僕は右の頬で 君の呼吸を数える
僕は睫毛で 君の産毛を数える
僕は固めた瞼で 君の瞬きを数える
僕は寝かせた指先で 君の鼓動を数える
僕は人差し指の根で 君の指の力を数える
僕は煙草の代わりの珈琲で 君の日齢を数える
僕は夢現の中で 君の泣き声は数えない
僕は彼女との語らいの中で 君のこれからの幸せを数える
そろそろ 僕は父親と呼ばれ始める
次の春 僕を君は何と呼んでいるのだろう
触れる前に 壊れるな
戦争という名のもとに
掲載 『文芸やいづ』
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