君が生きていて
 

インスリンが目薬になってらいいねと言う私に

目薬はこわいから注射の方がいいと言う

痛くない所がわかるんだよと言いながら

同じ場所にばかり針を刺すから

ほら そこがもう青ずんで 腫れている
 

もっと自由が欲しいと言う人達は

きっと本当の束縛を知らない

娘を毎日縛る鎖は

一生ほどけないとドクターに言われても

何とか力ずくで切ろうと引っ張りまわし

見知らぬ人にまで 声をからし 頭を下げ

今は

手を合わせ 祈るだけになった
 

私の三十七歳の誕生日を祝うために

娘がこっそりと「わたしのおとうさん」を描いている
 
 

君が生きていて 笑ってくれている

私の歳を追いこせるよね きっと
 

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