鉛筆の幸せ
 

鉛筆は

ナイフで削られていた頃

その削りくずにさえ

誰かの人生を重ねられていた

削り器ができた後も

しだいに短くなる姿に

人の幸せや不幸せを

背負わされようとしていた

本来の仕事以外の重要な役割を持った鉛筆を

詩人たちは

幸せだと思ったに違いない

そんな幸せを与えることができる自分を

詩人たちは誇りに思ったに違いない
 

さあ 95年の詩人たちよ

ボールペンにも同じ幸せを与えてやってくれないか

君たちが本当の幸せを知っているのなら
 

                掲載「文芸やいづ」

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