高原の雲


急ぎ、去ろうとする

高原の小さな雲に

大きく厚い雲が追いつき

飲み込んだ


小さな雲は

この高原の空に

二度とその姿を現すことはない


やがて雲の海にぶつかり

大きな雲も

二度とその姿を現すことはない


どんなに大きなものに

飲み込まれたように見えても

自分は少しも変わらない

そう誰もが信じて

人は生きている


             静岡新聞掲載(1999.9.28)


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