さよならから はじまる


10月1日 朝からの雨は

さらに強く 降り続け

電話のベルも かき消していた

君の命を守ることも

そばで見送ることも

ぼくには勇気がなかった


8月の青い空を 風は 

いつもどおり 吹き抜けて

いつもどおり 時間はすすんだ

人の命が終わることを

止められはしないことを

みんなは わかっているんだ


どしゃ降りの雨を ぬぐいきれなかった日も

あの短い夏に去っていった友だちも

立ち止まり ふりかえれば 涙は流れるだろう

けれど 歩けなくなる前に 昨日にさよならする

たくさんの心の部屋の鍵を にぎりしめ

けれど その手は 自分より前にさしのべて


いつだって 新しい一日は

さよならから はじまる

いつだって 新しい一日は

切ない さよならから はじまる

だから 少し 傷つくのはやめて

愛を 小さな ポケットに


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