辻正行

1932年,石川県生まれ。

1955年,武蔵野音楽大学声楽科卒業。58年、同大学専攻科修了。55年卒業後,NHK東京放送合唱団に入団。テノールを歌い,イタリア・オペラ等にも参加した。65年NHKを離れフリーに。この年より日本で初めて邦人作曲家の個展を「コンダクト・リサイタル」として開催。その流れをくむ邦人作曲家の「作品研究会」も高い評価を得ている。

83年9月の朝比奈隆指揮によるブルックナー「ミサ曲へ短調」の演奏会では,辻正行率いるTCF(辻コーラス・ファミリー)合唱団の実力を示し,日本ビクターからレコード発売され多方面から賛辞の声が寄せられた。これまでに多くの団体を全日本合唱コンクール金賞に導き,84年には自身も合唱団の最優秀指揮者に送られる「コーラス・オブ・ザ・ワールド賞」を受賞している。

86年,旧西ドイツ・ハイデルベルグ,87年から91年のウィーン・ムジークフェラインでの「第九」コンサートや,第1回から10年間つとめた「すみだ5000人の第九」のコーラスマスターなど,大プロジェクトでの実力も高く評価されており,98年,「日本・アルゼンチン修好100周年記念」にてアルゼンチン作曲家のA・ラミーレス「ミサ・クリオージャ」を,作曲家自身のピアノと彼の民族楽器楽団,および大久保混声合唱団を中心にしたTCF合唱団を指揮して,本邦初演。大好評を博した。

最近では,東京国際フォーラム・オープニングコンサート「天地創造」,東フィルとファビオ・ルイジ,4人のイタリアのソリストによるウェルディ「レクイエム」,シャルル・デュトワとの協演によるN響6月定期公演「真夏の夜の夢」,アンドレイ・アニハーノフとのレニングラード国立歌劇場管弦楽団「第九」など,名指揮者,プロオーケストラとの協演を成功させている。

声楽をリア・フォン・ヘッサート,作曲と指揮を田三郎の各氏に師事。静岡大学混声合唱団では1972年から客演指揮,その後現在まで専任指揮者をつとめている。98年,社会貢献文化功労者賞を受賞。 日本合唱指揮者協会理事長。全日本合唱連盟顧問。東京都合唱連盟理事。

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