線路の上


車窓の

見慣れた風景が

少しずつ違ったものへ

おだやかに流れながら変わっていく

定期券で通う駅を

出張の鞄を携え

通過した


ここ数十年 私は

この線路の上にいる

日々 同じ景色を往復し

時折 特急に乗り換え

遠くまで足を運ぶこともあるが

また同じ線路を戻ってくる


もし この駅で降りたなら

もし この時刻の列車に乗らなければ

もし 自分の足で歩くことを選んだなら

若く 迷いのころもあったけれど

今は 何千往復の軌道の人生を誇りに思い

ここ 十数年 私は

この線路の上にいる


あのトンネルを越えれば

車窓に

今まで見えなかった海が

朝の光の中に広がるだろう

ちょうど 私の

新しい世紀のように



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