となりへ・・・

2001/01/02

―――後を見る。
彼はそこにいる。
友人と談笑しながら。
歩いている。

―――前。
そこには彼女。
周囲から一歩離れて。
居所無さそうに歩くその姿が、僕の目に淋しげに映るのは彼のせいだろうか。
あるいは僕の・・・。

―――再び後。
彼は相変わらず。
彼女を気にする様子も無く、楽しそうに笑顔。

「・・・・・・・・ふぅっ」
ポケットの中の両手はそのままに空を見上げる。
大きく吸い込んだ息を吐く。
ザラリ
嫌な感覚が心に染み込んでくる。
六年前から変わらない光景。
それが僕の心をざわつかせている。
消化不良。・・・・・・そんな事は無かった筈なのに。
どうしてだろう。
それは愚問。
きっと分かっている。
嫉妬。
いっそのこと、いちゃついてくれていれば。
諦めもつく。
それなのに。
一人の背中を見るのが偲び難くて。
僕ならばと。
そう思ってしまって。
それでも僕では駄目なのが分かっているから。
彼だから、彼女が幸せなのだと。
それも分かってしまっているから。
だから。

下唇を噛んで目を閉じる。
そして、
「・・・・・・・・・」
もう一度大きく息をして前を向く。
それは決意。
過去のあやまちを繰り返すための。
再びの決別を求めるための。
そして僕は歩を早める。