「・・・たたっ斬る!!」
「待てっ、舞!!話せばわかる!!な!?よし、お話タイムだ」
「・・・」
舞はとりあえず話を聞く、といわんばかりに剣を横に置き、正座をした。
とはいっても、いつでも剣を振る体勢のままではあるのだが。
とりあえず祐一は肩をなでおろし、舞と向き合う。
「いいか、舞。まずは紹介しておく。こいつは篠原有希といって・・・」
「ゆうちゃんの幼馴染兼myラバーでーす!!ちなみに将来の名前は相沢有希でーす♪」
「・・・滅殺する(怒)」
チャキッ。
「有希ーっ!!なんてこと言うんだーっ!!」
「ニヤリ」
「・・・やっぱり祐一殺す」
「なんで俺なんですかーっ!!」
祐一はまた逃げる。
後ろには剣を掲げる少女。
横にはぴったりとくっつく少女。
まったく忙しい主人公である。
長くなりそうだ・・・SS
Love Capriccio
-Nobody can stop
leckless girls.- 〜第3話〜
written
by woody
last
updated 2003/11/24
「ひぃ、ひぃ・・・」
命を守るために一目散に逃げる祐一。
「ねー、どこまで、行くの?」
有希が走りながら祐一の顔をのぞき込んで来る。
「ちょっ、と、黙ってろ・・・」
走りながら会話しているため息が切れる。
しばらくして、舞を撒くことに成功したらしく、走るのを止めて呼吸を整える。
「まったく、あいつらはこういう冗談は本気にするんだからやめてくれよ」
「にゃはは。ウィットに富んだ有希ちゃん流のジョークだったのにむこうが本気にしちゃうんだもん」
「おまえなぁ・・・もういいや」
祐一はいくら注意しても有希のいたずら好きが直らない事を思い出し、あきらめる。
とはいっても、いつでもいたずらしているわけではない。
場を読んでわきまえるところはちゃんとわきまえられるのだから祐一にとってはなおタチが悪い。
「とにかくだな、もうちょっと考えて・・・」
「考えて・・・なんですか?」
「いま、有希に説教していたところですから佐祐理さんは少しだま・・・って佐祐理さん!?」
「はい♪
あなたの佐祐理ですよー」
「むー・・・」
有希はすこしむくれている。
「ところで祐一さん。こんなところでなにをやってたんですか?」
「ええ、まぁ少し・・・ん?」
つんつん。
有希がつつく。
「やけに仲がいいじゃない。誰なの?」
「あははー。祐一さん、誰ですか?その
仲のいい女の子は」
佐祐理は口の端を軽く引きつらせて言う。
「えーと・・・まずは」
そう言って祐一は佐祐理の方を向き有希を指差す。
「こいつは篠原有希。俺の幼馴染だ。とりあえず名雪よりつき合いは古い」
そして今度は有希の方を向いて、
「この方は倉田佐祐理さん。俺の先輩だ」
(しかも美人だし頭脳明晰だしよく考えたら史上最強のお嬢様だよな。)
「び、美人って・・・もう祐一さんたらぁ」
「むぅー・・・」
有希は頬をふくらませている。
「・・・ひょっとしてひょっとしなくても声出てました?」
二人は頷く。
片方は照れた顔で。
もう片方は不満そうな顔で。
「なーんか私と佐祐理先輩の待遇違くなーい?」
「そうか?気のせいだろ」
「違うもんっ!わたしは『こいつ』呼ばわりなのに佐祐理先輩には『この方』とか言っちゃってさ」
「ささいな問題だ」
「私にとっては重要なのっ!!」
「あははーっ、お二人は仲がいいんですね」
「ええ。
ずっといっしょにいますから」
「でも
ただの幼馴染ですしねー」
ゴゴゴゴゴゴゴ。
ただならぬ雰囲気に祐一は後ずさった。
すると、祐一の足に誰かの足があたる。
「あっと、すみません・・・って」
「・・・祐一、痛い」
「舞!?」
「・・・祐一、さっきの説明して」
「そうですね、佐祐理にも説明してください」
「・・・わかりました。その方がこっちも安全です」
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一行は場所を百花屋に移した。
「えーと・・・それでぇ・・・」
「なぜ私の口にガムテープが張られようとしているのカシラ?」
「余計な事を言わせないための口封じだ」
「あ、ひっどぉーい!信用してないなー」
「おう」
「ホントにひどい・・・」
「祐一さん、ガムテはさすがにかわいそうですからパフェを食べさせたらどうですか?」
「おお!有希、よろこべ。佐祐理さんのあたたかい配慮によりガムテの刑はまぬがれたぞ」
「ふんっ!祐一のばーか!」
「にゃにおー!!」
「まあまあ・・・あ、店員さん、イチゴパフェ1つ追加で」
「はーい」
「みまみま」
舞はすでに牛丼タイムである。
「では、お聞かせ願いますか?」
「そうですね」
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これは幼き日の記憶。
「祐一ー」
「なーに?」
「きょう、となりに引っ越してくる人がいるから」
「ふーん」
「さっき見えたんだけど祐一と同じぐらいの女の子がいるらしいから仲良くしなさいよ」
「はーい」
祐一はその女の子が気になり、庭へ出る。
すると、男性と女性が家に入っていく姿と女の子がうつむきながら家の前に立っている姿が祐一の目に飛びこんできた。
ただ不安げ、だけではないような暗い顔をしていた女の子。
「ねえ」
祐一が声をかけると女の子はびくっと反応した。
「どうしておうちにはいらないの?」
「・・・おこられちゃったの?」
「・・・」
女の子は首を振る。
「じゃあどうして?」
「・・・」
少女はなにも言わず黙っている。
「ぼくはとなりに住んでるゆういちっていうんだ」
「え?」
「きみの名前は?」
「・・・ゆき」
「ゆきちゃん、か。これでもうともだちだね!」
「・・・ともだち?」
「うん」
「ともだちになってくれるの?」
「うん。よろしくね」
「・・・ともだち」
少女、ゆきは反芻するように『ともだち』という言葉を繰り返す。
そしてゆきはめいっぱいの笑顔で。
「・・・うん。よろしくね」
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「・・・以上です」
「いい話ですねー・・・って違うんですよ!!」
「なにがですか?」
「え?・・・うーんと・・・なんでしょうか・・・なんか違うような・・・」
佐祐理は何が違うのかわからないがなんとなく納得が行かない。
「みまみま」
「ぱくぱく」
有希と舞はずっと食べ続けていた。
「店員さーん、イチゴパフェおかわりー!!」
「・・・わたしも牛丼」
「お前らよくそんなに食えるな・・・」
そのとき百花屋の扉が開く音が聞こえた。
祐一は特に気にしてなかったのだが・・・。
「「祐一(くん)!!」」
「のわぁ!!なんだ!?」
呼ばれた先を見ると。
「な、名雪と香里・・・」
「さて、聞かせてもらうからね・・・」
「覚悟しなさいよ、祐一くん・・・」
「もう疲れたよ・・・有希、説明するの交代・・・」
「大丈夫よゆうちゃん。あなたは私がしっかり守ってあげるから♪」
そういってぎゅう、と祐一の顔を抱きしめる。
「「「ああああああ!!!」」」
(ああ、もう平和という言葉は俺にはないのか・・・?)
とりあえず、この狂騒曲はまだ始まったばかりのようである。
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さっきの幼い日の二人の会話には続きがあった。
「あっ、おかあさんが呼んでる。そろそろもどらなくちゃ」
「あっ・・・」
ゆういちが家の中に行こうとした瞬間になにかにひっかかった。
ふと後ろを見るとゆきが服を引っ張っていた。
「ねえ、ぼくこれじゃあはしれないよ」
「ちょっと・・・まって」
「どしたの?」
「きいてほしいことがあるの・・・」
「どうしたの?」
「わたし、ひとりぼっちなの・・・」
〜あとがき〜
な、なぜぇ!?
この話は30日には終わってファイルマネージャにも『更新しました』のメッセージも出たのに
ぜーんぶ更新されてなかったYO!
ごめんなさい・・・。
お正月記念SS書きます・・・。終わっちゃったけど。
ゆうちゃん、戻るよおーっ