1年間の経過その3 大根を干そう
◎たくあんを漬けよう。
・11月21〜23日の三連休の間に、「たくあんの作り方を調べよう」という課題を出した。
30人中24人が休み中に調べ、残りの6人のうちの3人が24日に調べた。
調べた方法としては、
両親に聞いた−6人、
祖父母に聞いた−15人、
近所の人に聞いた−8人、
本で調べた−4人であった。(複数回答)
非常に大まかな調べ方の子もいたが、中には図入りでとても丁寧に調べている子もいた。
各自の調べてきたことを発表し、足りない部分を補い合った。
普段の授業ではあまり発表をしない子にも、自分の調べたことをどうしてもみんなに伝えたいという意欲が見られた。
その日の日記の中に、次のようなものがあった。
たくあんの作り方を調べるためにおじいちゃんに電話をした。
ひさしぶりに話をした。おじいちゃんはとてもくわしく教えてくれた。
ものすごく長い時間になってしまった。
おじいちゃんはとてもうれしそうだった。
また教えてもらいたいと思いました。
※今まで「何でも母親に頼る」傾向があった子ども達が、調べる過程で、いろいろな人(特に年輩者)との関わりが持てるようになってきた。
※調べ学習に抵抗を感じていたが、調べることの喜びを感じるようになってきた
・翌日から、
「先生、プラスチックだけど樽があるって」
「ざらめって砂糖のことだって」
「ざらめって綿菓子の材料なんだって」
「ひのやにもぬかとざらめが売っていたよ」
とたくさんの情報が寄せられた。
そこで、お互いの情報を交換できるように、『たくあん作り 情報ステーション』という掲示スペースを作り、それぞれが見つけてきた情報を、みんなに知らせるようにした
・『たくあん作り 情報ステーション』に、「幼稚園のフェンスの向こうの家で大根を干していたよ」「錦田中の横でも大根を干していたよ」という情報も寄せられた。
学区でも自分たちがやろうとしているものが見られるということで、竹倉へ大根を干している様子を見学にいった。
200本以上の大根が干されている光景に驚いていた。
意識をしてみることで、「葉っぱがしわしわになって黄色くなっていた」「大きい大根は堅いけれど、小さい大根は柔らかかった」「だんだんと黄色くなっていた」等の発見がたくさんあった。
干してある様子の見学だけの予定だったが、子どもたちが「ぜひ話を聞きたい」「お礼を言っていこう」と言いだして、庭先でほうれん草の出荷の準備をしていた農家の方に話しかけていた。
また、歩いてみることで、通学コースにもたくさんの畑があり、そこで大根が植えられていることに気がついた。
あらためて錦田と大根とのつながりの深さに驚いていた。
・ベランダで育てていた大根の成長が遅く、また、本数も少ないために、「漬物用大根が手に入らないか」子どもたちに声をかけてみた。
すると、今まで話を聞きに行っていた家などから、何件かの協力が得られた。
その中で、農協を通して、まとまった本数が手にはいることになり、子どもたちともらいに行った。
自分たちが育てている大根とは比べものにならないほど立派な大根に、「葉っぱがすごく大きい」「太くてすごい立派だ」と驚きの声を上げていた。
自分たちが育てたわけでもないのに、とてもうれしそうに他の学年に見せびらかせながら学校に戻ってきた。
・早速、大根を干すことになった。
自分たちが調べてきたこと、実際に見てきたことをもとに、葉っぱの部分を縛り始めた。
しかし、「どう縛ったらいいか分からない」「何度縛っても緩い」など、これまでの生活経験の不足がよく分かった。
なんとか干すことができた。
「もう少しで漬けられるんだね」と期待がいよいよ膨らんできた。
・翌日、1人の女の子が「先生、お父さんがちゃんと葉っぱの真ん中の芽を取ったかって言っていたよ。
取らないと、干している間もそこから芽が出て、大根がまずくなるんだって。」と言ってきた。
子どもたちに早速その話をして、もう一度大根をほどいてやり直した。
子どもたちからは「教えてもらって良かったね」「まだ知らないことがいっぱいあるんだね」「大根って強いんだね」という声が挙がってた。