「祐一ぃー、一緒にかえろー」

名雪ののびた声が教室にこだまする。

「お前、部活はどうしたよ」

「ぶ、部活今日はいいや」

「おまえなぁ・・・そんなこといってるから恵ちゃ・・・」

がらっ!!

突然開かれた引き戸。

「名雪先輩!!今日こそ部活に出てもらいますからね!!」

「あ、恵ちゃん」

「あ、こんにちは相沢先輩」

陸上部副部長である和久井恵ちゃん。

以前も名雪を連れて行ったツワモノだ。

「さ!名雪先輩!行きましょう!」

「い、いやだお!祐一〜!助けて〜!売られちゃうお〜!!」

「がんばれよー、名雪ー」

「ひ、ひどいお!私を捨てる気かお!?」

「恵ちゃん、ビシバシしごいておくんなまし♪」

「はい!まっかせてください!さ、行きましょ!」

ずるずる、と名雪をひっぱっていく恵ちゃん。。

恵ちゃんなら名雪を起こせるかもしれんな。

「・・・いい」

誰かがつぶやいた。

「は?」










ダラダラスペクタクル長編SS



                               Love Capriccio

                         -Cast not your pearls before swine.-  〜第8話〜


                                                                written by woody
                                                             last updated 2004/05/01








北川がぼーっと二人が歩いている後をみつめていた。

「・・・北川?」

「・・・相沢」

「あん?・・・うわっ!?」

突然俺の胸倉を掴む。

「彼女は何者なんだ!?教えてけれ!!」

「彼女・・・?」

ちらりと遠ざかる二人を見る。

「水瀬名雪。人生の半分を睡眠に費やす。陸上部所属でろくに部活に出てないくせに部長で県記録・・・」

「おまえのペットはどうでもいい!!水瀬を引きずってる子のことだ!!!」

「ああ・・・恵ちゃんのことか」

「・・・ペットはスルーかよ」

「実際似たようなものだろ」

「どんな生活してるんだよ、お前は・・・じゃなくて!!!」

北川の俺の服を掴む手に力がこもる。

「和久井恵ちゃん。俺たちの一個下で陸上部副部長だ」

「んで?」

「あとは知らん」

「・・・つかえんやつめ」

「なんだ?なんかいったか?」

「いや、なんでもない」

「どうしたんだ?ちょっと変だぞお前」

「そ・・・そうか?」

「・・・いつもか」

「相沢ぁぁぁ!!!」

「まあ、そう怒るな。恵ちゃんのこと調べてやるから」

「な・・・なんだと?」

「好きなんだろ?恵ちゃんのこと」

「な・・・!!」

ががーん、とばかりに北川がよろける。

「なぜわかったんだ!?」

「わからいでか」

「あ・・・あいざわぁぁあああぁぁあぁあー!!」

ひっしと俺にしがみつく北川。

「やめい!!俺にそんな趣味はなぁい!!」

「頼む!!手伝ってくれ!」

おいおいと北川が泣く。

・・・かなりマジっぽい。

「つーかお前香里はどうした!?」

こいつは香里スキーだったはずだ。

「んなやつ知らん!!俺は新しい恋に生きる!」

「・・・ですか」

ったくこいつは・・・。

「わかったわかった。応援してやるから昼飯おごれ」

「よし!!さすが心の友!!1日でも1週間でもおごってやるぞ!!」

ジャイアンか、お前は。

「うーむ、まずは・・・」

「まずは?」

「陸上部部長で親交も深い名雪に聞いてみるか」

「おおー!すばらしい!」

「じゃ、いくぞー」

「へ・・・?どこに?」

「どこに、ってさっき見てただろうが」

「へ?」

「陸上部のいるグラウンドだろうが」

「どしぇぇぇえぇえぇぇえええぇ!!?」

「なんだ!?いきなり!」

「そしたら恵ちゃんとエンカウントしてしまうではないか!!」

「んー、そんときゃそんときだ」

北川の襟をひっぱり引きずってグラウンドへゴー。

「離せー、離してくれー」

ずるずる

「んなこといってるといつまでたっても前進しねーぞ」

ずるずる

「ううー、離してくれー」

ずるずる

「うるせっ!!せっかく協力してやってんだ!!」

ずるずる

「くっ・・・それは」

ずるずる

「よし、行こうかー」

ずるずる

「やっぱり緊張するぜー!!」

ずるずる

「どんなテンションだ、お前は・・・」

めんどくさい・・・。

だがいつも名雪たちに金を取られてる以上1ヶ月の昼飯代は大きいし。

はあ・・・。しかたない。

肩を降ろしながら歩く俺。



そんな俺たちを後ろから見つめる姿があったことに俺たちは気づかなかった。

「その疲れた友人っぷりが萌えるわ・・・相沢君」



北川はもはや香里の目にも入らなかったようだ。



-次回へ続く!-







〜あとがき〜
次回へ続きます。
今日か明日には更新します!!
絶対!!
なんせ暇なんで!!(ゴォー)



                               相沢先輩、戻りまーす