真夜中のふるえ出すひざ
沈黙を恐れて
雨の降る画面を探し
ボリュームをあげる
迷いのカプセルを飲みほせないで
自分を消す術をまだ探している
真実とそれを隠す手
どちらかが傷つく
あきらめる時をのがせば
ぬけがらにかわる
迷いのカプセルを飲みほせないで
自分を消す術をまだ探している
独り言くりかえすたび
どこまでが昨日で
どこまでが悲しみなのか
消えてゆく記憶
迷いのカプセルを飲みほせないで
昨日の消し方をまだ探している
真夜中のふるえ出すひざ
くりかえす迷いと
この星の自転の癖が
やがて朝を呼ぶ
作曲済
掲載 『文芸やいづ』