ある日、春が突然 
 

うっかりしていると

ある日、春が突然

空の色をやわらかにして

風の重さを半分にして

枝のつぼみをほどいてゆくと

思い込んでしまうけれど
 

しっかり見ていれば

寒い冬の毎日

空の色にかくれながら

風の重さを受け止めながら

枝の芽は堅い鎧の中で

準備を怠らないとわかるだろう
 

だから

君も

泣いている時間があるのなら

閉じこもったその殻の中で

支度を始めるといい
 
 

新しい空と風のあふれる

季節の小箱を

きっと誰かが開ける日が来る
 

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