「いらっしゃいませー、piaキャロットへようこそー!!」

今日もレストラン「piaキャロット」には元気なウェイトレスたちの声が響く。

というのも、この店「piaキャロット」は特徴的な制服などで人気のあるレストランである。

そんなpiaキャロットも夏場、というのは大事な稼ぎ時である。

涼を求め来店する客も少なくない。

もちろん店員たちに休憩など少なくなり、piaキャロットで働く恋人たちはなかなか思うように行かず、

苦労していた。

piaキャロット4号店の名物カップル、神無月明彦と高井さやかも例外ではない。






映画版の堀江由衣さんの登場シーンわからなかったよSS



                      恋人たちのひととき


                                                        written by woody






「明彦君」

店長代理である羽瀬川朱美が明彦に声をかける。

「なんでしょう?」

「もう少ししたらまた忙しくなるから先に休憩入っていいわよ」

「え、いいんですか?」

「ええ、そ・れ・に」

「?」

「さっきさやかちゃんも休憩に入ったみたいだし、ね♪」

「な、なんですか」

「さ、早く早く」

「わかりましたよ、もう」

ありがとうございます-----------。そう明彦は心の中でつぶやいた。






休憩室のドアをノックする。

こんこん。

「さやかー、いるかー?」

「あ、あれ?明彦?」

そういってさやかは何かを背中に隠す。

「? なんだよ、その反応」

「う、ううん。なんでもないの」

「めっちゃ気になるんだけど」

そう言いつつ椅子に座る。

「でもいいの?」

「何が?」

「明彦まで休憩に入って」

「なーんか朱美さんに気ぃ使われてさ」

「えっ・・・そうなんだ」

「ああ」

「ふーん、そっかそっか」

「?なんだよ」

「ねえ」

「なに?」

「せっかく気使ってくれたんだし」

そういってさやかは明彦の隣に座る。

「お、おいおい一応仕事中だぜ」

「まーまー」

さやかは明彦にぴったりと肩を寄せる。

もちろん明彦も悪い気がするわけもなく受け入れている。

「ねぇ」

「ん?」

「明彦、あったかいね」

ふつうなら夏場に言っても暑苦しいだけなのだが、好きな人に言われると悪い気がしない。

クーラーがまわっているから、というのもあるだろうが。

「ねえっ、明彦ぉ」

さやかが突然甘えた声を出す。

「またなんかたくらんでんのか?」

「ひっどーい、違うよー」

「じゃあなんだよ」

「今度のお休みにどっかいこーよ」

「えーっ!?」

明彦がさもめんどくさい、とばかりの声を出す。

「なによその反応はー。あたしと出かけたくないの?」

「いや、だってどこ行くんだよ」

「どこでもいいよ、明彦と一緒なら」

「・・・ったく」

明彦は恥ずかしいやらなんやらで反論する言葉も出てこない。

「ね、いこっ♪」

「・・・わかったよ」

「ほんと!?やったーっ!!」

こんなに喜んでもらえるなら素直に「行く」と言えばよかったな----そう明彦は思ってたりする。

「ねぇ、どこ行く?」

「決まってたんじゃないのか?」

「え?」

明彦はニヤリ、と口の端を吊り上げる。

「だって俺が休憩に来た時隠したの旅行のパンフだろ?」

「えーっ!?知ってたの!?」

「だって背中から見えてるもん」

「えっ!?」

さやかの後ろには「○×ツーリスト」と銘打つ紙が。

「あは、あははー」

「ごまかすなっつの」

「あうぅ・・・」

「で?どこがいいんだ?日帰りとなると結構限られてくるだろ」

「・・・ねぇ明彦」

「ん?」

思い切ったようにさやかが声を出す。

「泊まりで、行かない?」

「・・・え?」

「・・・2人っきりで」

「・・・マジ?」

「マジマジ♪」

「・・・なんかやけに今日は積極的だな」

「だ、だって・・・」

「?」

「もう、わかんないのっ!?」

こんな状況でも明彦はわからないようだ。

「だってさ・・・忙しくて一緒にいられる時間最近少ないじゃない・・・」

「そりゃしょうがないだろ・・・仕事なんだから・・・」

「そりゃあそーなんだけどさ・・・明彦だってあたしと一緒にいたくないの?」

「そりゃいたいけど・・・」

「だからだよ!!絶対行こーね、約束だよ♪」

「・・・そうだな」

「なによー、ノリ悪いわねー、行くぞぉ!!」

明彦はやけくそ状態で叫んだ。

「おー!!!!」

「壊れすぎよ・・・」

「どないせーっちゅーねん・・・」

「さ、そろそろ仕事もどろっ♪」

「お、おいおい・・・」

さやかは立ち上がると明彦の腕をひっぱる。

「明彦っ」

さやかは明彦の名前を呼ぶと一息で明彦に近づく。

「なんだ・・・んっっ」

ちゅっ。

「明彦大好きだよっ」

明彦は不意をつかれボーゼンとする。

「先行くねっ」

いまだにビックリしたままの明彦。

「まったく・・・あのヤロー」

とかなんとか言いつつ顔がニヤけて元に戻らない明彦であった。



「旅行のときに仕返ししてやっかんな、覚悟しろーさやかぁ!!!」

くだらないことに燃えている明彦であった。





〜あとがき〜
月曜日「piaキャロットへようこそ!!3」より高井さやかです。
ま、シンプルなほのラブですな。
ありがっちんぐですね。はっはっは。
ゲームは持ってませんがいろんなSSを見てこんな感じだ、と。
けっこういい雰囲気です。
さて、明日は火曜日「with you 〜みつめていたい〜」です。
ちょっと不安・・・。


                             明彦ーっ、はやく仕事に戻ろーっ