「アメリカからきました、篠原有希でーすっ!よろしくお願いいたしまーす!!」



・・・



一瞬、教室が凍りついた。

いつもなら聞こえてくる隣の教室の喧騒でさえもこの世界から消えたようだった。

目を見開いたまま動かない人が30数名と先生、石橋。

そして、頭を抱えている人が1人。



「あー、あれ?なんかあたし変なこと言ったかな??」

「あー、篠原は4年ほどアメリカで生活をしていた。日本の生活は久しぶりという事だから皆、てつだってやれよ」

石橋の一言でようやく世界が再起動した。

「「「はーい」」」


「では・・・篠原への質問を受け付ける。なにか質問のあるもの、手をあげろ」

「はーい」

いくつかの手が挙がる。

その内、約8割が男子であることは言うまでもない。

「じゃあまずは武内」

石橋が手を挙げた中で数少ない女子を指す。

「はい、以前はどこに住んでいたんですか?」

「えーと、以前は桜坂市に住んでいました」

「ありがとうございました」

武内が席につく。

「あら、桜坂って以前も聞いたような・・・」

香里がサラッと思いついたことを言う。



「あー、それって祐一の前に住んでたとこだよー」

名雪はただ単に何も考えずに思いついたことを叫ぶ。

「あれ、それって・・・」

名雪が叫んだ後で気づく。




「もしかして、祐一を追いかけてきたとか・・・?」





詳しくは日記で。ごめんなさいです・・・SS



                               Love Capriccio

                                  -prelude- 〜第2話〜

                                                                written by woody
                                                             last updated 2003/12/04







「えーと・・・相沢君?」

香里が多少棘のある声で祐一の方を向く。

ちなみに名雪はなぜか発言後に香里の方向から飛んできた謎ジャムによって気絶している。

祐一は香里のおしにビビりながら、

「な、なんだよ」

「まさか、付き合ってるなんてことは・・・ないわよね・・・?」

「あ、あるわけないだろ」

「・・・そうよね、信じる事にするわ」

そのとき、クラス中の女子の空気が緩んだ気がした。

「ゆうち・・・相沢君とは付き合ってません」

「そうよね、ごめんなさい早とちりして」

「まだ『ただの幼馴染』ってだけです」

「あーいーざーわーくーん?」

「なんかコワイです、かおりしゃん・・・」

「ふふ、怯える相沢君、萌えるわよ・・・」

ぶるぶる。

「まあ、それはおいといて・・・篠原さん?」

「はい」

「『まだ』ってどういうことかしら・・・?」

「うー、祐一の幼馴染アビリティは私だけのものだおー!!」

げしっ。

「あうっ!!」

名雪、再び撃沈。不憫なり。

「さて、処理が終わったところで・・・」

ふと香里が教卓のほうへ振り返ると。

「あれ・・・?」

有希がいない。

「はっ!!!」

何かに気づき急いで祐一の方を向くと。



「ゆうちゃあ〜ん、久しぶりぃ」

「バ、バカ!くっつくなっつの」

「さびしかったよぉ〜、ごろごろー」

「場所を考えろっつーの!!・・・はぁっ!?」

どことなく恐ろしいオーラが発されていることに反応。

「あ・い・ざ・わ・く・ん?」

「は、はひ・・・」

「篠原さんとのお話、きかせてくれないかしら・・・?」

「い、いぇす。まむ」






先生がそそくさと教室を出、生徒だけの空間となった教室になった。

「うぅ、なぜゆえ相沢ばっかり・・・」

男どもは泣いている。

女子は香里を中心として祐一を囲んでいる。

「さて、聞かせてもらおうかしら?」

「いや、聞かせてといわれても・・・」

「まず、『ゆうちゃん』ってなにかしら?」

「幼馴染だから以前の呼び名が抜けてないの」

早くもフランクに話す有希。

「そ、そう・・・」

香里は少々たじろぐ。

「ねー♪ゆうちゃーん」

「あぐっ」

有希は祐一の首に腕を巻きつく。

「相沢君、鼻の下伸びてるわよ」

「はっ!!」

「私があんなことしても鼻の下伸ばさないのに・・・」

名雪がつぶやく。

「名雪、あんたそんなことしてたの・・・」



「うにゃー!!!!」



「さて、篠原さん」

「水臭いにゃ〜、香里ちゃん、有希でいいよ」

「じ、じゃあ有希ちゃん」

「なに?」

「もう一度聞くけど付き合ってはないのね?」

祐一は本当に有希と付き合っているわけではないのだが、有希はこういうときでも恐れない人間だ。

なにを言うかわからないため、祐一はビクビクしていた。

「うん、ゆうちゃんとは付き合ってないよ」

ほっ。とりあえず一息ついた祐一。

「じゃあなんで抱きついているのかしら・・・?」

ぎゅー。

有希は祐一にしっかりしがみついている。

これも以前のなごりなんだよ-----------そう祐一が言い訳とばかりに言いかけたとき。

「だってー、ゆうちゃんが抱き返してくれたときすっごく幸せになれるんだもーん」



ぎにゃー。



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さて。

放課後。

「ねーえ、ゆうちゃん♪」

「ん?どうした?」

「学校案内してよ☆」

「「ちょぉっと待った!!」」

「おわぁ!?名雪と香里・・・?」

「「私たちが行く(よ)わ」」

「っておめーらなんで来るんだ・・・?」

「「鈍感・・・」」

そのとき。

「水瀬先輩!!迎えにきました!!今日こそは出てもらいます!!」

陸上部副部長の和久井恵ちゃんが名雪を連れにきた。

(ナイスだっ、恵ちゃん!)

祐一も名雪を通して何度か面会があるため知っている。

とりあえず修羅場がコワイ祐一としては恵の登場はまさに天の助けだった。

「えと、じゃあ、相沢先輩、またねです」

「ああ、ありがとう」

「はいっ!」


「香里ぃ、助けてー」

ずるずるとひきずられていく名雪。


「名雪、あなたの犠牲をムダにしないわ」

去るものは追わない、と香里。

(クールだ・・・)

「さて、私は絶対ついていくからね」

そのとき。

「2年、美坂香里、委員会の会議があるのですぐに来るように」

「ぐっ・・・」

「お、香里呼ばれてるぞ」

「わかったわよ・・・委員会の担当が教頭じゃなければ・・・」

とぼとぼと香里が会議室へ向かう。



「やっと2人きりになれたね、ゆうちゃん」

「あ、ああ」

「ほんとに会いたかったよ・・・」

「ゆ、有希?」

「ゆうちゃん、ぜんぜん連絡くれないんだもん・・・さびしかったよ・・・」

「わ、悪い・・・いろいろあってな・・・」


祐一は有希に説明した。

この街での出来事すべてを。


「そうだったんだ・・・でも・・・よかった・・・」

「なにが?」

「だってゆうちゃんの目、なんか昔より輝いてる・・・なんか困難を乗り越えて大きくなったような感じ・・・」

「そうかな・・・?」

「うん・・・でも、ゆうちゃんがゆうちゃんのままでよかったよ・・・」

「有希・・・」

ぎゅっ。

さらに有希は祐一に強く抱きつく。

祐一も懐かしさからか、それを受け入れる。

「ん?」

ぎゅー。

「ゆ、有希。そろそろ離せ・・・苦じい・・・」

「にゃはー♪もう離さないにゃー!」

「首!!首絞ってるって!!タップタップ!!」

「はふー・・・ゆうちゃんのにおいだ・・・ぎゅー」



しかし、悪いことはやっぱり重なるもので。

「・・・祐一?」

「ま、舞!?」

「・・・」

「あの、な、これはな・・・」

チャキッ。

「っておい!?バカやめろって!!?」






「・・・たたっ斬る!」






〜あとがき〜
らぶかぷ、第2話です。
ちょっとありがちになっちゃいましたね。
つーかあんま長くなかったし。
第3話はできるだけ早く更新します・・・。
できれば明日かあさってに。出来なかったら今年中に。
つーか今年中にできるかな・・・?(詳しくは日記の12/4参照)



                              ゆうちゃんーっ、戻るのーっ