あの子カラオケ相沢君と行きたがってたし」
その瞬間。
「おねーちゃん!!!!!!!!!!!」
「のわっ!?」
「し、栞!?」
うん、栞だ。
「あー、栞ちゃんだおー」
あいかわらず緊張感のないヤツだ。
に、しても・・・。
「おねーちゃん!!!私も行きますっ!!」
どこから嗅ぎ付けたんだ、こいつは・・・。
「ま、まあ元々誘う気だったんだし・・・このまま行くか?」
「マジですか!?栞は幸せですぅ・・・(うるうる)」
「な、なに泣いてんだよ・・・」
「と、とにかく行きましょうか・・・」
カラオケ行きてぇ・・・誰か一緒に行ってくれる人募集SS
あなたに送るLove song
written
by woody
と、いうことで。
「祐一とカラオケだー♪」
「祐一さんとカラオケだー♪」
「どんな歌やねん・・・」
「相沢君とカラオケ・・・」
「ん、なんか言ったか、香里?」
「ん、ううん・・・なんでもないわ」
「ん、そか」
こうして俺たち一行はカラオケボックスへ。
ところが道中。
「相沢君!」
突然香里が大声で叫んだ。
「ん、どうした?」
「相沢君・・・たしかこの先に・・・」
「この先・・・?・・・はうあっ!」
そういえばこの先にはアイスクリーム屋とペットショップが。
名雪と栞が足止めを食らう事は必至である。ということは歌える時間が減る。
われらがkanonメンバー屈指の予想屋(?)、俺と香里の一致した答えだった。
ところが。
「カッラオケ、カッラオケ♪」
アイスクリーム屋を通り過ぎ。
「カッラオケ、カッラオケ♪」
ペットショップを通り過ぎ。
「「祐一(さん)とカラオッケどぅあー!!」」
カラオケボックスへ一直線。
「「な、なんで・・・?」」
そ、そんなバカな。
・・・。
そ、そうか!!
2人はそんなに俺の美声が聞きたいのかぁ!!(←違)
うむうむ。
と、いうことで教訓。
『俺の美声は人類の本能をも凌駕する』(←バカ)
「「あ、祐一(さん)」」
「ん?」
「「あとでさっきの店寄りましょうね」」
・・・前言撤回。
やはり人間は本能に従順なモノである。
そして。
「「着いたー!!」」
よしゃ。歌うぜ!
「香里。フリータイムでいいよな?」
「え?」
「え?じゃないよ。フリーでいいか、と聞いているんだよ」
「え、ええ。いいんじゃない?」
「よし。じゃ4人で」
こうして受付を済ませ個室へ。
「おー、なんか久しぶりだなぁ」
「ね、ねえ相沢君」
「ん?」
「どうしてさっき私だけに聞いたの?」
「なにが?・・・ああ、フリータイムでいいかって?」
こくっ。
香里はなぜか無言で顔を赤くして頷く。
「なんで・・・って一番こん中で信用できるからに決まってるじゃねーか」
「えっ・・・?」
栞や名雪に聞いたら絶対「なんでもいいよ」とか言われるに決まってるし。
「信用されてる・・・」
「ん?どした?」
「う、ううん、なんでもなーいなーい」
くはぁっ、今の慌てた香里カワイイ・・・。
ま、香里がカワイイのは前から知ってたけど。
そして個室へ。
「1番、美坂栞!タンポポの『恋をしちゃいました!』歌いますっ!」
「「「おおー!!」」」
意外とモノマネがうまい。
だが俺をずっと見ながら歌うのはなぜだ。顔赤いし。
・・・・・・・。
じゃーん。
「ありがとうございましたー!」
「栞ちゃん、うまいねー!」
「うむ。同感だ」
だかだかだかだかだかだかだかだか。
だん。
85点。
「ふっ。また腕を上げたわね」
「結構姉妹で来たりするのか?」
「そうね・・・ほんの店員に顔を覚えられるぐらいよ」
めっちゃ来てんじゃん。
「じゃ次は私いくねー」
お、名雪か。
名雪はなかなかうまいからな。期待大だな。
「2番、水瀬名雪!松本英子の『明日も笑えるように』でーす」
マニアックだな。作者も聞いた事ないのに。
じゃかじゃーん。
曲がスタート。
おー、さすがうまいな。「雪の少女」歌ってるだけあって。(←爆)
んで。
だからなんで俺のほう見て歌うんだよ!こいつらは!顔赤いし。
・・・・・・・。
じょわーん。
「「「おおおー!!」」」
「ふっ、また腕を上げたな」
「おねーちゃんと同じこと言ってますよぉ」
「そ、そうか?」
栞を上回る点数出るか・・・?
だかだかだかだかだかだかだか。
だん。
89点。
やるぢゃん。
「えへへー」
「えうー、負けちゃいましたぁ・・・」
「じゃ、次は私ね」
「「待ってましたー!!」」
突然名雪・栞コンビが叫ぶ。
「な、なんだ!?」
めっちゃ2人が香里に期待している。
そういや香里の歌声聞いた事ねーな。
「なぁ、栞」
「なんですか?」
「香里ってうまいのか?」
「なにいってるんですかっ!」
栞が声を荒げる。
「おねーちゃんは以前ここのカラオケ大会で『ラブバラードの女王』とよばれた腕前なんですよ!!」
「そ、そうなんか?」
「ふっ、『しろーとさん』は黙って聞いてください」
「はい、すみません・・・」
でも、香里のラブソング俺も聞いてみたいね。
こほん。
香里の咳によって小さな個室に沈黙が生まれる。
「3番、美坂香里。MISIAの『眠れぬ夜は君のせい』、歌います」
「「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」」
・・・俺もちょっと期待。
ちょっと言ってみよ。
キ、キター・・・。
じゃーん・・・。
おっ、始まった。
・・・・・・・。
間奏。
うま。
っつーかうますぎ。
名雪も栞も半泣きだよ。
うん、でもこりゃ泣けるわ。
♪ 静かな夜はあなたを思い出してしまう
さっきまで隣で笑い話しかけてくれたのに ♪
・・・なんかすんごい香里の視線を感じるんですけど。
ブルータス、おまえもか。
じゃらーん。
「・・・ありがとうございました」
・・・。
・・・。
「「「ぶらぼぉぉぉぉ!!!」」」
良いです!えくせれんとです!
香里しゃんバンヂャイですぅ!!
・・・失礼、少々取り乱したな。
だかだかだかだかだかだか。
だん。
96点。
うむ。納得。
「あ、相沢君・・・どうだった?」
「良かった・・・毎日聞いてもいいな」
「ほ、ほんと・・・?」
「おう」
「よかった・・・」
香里は自分の手を胸に当ててとびきりの笑顔を見せた。
どきっ。
な、なんか今日の香里かわいいな・・・。
「じゃあ次はいよいよ祐一さんですね♪」
「やたー」
「よっしゃ。一発ブチかましてやろーかしら」
「そーいえば・・・」
「どした栞」
「私祐一さんの歌声聞いた事ないです」
「そういえばないわね」
「私も小学校以来だよー」
「そか?」
ふっ。驚かせてやるか。
「みんな俺の歌声にちびるなよ」
「女の子に言う言葉じゃないよ、祐一・・・」
オハコのバラードでいくか。
「4番、相沢祐一。ミスチルの『HERO』。行きます
♪ でもヒーローになりたい
ただ一人 あなただけの ♪
・・・・・・。
ふぃにっしゅ。
どーだ、おめーら。
「「「・・・・・・」」」
あ、あのー、みなさん?
なんか言ってよ・・・。
「・・・祐一」
「な、なに?」
「「「まーべらーす!」」」
・・・。
だかだかだかだかだかだかだか。
だん。
96点。
「なんですって・・・?」
ふっ。どうだ香里。
並んでやったぜ。
「しょっぱなから並ばれたのは初めてよ」
「ふっ、ライバルだな」
「えうー!!私が追い抜いてやりますー!」
「わ、私もやってやるんだおー」
「ね、相沢君」
「ん?」
俺がいすにすわると香里が話しかけてきた。
「ちょっと外出ない?」
「なんで?」
「いいでしょ?」
「ま・・・いいけど」
「名雪」
「なに?」
「ちょっと香里と飲み物買ってくるわ」
「あ、わかったー」
「そこで熱唱してる栞にも言っといて」
「わかったー。早く戻って来てねー」
「おう」
んで店を出る。
「で?なに?」
「あのね・・・」
なんか話しづらいみたいだな。
「どしたんだ?」
「私の歌、どうだった・・・?」
「さっき言ったじゃんか」
「う、うん・・・そうなんだけど・・・」
「いったいどうしたんだ?」
「うん・・・あのね・・・」
「おう」
「さっきの歌ね・・・あなたに向けた歌だったのよ・・・」
「へ?」
「『静かな夜はあなた 思い出してしまう』って歌詞あったわよね・・・?」
「あ、ああ」
「あれね・・・あなたのことだと思って歌ってたの・・・」
「・・・そっか」
「うん・・・」
「じゃあ俺と一緒だな」
「・・・え?」
「『ヒーローになりたい ただ一人あなただけの』ってあっただろ?」
「う、うん・・・」
「あれ香里に向けて歌ってたんだぜ、俺」
「そ、そっか・・・」
「おう・・・」
沈黙。
「で、でも・・・」
「ん?」
香里が思い切ったように言う。
「せっかく決心してきたんだから・・・いわせて・・・」
「あ、ああ・・・」
「相沢君・・・ううん、祐一君が好き・・・」
「・・・・・・俺も香里が好きだよ」
「祐一君っ!!」
香里がおもわず駆け出してくる。
そんな香里を俺はおもいきり抱きしめる。
「ちょっとね・・・不安だったの・・・」
「え?」
「今日だって・・・栞や名雪もいるし・・・負けたくないけど・・・・・・やっぱり不安で・・・」
「だいじょぶだっつの」
「?・・・どうして?」
「あいつらには悪いけど実は香里に一目ボレだったりして」
香里が思わず目を丸くする。
「・・・そうなの?」
「・・・あんま聞くな」
「・・・ふふっ、そっか」
突然涙ぐんでいた香里が笑顔になった。
「ふふっ、そうなんだ・・・」
「あー!もう!とっとと戻るぞ!」
「ふふっ、そうね・・・」
そういって香里は俺の腕を抱く。
「お、おいおい・・・」
「いいじゃない、ね♪」
「ま、まあいいけど・・・」
「せっかく両想いだったんだし・・・」
・・・。
「・・・・・・行くぞ、早くついて来いよ」
「うんっ♪一生ついて行くからね♪」
適当に自販でジュースを買って戻る。
がちゃっ。
「あー遅いよー・・・祐一もかお・・・」
「おねーちゃんの番・・・」
俺の横にぴっとりくっつく香里を見て。
「「なんでなのおおぉぉぉぉ・・・」」
「さーて、歌うかぁ」
「きゃあ、祐一くーん♪」
「ケミストリーの『君をさがしてた』です!わが姫、香里に捧ぐ」
「姫だなんて・・・いやーん」
「「どーしてぇぇぇぇ・・・」」
ずっとずっと君のそばで 誰よりも近いこの場所で
何よりも強い気持ちで僕は 君を守り続ける
〜あとがき〜
ぐぉぉ。あかん、これは。
なんか香里後半性格代わりすぎっす・・・。
ちなみにみんなが歌った歌はできるだけ
その人のイメージやシナリオに合わせた曲を選んでみました(てへっ)
あくまで独断と偏見だからクレームはなしの方向でよろしく民衆。
徒然なるままに書いたけど版権とかだいじょぶ・・・?
(04/03/07 補正済み)
ぎゃらんどぅ!ひできーっ♪